2005/10/28(金)00:55
「馬齢を重ねる」に思う
昨日の日記に、印象に残ったエッセイの表題だけをいくつか書いたが
実は、書きそびれたのが一つある。
それは、佐藤正午さんという作家の「四十歳」という題のものである。
私は四十歳ではないが
この「馬齢を重ねる・・・」の書き出しで始まるこのエッセイがまだ気になっている。
特に、「馬齢を重ねる」ということば自体が妙にこころにずしんとすわっている。
なぜ昨日、書かなかったのだろう?
たぶんこの言葉には、人生に対して否定的な響きを感じて、「私の好むところ
にあらざる。。」と こころが拒否したのであろう。
いや~、今まで「馬齢を重ねてきた」と思えば空しくなるではないか。
しかし、妙に気になって仕方がない。
昨夜、もう一度 読んでみた。
ここで、少し著者の冒頭の文を書き移してみよう。
「馬齢を重ねる という言葉があって、
手元の辞書で調べてみると、これは 「たいした事をしないうちにただ年をとっただけ」
との意味で、
しかも謙遜の表現らしいのだが、べつに謙遜をするわけでもなく、素直な感想として、
新たな年の始まりに この言葉を呟いてみたくなる。
まったくの話、馬齢を重ねに重ねて ここまでたどり着いた・・・」
という始まりである。
振り返れば、私も・・
誰しもが喜怒哀楽の詰まった人生であろうが・・
私にも辛苦は結構あったが、塞ぎ過ぎずになんとかやり過ごし、明朗を看板にして、
それなりに懸命に生きてきたという自負も少しはある。
だからといって
今、その成果や果実をなにかもぎとっているかと問えば、何もないのが現状である。
やはり、私も馬齢を重ねてきたのだと思わざるをえないのか。
そういえば、「ばか」を漢字では、「馬鹿」と書く。 なるほど・・・妙に納得。
納得したら、なぜか奇妙にも こころ安らいできたりする。(笑)
しかし・・まだ
「馬齢を重ねてきたんじゃない!」と、抵抗したい気持ちと拮抗し合っている。
今、妙な気持ちである。^_^