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テーマ:読書の愉しみ(1068)
カテゴリ:ミステリー三昧
辛うじて廃線にならずに済んでいるような、ローカル線沿線の村に、垢ぬけた女がやってきました。彼女は名家の娘で文江。家を飛び出してから7年ぶりに帰ってみれば、なんと彼女は殺されたことになっていました。 『過去から来た女』のタイトルは秀逸です。文江が帰ってきたため、掘り出されては困る過去を持つ者たちが動き出し、いくつも事件が連鎖して起こります。 現在では「村」にも都会と同じ情報が瞬時に流れてきますし、閉塞感も薄れてきました。 この作品の時代は40年以上も前なので、村の閉鎖性も相当変わってきたと思いますが、出来上がったコミュニティの一蓮托生的な側面や、外からの入りにくさは今にも通じることです。 「身内」集団の考え方から外れる者、利害が対立しそうな者は排除される、その怖さが迫るミステリーでもあります。 ![]() 文江は強い。そして、母公江の強さは、もっとしなやかな強さ。文江の彼も味がありますが、赤川次郎氏の小説の魅力の1つは、さりげなく強い女性像だと思います。 冒頭の、のんびりした村の駅の描写から、物語は一気に加速してテンポよく展開します。普通に言葉を交わしていた普通の人が殺されたり、犯人だったりという状況は異常なはずですが、なんだか当たり前の日々のように読み進んでしまいます。 赤川次郎氏の文章は、無駄も気取りもなく、さらりと読めます。ですが、ここぞという箇所ではっと気づくことがあったり、感銘を受ける文章に出会えます。 飄々としていながら、ごく真面目に人と社会と向き合う姿勢が感じられて、好きな作家さんです。 参照元:赤川次郎『過去から来た女』改定版 角川文庫 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
December 14, 2025 12:00:13 AM
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