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桜井ジャーナル:マスコミが報道しない事実    ―見えない「帝国」の闇 【非公式情報】    

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2009/07/10
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 アメリカ政府や韓国政府のコンピュータがサイバー攻撃された。ターゲットの中には、ホワイトハウス、国防総省、ニューヨーク証券取引所、NSA(国家安全保障局)、国土安全保障省、国務省、Nasdaq、ワシントン・ポスト紙などが含まれている。韓国政府は朝鮮、あるいは同国を支持するグループが実行したと言っているが、発信源を特定することは難しく、現段階では断定するだけの証拠は明らかになっていない。

 その一方、イスラエルがイランのネットワークにハッキングしているとする情報も流れている。イランの核プログラムに関する情報を集めると同時にサイバー攻撃を仕掛けているというのだ。

 イスラエルは1980年代の前半からトラップドアなどを組み込んだソフトをダミー会社経由で各国政府や国際機関に売却、自動的に情報を入手する仕組みを作り上げてきた。この工作は、INSLAWというアメリカの会社が開発したシステム「PROMIS」の横領事件で広く知られるようになった。

 このシステムは情報の収集と分析を行うために開発されたのだが、非常に優秀で、日本の法務省も1979年には注目して会社側に接触している。

 INSLAWはアメリカの司法省と仕事をしていたのだが、ロナルド・レーガン政権になると司法省から嫌がらせを受け、倒産に追い込まれてしまう。会社側は司法省がPROMISを横領したと裁判に訴え、破産裁判所と連邦地裁は会社側の主張を認め、下院の司法委員会も両裁判所が出した判決と同じ内容の報告書を公表している。つまり、司法省が民間企業の開発した商品を横領したということを判事が認めたということだ。

 この判決は最終的に最高裁でひっくり返されているが、そのソフトがアメリカとイスラエルの情報機関へ別々に流れ、それぞれがトラップドアを組み込んだというのだ。イスラエル側でそのソフトを売っていた人物が「ミラー・グループ」の発行人だったロバート・マクスウェル。ヨルダン政府にも売り込み、同政府が集めていたパレスチナ人に関する情報をイスラエル政府は居ながらにして入手することができた。勿論、治安対策/弾圧に有効だった。

 1970年代からアメリカの電子情報機関NSAやイギリスのGCHQは地球規模の通信傍受システムECHELONを築いてきたが、コンピュータ技術の進歩でECHELONの能力も飛躍的に向上、例えば、ECHELONで情報を収集してPROMISで記録と分析ということができるようになった。

 1990年代に入るとアメリカとイギリス(UKUSA)による情報支配が世界的な問題になるのだが、日本のマスコミは取り上げようとしない。個人的な体験で恐縮だが、一般に「左翼」と見られている記者/編集者も、この問題に触れようとしなかった。結局、記事を取り上げてくれたのは「軍事研究」(2001年2月号)だ。

 この問題は拙著『テロ帝国アメリカは21世紀に耐えられない』(三一書房)でも詳しく説明しているので、是非ご覧ください。(2009.07.09)






Last updated  2009/07/10 01:07:23 PM
 イスラエルに対してイラン攻撃の「青信号」をアメリカ政府が出したとする見方をバラク・オバマ米大統領は明確に否定した。5日にジョー・バイデン米副大統領がアメリカのネットワーク局ABCの番組の中で、イスラエルのイラン攻撃を止めないと語ったことから、そのように解釈する人が出てきていた。

 物事を単純化し、「アメリカはユダヤ人に支配されている」という「公式」を自動的に当てはめて何かを理解したかのように錯覚する人もいるようだが、これはネオコンの思うつぼだ。現実はもっと複雑である。親イスラエル派に従えばアメリカのエリートたちに喜ばれると思っている人間が日本の政界やマスコミにいるようだが、根本的に間違っているということだ。

 ラーム・エマニュエル大統領主席補佐官やヒラリー・クリントン国務長官のような親イスラエル派がオバマ政権の内部に存在していることは確かだが、1980年代から親イスラエル派と対立してきたロバート・ゲーツ国防長官やブッシュ・ジュニア政権の「中国脅威論」を太平洋軍司令官の立場から公然と否定したデニス・ブレア国家情報長官、イラク攻撃に軍人として反対したエリック・シンセキ退役軍人長官なども配置されている。

