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テーマ:読書の愉しみ(1055)
カテゴリ:ミステリー三昧
赤ちゃんが誕生したときの手形・足形を記念に残すことがありますね。後で見返すと「こんなに小さかったんだ」と、小さな命に感激したりします。 ![]() 『赤い刻印』の菜月は、アルバムに見つけた自分の手形・足形にくすぐったい思いを感じます。傍らには母の拇印と日付。母の母も同じように、母の手形・足形を残してくれたといいます。 菜月は今まであったことがなかった祖母に会いに行きます。施設に入っていた祖母は、空々しい態度でしたが、菜月はその裏の気持ちに気がついてしまいます。 ずっと疎遠だった祖母の秘密、祖母と母、それぞれの交錯する思いを見つめる菜月の心情が、干渉する波のように伝わります。 長岡弘樹氏の作品には、どうしようもなく犯してしまう罪と贖罪が登場します。人は、小さな手形・足形に象徴されるように決して強くはない存在ですが、守るもののために、躓いても立ち上がり、前を向けるのだと思いました。 参照元:長岡弘樹『赤い刻印』双葉文庫 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
September 24, 2025 12:00:18 AM
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