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桜井ジャーナル:マスコミが報道しない事実    ―見えない「帝国」の闇 【非公式情報】    

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2007/08/17
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株価が下げ続けている。その背景については前回のコラムで触れたとおりだが、今回は相場の動きそのものに注目してみたい。

まず、東京市場の「日経平均株価」は1万6100円を割ったところで中期の下げ局面に入ったと見なければならない。とりあえず1万5000円近辺に抵抗ラインがあると思われるが、1万6100円の切り方を見る限り、そこで止まると期待しない方がいい。今年の年末近くには1万3000円あたりまで下がる可能性がある。が、そこも決して強い抵抗ラインではないだろう。イラク戦争前の水準に戻ることを想定しておく必要がある。

ジョージ・W・ブッシュが大統領に就任した頃、すでにアメリカ流の新自由主義経済システムは破綻しつつあった。そうしたこともあり、筆者は月刊「軍事研究」誌(2001年10月号)で1930年代のクーデター計画を紹介、「何か大きな出来事」を示唆したのだ。

ビル・クリントン政権もこうした経済政策を修正できなかった。日本からの資金が結果として負のエネルギーを増大させたことも否定できない。このアメリカ支援政策が日本社会に壊滅的打撃を与えたこともは勿論だ。

2003年春のイラク侵攻は兵器産業を潤し、兵站部門でもホワイトハウスにコネクションのある巨大企業が大儲けしている。さらに、カルト的なキリスト教原理主義者(シオコン/神保守)が経営するブラックウォーターのような傭兵産業(あるいは民間特殊部隊)を急成長させた。2003年から続いた株価上昇にはこうした軍事関連企業の大儲けが寄与していると思えるが、それは一方で財政を圧迫している。

刑務所や医療分野だけでなく、現政権になってからは軍隊の民営化も推進しているアメリカ。財政の悪化は「庶民」が苦しむだけだとエリートたちは考えているかもしれないが、実体経済の主役はその庶民。エリートたちは実体経済から吸い上げた資金を株式、債券、為替、商品を取引する「カジノ」で回しているだけのこと。実体経済が破綻すればカジノも破綻することになる。

第2次世界大戦前、1920年代のアメリカでも一部権力者による「富の独占政策」が推し進められていた。こうした政策に反発したアメリカ国民の選んだ大統領がフランクリン・ルーズベルト。その新大統領を倒すために「一部資本家」はファシズム体制の樹立を目指すクーデターを計画したのである。(拙著『テロ帝国アメリカは21世紀に耐えられない』の中で紹介している。)現在、ブッシュ政権が民主主義を否定する政策を次々と打ち出しているのも偶然ではない。

そうした中、マイケル・ムーアが医療問題をテーマにした「SiCKO」なる映画を作るなど、アメリカ国内で自国の暗部に目を向けようとする動きもある。また、ラテン・アメリカ諸国は新自由主義経済から離脱しようとしている。キューバのフィデル・カストロやベネズエラのウーゴ・チャベス大統領を「カリブの海賊」と呼び、アメリカ主導の独裁体制に立ち向かう英雄と考える人もいる。キューバ革命の英雄、つまりアメリカを拠点とする巨大多国籍企業の敵、エルネスト・チェ・ゲバラの人気は未だ衰えず、今では「赤い救世主」とまで呼ばれている。

今回の株価下落は昨年春のものとは本質的に違う。イラク侵攻という「カンフル剤」の効力がなくなっただけでなく、重大な副作用も出てきていると考えるべきだろう。





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Last updated  2007/08/17 07:58:29 PM
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