 親イスラエル派は「ネオコン(新保守)」と「シアコン(神保守)」を柱にしているのに対し、ゲーツたちはアメリカを拠点とする勢力で、いわば「旧保守」である。彼らも決して平和的なグループではないのだが、アメリカという国家を崩壊させるような政策には反対する。ベトナム戦争を経験し、戦後の戦争は儲からない、つまり領土を拡大できず、財宝を略奪できず、賠償金も手にできないことを悟り、「デタント(緊張緩和)」に舵を切った人たちも出てきた。ネオコンが「第2次朝鮮戦争」を始めようとしたとき、東アジアに多額の投資をしている旧保守は止めさせている。

 日本には戦争が大好きでネオコンに惹かれる人が少なくないようだが、希望的観測から決めてかかるべきではない。戦争好きな人の多くは「儲かる」と信じている。それで、不景気になると戦争待望論が出てくる。

 考えてみると、明治以降、日本の輸送は東海道、つまり太平洋のすぐそばを通る道路や鉄道が中心になっている。日本海の沿岸には原子力発電所が乱立している。日本が攻撃されると考えれば、ありえないことだ。他国が戦場になるだけで、自分たちは戦争の被害を受けないと思っているとしか考えらえない。「防衛戦争」は想定していないのだろう。
第2次世界大戦を経験した人々は違うだろうが、「戦争を知らずに育った」世代で想像力のない人たちは、他国に攻め込むことで頭がいっぱいのようだ。

 ところで、中央アジアの混乱は中国の西部、新疆ウイグル自治区へも波及、最近ではウイグル族と漢族が衝突して多くの死者が出たと言われている。自治区の西にはカザフスタンがあり、そのカザフスタンを含め、カスピ海周辺は世界有数の油断地帯である。地政学的な意味も含め、中国政府としては手放したくない地域だろう。

 別の民族が住む地域を支配しようとする場合、自分たちに近い民族を移住させようとすることはよくあるが、土地を奪われる形になる先住民が怒るのは当然のことだ。新疆ウイグル自治区でも以前から不満は爆発寸前で、北京オリンピックのときには同地区からきていた人たちは北京から追い出されている。アメリカ、イスラエル、ドイツ、クロアチアなどの場合、邪魔な民族を大量殺戮したが、そうしたことのできる時代ではなく、できてもするべきではない。

 さて、新疆ウイグル自治区と関係が深いカザフスタン、そしてイラクのクルド人が居住している地域で親イスラエル派の大物、リチャード・パールは石油ビジネスを展開しようとしていると報道されている。

 パールが休暇をともに過ごすほど親しいアレキサンダー・ミルチェフはワシントンを拠点とするコンサルタントで、カザフスタン政府の顧問を務めている。この話が正しいかどうかは不明だが、注目しておく必要はある。(2009.07.08)






Last updated  2009/07/10 01:02:24 PM
2009/07/06
 ジョー・バイデン米副大統領はアメリカのネットワーク局ABCが5日に放送した番組の中で、イスラエルのイラン攻撃を止めないと発言した。主権国家が自らの安全に関して決めたことに口出しはしないということのようだが、この発言をイラン攻撃の「青信号」だと解釈するのか、イスラエルを突き放したのだと解釈するのかは微妙なところ。アメリカが積極的に動くことはないというようには聞こえるが。

 先月4日、バラク・オバマ大統領はカイロでの演説でイスラム諸国との新たな関係を築く意志を示したのだが、障害は多い。まず、イスラエル。この国は和平に興味がなく、アメリカ政府の意向を無視して入植活動を継続し、国連が行っているガザ攻撃における「戦争犯罪」の調査にも背を向けている。イランでは大統領選挙の結果が出た後、「改革派」のホセイン・ムサビ候補の支持者が選挙に不正があったと主張して抗議活動を始め、混乱している。アメリカ政府としてもイランと話し合うことは難しい状況だ。

