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February 23, 2026
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 永井荷風は明治12年~昭和34年の生涯を送り、後の耽美派文学者たちに大きな影響を与えた小説家・随筆家です。自然派全盛期の文壇で早くから谷崎潤一郎の才能を認め奨励しました。

 荷風は江戸戯作文学を愛好し、夢の助を名乗って落語家への弟子入りもしています。アメリカ、フランスに洋行、鴎外・漱石・小山内薫らと交流もありました。

 江戸文学の研究と並行してフランス、アメリカの外国文学の移植に業績を上げた荷風は慶応義塾大学の教授として華やかに活躍しました。一方女性関係が派手で、芸妓との情交・入籍、カフェの女給や私娼との関係があったため親戚とは疎遠になっていきました。非常識な言動で共同生活には向かなかったようです。
 晩年は市川市で亡くなりました。

 
 『畦道』は、荷風本人が晩年に移り住んだ千葉県市川市が背景。「わたし」を訪ねてきた友人が、ある女性との思い出を語る形で書かれています。


 競馬に誘われてきたものの、喧騒についていけず抜け出した友人は、草枯れの畦道で同じく競馬場から抜けてきた女性と知り合います。その晩、競馬場に戻らず友人は女と市川の宿に泊まってしまいました。
  
 偶然の出会いから、偶然の冒険に成功した思い出は永く心に残り、迷惑な事情があっても別れられず最近まで付き合っていたのでした。

 冒頭の「わたし」が画興を催す風景は女ありきです。大根を洗う女、物の種を干す女…が、青空や小鳥のささやきを背景に生き生きと動く穏やかな風景です。
 ​そして、かつて友人も田園風景の中を歩き、​​
その辺の生垣に咲き乱れている山茶花と菊の花とは、塵埃(ほこり)の多い東京の庭で見るものとはちがひ、洗つたやうに鮮かな色つやを誇つてゐます。 
​ 牛乳を売る藁葺屋根の農家で、出会った女は​​
​年は二十二三。…小ぶとりの体の殊に張出した胸の形がそのまゝはつきり思いやられます。​​​​​​​​​​​​​​
肉感的な描写。「わたし」が風景の中に溶け込み、生きる女たちを絵のように美しく、心地よく感じたように、風景に女あり、女に風景ありの出会いでした。

 わたしは友人と十年前の夢の跡を探しに散歩に出かけるのでした。


        参照元:『ふるさと文学館 第13巻 千葉』ぎょうせい 
​            永井荷風『畦道』

☆畦…ケイ、うね、あぜ→①土地の面積の単位 ②田畑の中に小高く土を盛り上げた部分。うね ③田畑の区切り→通路として用いるのがあぜ道

☆藁…コウ、わら→草が枯れる→①枯れる ②イネやムギなどの茎を干したもの ③下書き=稿

☆喧…ケン、かまびす(しい)、やかま(しい)→大声で話す→①声が大きく騒がしいさま ②はっきりしている




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Last updated  February 23, 2026 12:00:14 AM
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