卒業するあなたへ**そして卒業するお母様方へ
卒…ソツ 業…ギョウ、ゴウ、わざ 卒業は、業(学問)を卒(終える)の意味です。熟語の形としては、☆★→★を☆する で、後の漢字が先の漢字の、目的語、補語になります。 読書…書を読む 登山…山に登る 着席…席に着くが同じ作りの熟語です。 卒業するあなたへ 桜の花 ちりぢりにしもわかれ行く 遠きひとりと君もなりなむ 桜の花が散り散りに分かれていくように、遠く離れていくひとりに、あなたもなってしまうのでしょう。 折口信夫先生の歌です。「卒業する人々へ」の題で詠まれました。 ばーばの元職業は、養護学校(当時の名称)の教員ですが、卒業生のお母様たちから、年賀状で消息が届きます。毎年もらっていた方から届かなくなると、お母様、お父様の年齢があがって、年賀状を書くのも大変になったんだろうな、と推察します。 陰ながら、旅立っていった人たちとご家族の健康を祈るしかありません。 このとき「遠きひとりと…」は心にしみます。 熟田津に 船乗りせむと月待てば 潮もかなひぬ 今は漕ぎ出でな 額田王が、新羅征伐の船出に際して歌った歌といいます。大好きな歌です。 何かを始めようとして不安が先立つとき、くじけそうになるとき、口ずさむうたです。ZARDの「負けないで」みたいな。 二首の歌を、卒業するあなたへ贈ります。航路に幸多かれと願いつつ。 卒業する お母さんへ ばーばは、のび太君に、過干渉の大失敗子育てをしてしまいました。高等部卒業当時は、本人の意見を聞いていたつもりでも、のび太君は、ばーばはこうしてほしいんだな、と察して、進路もそのほかのことも決めていたのだと思います。 のび太君は一般就労(障害者枠)しましたが、本人の実力不足といじめで辞めました。辞めてから、福祉就労もしましたが、精神の障害も出てしまいました。 学校卒業後ずっと、がまんしていたのに「お母さんはがんばれしか言わない」と言われました。本当にそうです。 ばーばはつい最近まで、『速く元に戻ってよ』『仕事してよね。毎日ぶらぶらしてないでさ』と思っていました。 ばーばは、自分が思い描いていたのび太君と、本当ののび太君がかけ離れていくのが許せなかったのです。 今でも葛藤はありますが、午前中寝て3時頃やっと施設に通所するのび太君でも、荷物を山のように持って、ひげも剃らないかっこわるいのび太くんでも、のび太君なんだ、とちょっと認められるようになりました。 どんなのび太君でも心から愛せるように、自分の理想像を投影しないように、ばーばは、卒業に向かって進みたいと思います。 卒業するお子さんをお持ちのお母様方、航海の無事をお祈りします。 いざ漕ぎいでな