 本コラムでは何度も指摘しているが、投票の3週間前にアメリカのNPO「TFT(恐怖のない明日)」が調査を行い、ダブルスコア以上の差でマフムード・アフマディネジャド大統領が圧勝するという結果が出ていた。発表された投票結果では、その世論調査よりも差は縮まっていたが、ほぼ調査通りの結果だった。結果を左右するような不正があったとは言えない。当初は反アフマディネジャドで威勢の良かったイギリスのメディアも、この調査の存在が伝えられると直ぐにトーンダウンしている。

 本当に自分たちが勝ったとホセイン・ムサビ候補や支持者は信じていたのか、信じた振りをしていたのかは不明だが、もし信じていたとするならば、誰かに騙された可能性が出てくる。騙されたのならば誰が騙したのか?信じた振りをしたのならば、目的は何なのか?

 ムサビ陣営を騙す可能性があるのは、アフマディネジャド陣営かイスラエルだろう。国内を緊張状態にしておいた方が統治しやすいと考えても不思議ではない。また、イラン攻撃を実現したいイスラエルや親イスラエル派にとってもイランの混乱は好都合だ。

 実際、イランの混乱を口実にしてアメリカ議会の親イスラエル派は、イランを攻撃するべきだと発言し、オバマ大統領に圧力を加えている。
イスラエル、あるいは親イスラエル派にとってムサビ派の行動は願ってもないことだった。混乱を収拾するためにイラン政府が強権を発動してくれれば、さらにありがたいだろう。

 その一方、アメリカ政府にはイラン攻撃を避けたいと思っている人たちが少なくない。ロバート・ゲーツ国防長官はイラン攻撃がイスラム世界に「聖戦世代」を作り出し、孫の世代にはアメリカが戦場になると発言していると伝えられているが、これまでに行った彼の言動から判断して、信憑性はある。オバマもゲーツもイラン攻撃には反対している。

 しかし、ホワイトハウスの中にも親イスラエル派は存在し、イラン攻撃にも前向きな姿勢を示している。例えば、先月7日、大統領がカイロで演説していた頃、ヒラリー・クリントン国務長官はABCの番組で、イスラエルを攻撃したらアメリカが報復すると発言、イランに対する先制攻撃にも言及した。大統領と国務長官が「同床異夢」だということは明らかだ。

 イラン攻撃にはサウジ・アラビアも賛成しているとする報道もあるが、実際に攻撃があれば、サウジ・アラビアの国内で反乱が起きて王制が倒れるような事態に発展する可能性も出てくる。親米独裁国家の支配者の思惑とは関係なく、一般民衆がイスラエルに対する報復攻撃を始めることも考えられるのだが、そうなったとき、アメリカは主権国家としてのイランに対し、イスラエルに代わって報復攻撃するのだろうか?
(2009.7.5)






Last updated  2009/07/06 01:15:29 PM
2009/06/30
 6月28日の早朝、100名とも200名とも言われるクーデター軍の兵士がマニュエル・セラヤ大統領の住宅を襲撃、そこで大統領を拉致し、コスタリカまで連れ去った。この襲撃からホンジュラスの軍事クーデターは始まった。その際、銃撃があったとも伝えられている。

 実は、このクーデターに少なくとも2名のSOA(The School of the Americas)卒業生が中枢メンバーとして活動している。
SOAとは、1946年にパナマで創設されて以来、ラテン・アメリカに多くの軍事政権を生み出し、民主的なプロセスで誕生した政権を破壊し、この地域を不安定化してきたアメリカの学校。

 この学校で教えている内容は反乱鎮圧、狙撃訓練、ゲリラ戦、心理戦、情報活動、尋問テクニックなど。そうした訓練を生かし、卒業生は帰国してから反体制派、つまり巨大企業のカネ儲けに邪魔な人々を迫害、排除するために、拷問、レイプ、暗殺、誘拐、虐殺などを繰り返してきた。そこでSOAは「School of Assassins(暗殺者学校)」とも呼ばれている。

 あまりに悪名が高くなったこともあり、1984年にパナマから追い出され、2001年には名称がWHISEC(Western Hemisphere Institute for Security Cooperation)へ変更された。

 これまでにラテン・アメリカ各国から約6万人にのぼる軍人を受け入れ、訓練してきたのだが、その中には、ロメロ・バスケス将軍とルイス・ハビエル・プリンセ・スアソ将軍も含まれているのだ。バスケスは1976年と1984年、ソアソは1996年に在籍している。

 さすがにクーデターを正面切って支持する政府は存在しないようだが、バスケス将軍たちが単独で実行したとも思えない。バラク・オバマ米大統領の政策に反対しているアメリカの勢力、あるいはアメリカ以外の国が関係している可能性は極めて高い。

 ホンジュラスはアメリカの情報機関が秘密工作の拠点に使ってきた国で、ラテン・アメリカがアメリカから自立しつつある現在、この国を奪還する意味は大きい。ニカラグアの革命政府を倒すため、軍事政権の兵士を集めて創設したゲリラ「コントラ」を支援する工作でもホンジュラスは重要な役割を演じ、アメリカだけでなくイスラエルも同国ルートで器をコントラに渡していた。

 しかし、このクーデターが将軍たちの思惑通りに進むかどうかは即断できない。少なくとも表面上はクーデターを支持する国は存在せず、大統領を支持する人々がクーデターに抗議する活動を始めている。「選挙の結果が気にくわない」というイランのデモとは質的に大きな違いがある。

 ホンジュラスとイランの政変には共通項がある。アメリカ的な経済システムで豊かな生活を送れるようになった、あるいはなれそうな人々が、貧困階級に目を向ける大統領を排除しようとしてるということだ。






Last updated  2009/06/30 12:27:08 PM
2009/06/29
 イランで8名以上のイギリス大使館員が逮捕された。大統領選挙後に「改革派」と呼ばれるホセイン・ムサビやその支持者が投票の無効を訴えて大規模な抗議活動を続けていたが、その背後でイギリスが干渉しているとイラン政府は非難、すでに2名の外交官を国外に追
放している。

 本コラムでは何度か指摘しているので食傷気味かもしれないが、シーモア・ハーシュ記者によると、2006年の時点でアメリカはイラン領内で秘密工作を活発化させるだけでなくイラン空爆を検討、2007年の段階では秘密工作を実行していたCIAやJSOC(統合特殊作戦司令部)がMEK(ムジャヒディン・ハルク/英語流の表記ではMujahidin-e-Khalq)やクルドの分離独立派と協力していたと報告している。2007年には、イランを混乱させるためにアメリカが「テロ・グループ」に資金を提供しているとイギリスのテレグラフ紙も伝えていた。アメリカ以外にもイスラエルが活動しているとする情報もある。

 MEKは「左翼」と見なされている組織で、1965年から王制打倒を目指して活動していたのだが、1979年の革命でイスラム勢力に負けた形になっている。その後、アメリカ、カナダ、イラク、イランなどから「テロリスト」だと呼ばれるようになるのだが、今では「自由の戦士」のようだ。

 こうした事情がありながら、イギリスが攻撃されている一つの理由は、アメリカで秘密工作を実行しているのはネオコン(親イスラエル派)であり、イランとの関係改善に前向きなバラク・オバマ米大統領を敵に回したくないのだろう。そもそも、外交関係がまだ回復していないが。

 そうしたとき、中米のホンジュラスで軍事クーデターがあり、大統領がコスタリカへ拉致された。大統領が再選できるように憲法を変えるため、国民投票を強行しようとしたことに軍部が反発したとされているが、それだけでは説明しきれない点がある。アメリカ政府はクーデターに反対したとされているのだが、この報道が正しいならば、かなり異常な事態である。アメリカ政府の意向を無視してでもクーデターを実行しなければならない事情があったということだ。

 一つの可能性は、ネオコンの意向である。2001年のベネズエラでのクーデター未遂では、ネオコンのエリオット・エイブラムズ、キューバ系のオットー・ライク、元ホンジュラス駐在大使のジョン・ネグロポンテが黒幕と指摘されていた。ネグロポンテが大使だった時代にホンジュラスでは「死の部隊」が「反体制派狩り」を盛んに行っていたことは有名だ。

 ホンジュラスのクーデターにオバマ政権が介入しようとすれば、おそらくネオコンはイランにも介入しろと主張するはずで、イランの体制を「チェンジ」したい勢力にとって、ホンジュラスのクーデターは好都合だと言えるだろう。

 その一方、国連はガザでの「戦争犯罪」に関する公聴会を行っている。イスラエル政府が「まな板」に乗せられている。イスラエルと親イスラエル派にとって、今は正念場のようだ。







Last updated  2009/06/29 12:18:04 PM
2009/06/25
 何か大きな出来事が起こったとき「何が語られていないか」は、重要な情報のひとつである。先入観や思い込み、あるいは希望的観測のため、目の前で起こっている事実に気づかないこともあるし、自分たちにとって不都合な事実を意図的に隠すこともある。語られない事実の中に本質が隠されていることは少なくない。

 現在、イランでは「改革派」と呼ばれる勢力が「保守派」とされる現職の大統領を攻撃する示威行動を続けているのだが、「改革」というラベルには良いイメージがない。かつて、小泉純一郎も「改革」を叫んでいたが、結局のところ、庶民階級から富を徹底的に搾り取るシステムを導入しただけだったからだ。今でも「小泉改革」を支持している日本人は少ないだろうが、イランでも似たようなことが起こっていると指摘する人もいる。

 投票の3週間前にイラン国民の選挙に関する意識を調査した報告書で、「改革派」は決して多数派からは支持されていなかった。その報告書を作成したのは「TFT(恐怖のない明日)」。あれぼど激しくイランのマフムード・アフマディネジャド大統領を攻撃していたイ
ギリスのメディアも、TFTの調査結果を伝えざるをえなくなっているのだが、日本のマスコミはまだ無視しているようだ。

 何しろ、イスラエル、日本、イギリス、アメリカなどに嫌われているアフマディネジャドがライバルのホセイン・ムサビをダブル・スコアでリードしていたとTFTは報告しているわけで、取り上げたくないのだろう。「改革派」は「善玉」で、「国民」から支持されているという自分たちのシナリオに反する情報は受け入れられないわけだ。小泉の「改革」を支援、「郵政民営化」は絶対的に正しいと叫んでいた日本のマスコミはイランでも似たようなことをしている。

 このTFTはアメリカのワシントンDCを拠点とするNPO(非営利団体)で、アメリカでは政府やメディアから一目置かれている存在であり、その調査結果を否定することは難しい。選挙で不正があったことを示す事実が出ているようだが、それでもTFTの報告書を否定はできないのだ。逆に、アフマディネジャド大統領としては、投票結果を操作する必要はなかったわけで、明らかになった不正に大統領が絡んでいた可能性は低いという見方も成り立つ。

 ジョージ・W・ブッシュ大統領の要請を受け、アメリカ議会がイランでの秘密工作をエスカレートさせることを認めたのは2007年の終わり頃だった。調査ジャーナリストのシーモア・ハーシュによると、秘密工作の中心になっていたのはCIAやJSOC(統合特殊作戦司令部)で、イランのMEK(ムジャヒディン・ハルク)やクルドの分離独立派と協力関係にある。

 かつて、MEKをアメリカ政府は「テロリスト」に分類していたのだが、状況が変われば「自由の戦士」になるようだ。この逆がアル・カイダだった。イギリスのテレグラフ紙は2007年2月25日付けの紙面で、イランを混乱させるため、アメリカが「テロ・グループ」に資金を提供していると伝えている。

 さらにその前、ニューヨーカー誌の2006年4月17日号に掲載されたハーシュ記者の記事によると、この時点でアメリカはイラン領内での秘密工作を活発化、イラン空爆を検討していた。つまり、この時点からアメリカやイスラエルはイランに戦争を仕掛けているわけだ。

 イランの庶民階級にとって、「改革派」の経済政策は好ましいものでなかった。しかもアメリカやイスラエルとの見えない戦争が続いている。こうした実態を理解しなければ、庶民階級がアフマディネジャドを支持した理由はわからないだろう。が、こうした背景を日本のマスコミは語ろうとしない。(09.06.23)






Last updated  2009/06/25 10:49:19 AM
2009/06/22
 イランで大統領選挙の投票が終わってから始まった混乱に不可解な点があることを本コラムでは何度か指摘してきた。投票の3週間前に実施されたアメリカのNPO「TFT(恐怖のない明日)」の調査では、現職のマフムード・アフマディネジャドが「改革派」のホセイン・ムサビをダブル・スコアでリードしていた。これは発表された選挙結果に符合するのだが、マスコミは「誰もが接戦になると思っていた」と伝え、ムサビ陣営は自分たちが勝ったと主張して抗議活動を続けている。「誰も」が誰であり、彼らがそう思った根拠は語られないが。

 ムサビの支持者は「Twitter」と呼ばれる一種のコミュニケーション・ツールを利用して抗議活動を続けているとされているが、その切っ掛けを作ったのは「イランの学生」ではなく、イスラエルの「右翼系新聞」と言われているエルサレム・ポスト紙だという疑いが出てきた。

 つまり、選挙で不正があったと最初に書き込んだ数千の「tweet」や「retweet」を調べていくと、「#IranElection spam」の中心にいる一握りの人々、そしてエルサレム・ポスト紙の記事に行き着くのだ。Twitterアカウントも6月13日に作られ、大多数はペルシャ語ではなく、英語で書かれていた。

 ムサビ陣営は勿論、ムサビ候補が勝つことを願っていた。イランの選挙システムを信頼していたとも思えない。そうした心理状態のところへ「マッチ」を放り込めば、爆発しても不思議ではない。アメリカのネオコン(親イスラエル派)、例えばジョージ・パッカーやアンドリュー・サリバンなどは抗議活動を支援するべきだと主張、火の手が上がったイランにガソリンを撒こうとしている。

 今回の抗議活動を1979年の「イスラム革命」になぞらえる人もいるが、TFTの調査によると、今回はアフマディネジャドを支持するイラン人が多く、状況が違う。ムサビ陣営としては投票の再集計は望んでいないかもしれない。再集計で負けが明確になっては困るということだ。

 イランが不安定化している一方、イスラエル政府は入植問題でアメリカ政府と対立している。イスラエルではアラブ系住民が住宅の破壊や隔離壁などに抗議して平和的なデモを行っても暴力的に弾圧されているが、アメリカも日本もヨーロッパも気にしないようだ。戦争で最も残虐な戦術は兵糧攻めだとも言われているが、イスラエルがガザ地区で行っていることは、まさにそれ。

 そうしたイスラエルのアビグドール・リーバーマン外相は先日、「平和を望むなら戦争の準備をしろ」と演説、アラブ系住民を国外に追放し、アスワン・ダムを爆撃しろと言っているのだが、アメリカも日本もヨーロッパも、彼の発言を容認している。

 アフマディネジャドとリーバーマン、どちらが凶暴なのかは言うまでもないだろう。






Last updated  2009/06/22 12:43:12 PM
 昨日、「臓器移植法改正A案」が衆議院の本会議で可決された。つまり、「脳死」を人の死と解釈し、家族の同意で、あらゆる年齢の「死者」の臓器を摘出し、別人に移植できるようにしようという内容だ。「移植医療」を推進したい人々にしてみると、歓迎すべき法案が衆院を通ったということになるのだろうが、問題は多い。

 今回の法案で「脳死」を「人の死」と定めた理由は、新鮮な臓器を手に入れやすくするためである。この事実を誤魔化してはならない。脳の仕組みが完全に解明されたとは言えないことを考えると、脳死の判定は簡単でない。新鮮な臓器が欲しいという感情が先に立つと、限りなく殺人に近づいてしまう可能性がある。このことを肝に銘じておく必要はある。

 幼児の場合、自分の臓器を提供するかどうかを事前に自分で意思表示することは不可能で、親が決めることになる。例えば、その親が多重債務者で、闇金融(暴力団)に「追い込み」をかけられている場合、「臓器で返済」ということは起こりえる。

 現段階でも多くの医師が虐待の有無を見抜くことが困難だと考えているのだが、外部の「プロ」が関与してきた場合、殺害方法はより巧妙化し、見過ごされることになりかねない。新鮮な臓器を前にすれば、チェックが甘くなる可能性もあるだろう。金銭の授受を調べることも簡単でない。

 また、救急医療や小児医療が崩壊寸前の状態にある現在、臓器の供給数が増える可能性もある。そこで、人によっては現状を改善する必要はないと考えるかもしれない。救急医療や小児医療の分野が充実すれば、臓器の供給数は減少してしまうからだ。

 医療の目的が「治療」ではなく、臓器の「鮮度」を維持することにもなりかねない。まさか、某国で路上生活している子どもを誘拐して臓器を輸入したり、身寄りのなさそうな旅行者の臓器を摘出したりすることはないだろうが。

 現在、日本でも健康保険システムが揺らいでいるが、アメリカ並みになった場合、庶民階級の相当部分はシステムから排除され、適切な医療を受けられなくなることが確実である。そうなれば、「商品価値の高い臓器」の供給数はさらに増えることになるだろう。これを良しとするのか、悪しとするのか。

 臓器移植を考える場合、日本には特別な問題も横たわっている。日中戦争で日本の医学界が軍と共同で行った細菌兵器、化学兵器の開発である。その末端にあった「実験部隊」が「731部隊」であり、そこでは生体解剖も行われていた。この人脈がミドリ十字や国立予防衛所研
究所(現在の国立感染症研究所)につながっていることは、様々な人が様々な場所で指摘している。

 戦争当時、東京帝国大学や京都帝国大学の教授たちも731部隊の実験に深く関わっていた。この過去を清算することなしに「移植医療」などするべきではない。血液製剤が原因で引き起こされた「薬害エイズ」の問題を考えるだけでも、医学界の体質が戦後になっても変わっていないことがわかる。その実態を知りながら報道しようとしなかったマスコミの体質も「大本営発表」の当時と大差がない。






Last updated  2009/06/22 12:30:02 PM
 イランの混乱が続いている。プラカードやバナーには印刷されたらしい英文が書かれ、組織的な抗議活動だということはわかる。そうした活動をアメリカ国務省は公然と支援しているが、イランに対する先制攻撃について言及していた長官を擁する省だけに、注目しておく必要はあるだろう。

 大統領選でマフムード・アフマディネジャドとホセイン・ムサビの得票は競ると見られていたとマスコミは根拠を示さず、断定的に解説するが、アメリカのNPOが3週間前に実施した調査では、アフマディネジャドがダブルスコアで勝つという結果が出ていた。これはすでに本コラムでも指摘した話だ。開票のスピードが速すぎるとか、信憑性が不明の「内部情報」が不正の根拠になっているようだが、信頼できるとは言えない。

 勿論、選挙に不正行為はつきものである。例えば、2000年と2004年の米大統領選挙で組織的な不正があったと信じる人は多い。この場合、投票妨害や投票用紙の問題、電子投票システムの疑惑など具体的な根拠があった。こうした疑惑をアメリカの司法が封印し、ジョージ・W・ブッシュ政権は誕生した。そのひとつの結果がアフガニスタンやイラクへの先制攻撃であり、100万人を超すと言われる非戦闘員の虐殺につながった。要するに、ここでアメリカ政府がイランの大統領選挙で不正があったと声高に叫ぶわけにはいかない。そんなことをすれば、物笑いの種になるだけだ。

 1953年にイランでは民主的に選ばれたムハマド・モサデグの政権がクーデターで倒されたが、その序章は反政府デモだった。この軍事行動にアメリカが関係していたことをバラク・オバマ大統領は先日、認めている。このクーデターを企画したのはイギリスの情報機関であり、実行したのはアメリカの情報機関だということは広く知られている話(拙著『テロ帝国アメリカは21世紀に耐えられない』を参照)だが、アメリカ大統領が認めた意味は重いだろう。

 2001年にはベネズエラでウーゴ・チャベス政権の打倒を目指すクーデターが企てられている。このときも反政府デモから始まった。その黒幕として名前が挙がっているのは、ネオコンのエリオット・エイブラムズ、キューバ系のオットー・ライク、秘密工作の常連であるジョン・ネグロポンテ。新政権は実業家のペドロ・カルモナを中心に組閣されることになっていた。

 クーデターの際、アメリカ海軍がベネズエラ沖で待機していたとも言われているほか、アメリカの武官、例えばジェームズ・ロジャーズ中佐の関与も指摘されている。勿論、アメリカ側はクーデターへの関与を否定しているが。

 このクーデター計画は失敗に終わるが、その理由は事前に情報がチャベスに伝えられていたからだった。OPEC(石油輸出国機構)のアリ・ロドリゲスからクーデターが計画されていると警告されていたのだ。

 イランで現在、どのような事態が進行しているのかは不明だが、こうした状況の中、怪しげな情報を信じ込み、振り回されるべきでないとは言える。「信頼できる筋」は意外と信頼できないものである。







Last updated  2009/06/22 12:26:03 PM
2009/06/17
 イランとグルジアに不安定の波が押し寄せている。イランでは「自由を求める勇気ある人々」がデモを繰り広げ、ホセイン・ムサビが大統領選挙で負けたことを認めないと主張している。その数は十数万人とも100万人とも伝えられているが、こうした動きを受けてマフムード・アフマディネジャドを支持する人々も集まり始め、緊張は高まっている。

 日本のマスコミの報道姿勢を見ていると、選挙に不正があったことを前提にしているようだが、ワシントンポスト紙によると、アメリカのNPOが3週間前に30州で実施した世論調査では、2対1の割合(注)で現職のアフマディネジャドがリードしていたという。
つまり、選挙の結果と一致している。

 ホセイン・ムサビの支持基盤は「改革派」だとされている。西側のマスメディアが「改革派」、あるいは「民主勢力」と呼ぶ人々は、知識人や「中産階級」を指していることが多い。欧米的な考え方をする人々であり、かつての「改革路線」で良い思いをした人々だとも言えるだろう。それに対し、アフマディネジャド大統領の支持基盤は、学ぶこともままならず、「知識」を身につけることも難しいような「貧困階級」の人々である。「改革路線」で切り捨てられた人々だ。

 そうしたイランで、アメリカやイスラエルの秘密部隊が工作を続けている。おそらく、ホワイトハウスやペンタゴンの指揮下にはない。イランを不安定化し、あわよくば攻撃しようとしているのだが、これはアメリカの「旧保守」にとって好ましくない展開。今回のデモ自体が仕組まれたものかどうかは不明だが、こうした混乱を利用して自分たちにとって都合の良い状況を作ろうとすることは間違いないだろう。

 イランがこのように混乱しているとき、その北に位置しているグルジアでは「親アメリカ/イスラエル派」のミハイル・サーカシビリ大統領に抗議する活動が月曜日にあり、警察隊と衝突して負傷者が出ていると報道されている。

 グルジアのサーカシビリ政権は昨年8月に南オセチアを奇襲攻撃し、逆にロシア軍の反撃で惨敗している。この戦闘ではイスラエルの存在が指摘されている。同国はグルジア軍に武器/兵器を提供、軍事訓練を行い、奇襲作戦の立案をしたのではと疑う人もいる。

 さらに、アメリカの傭兵会社、MPRIとアメリカン・システムズは、元特殊部隊員で編成されたチームを昨年1月から4月にかけてグルジアに派遣して同国の特殊部隊を訓練し、さらに奇襲作戦の数日前にも教官がグルジアへ入ったと伝えられている。アメリカ政府も数年間に150名程度の教官をグルジアに派遣していた。

 この戦闘に関し、EU委員会は主な責任がサーカシビリ大統領にあると結論づけて非難している。ただ、アメリカやイスラエルの役割に関しては調べず、報告にも反映されていない。これは当然だろう。アメリカやイスラエルとEUが事を構えることは、少なくとも現段階では無理である。

 イランとグルジアの混乱にアメリカ(親イスラエル派)とイスラエルが関与していないと考えることは難しい。

(注)「大統領選挙で誰に投票しますか?」
    アフマディネジャド:34%、ムサビ:14%






Last updated  2009/06/17 01:21:14 PM
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