565269 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

桜井ジャーナル:マスコミが報道しない事実    ―見えない「帝国」の闇 【非公式情報】    

桜井ジャーナル:マスコミが報道しない事実    ―見えない「帝国」の闇 【非公式情報】    

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
2008/04/07
XML
ドキュメンタリー映画「靖国 YASUKUNI」が話題になっている。4月12日に公開を予定しているのだが、「新宿バルト9」が3月中旬に上映の取りやめを決定、月末までに東京の「銀座シネパトス」、「シネマート六本木」、「Q-AXシネマ」、そして大阪の「シネマート心斎橋」が続いて取りやめを決めた。NHKが「従軍慰安婦」に関する番組を改変したとされる裁判における東京高裁の判決に出てくる表現を借りるならば、国会議員から「番組作りは公正・中立であるようにとの発言がなされた」ため、映画館側は「相手方の発言を必要以上に重く受けとめ、その意図を忖度(そんたく)して」上映を取りやめたということになるだろう。

最初に「YASUKUNI」を問題にしたのは昨年12月に発行された「週刊新潮」で、その記事に刺激された自民党町村派の稲田朋美議員らが2月中旬以前に文化庁へその映画を見せろと要求、その意向を受けて文化庁が配給会社「アルゴピクチャーズ」へ稲田議員向けに試写会を開きたいと申し入れ、全国会議員を対象にするという条件で会社側は妥協、試写している。さらに稲田議員らは文化庁に対し、政府出資の基金からこの映画への助成は不当だと主張していた。週刊新潮がこの手の記事を書くのは不思議でもなんでもない。それが彼らの商売であり、そういう種類の雑誌なのである。

稲田議員らの政治信条を考えれば、靖国神社をテーマにする以上、プロパガンダでないかぎり許せないに違いない。街宣車が出て嫌がらせをしたというが、これも彼らの仕事である。こうした問題で名前を売らなければ存在意義がないだろう。以前にも書いたことだが、政治家や権力者からのメディアに対する働きかけは日本以外でも珍しくない。そうした「圧力」にNHKや映画館が屈したということである。現在の体制にとって都合の悪い主張をする人、集団ならビラを配っただけで逮捕、起訴、有罪になるのが日本。つまり、警察も上映反対派に寛容な姿勢を見せていたと言われてもしかたがない。

勿論、NHKや映画館が圧力に屈した背景には、国民一般の「自由と民主主義」への鈍感さがあることを忘れてはならない。今の日本では、圧力に立ち向かおうとすると孤立無援の戦いになってしまう。今回は少なからぬ新聞社が上映取りやめを批判する主張を展開しているが、過去を振り返っても言論の自由を放棄する場面は多い。最近の例では、アメリカ政府がイラクへの軍事侵攻を実行する前、攻撃にとって都合の悪い話は伝えようとしなかった。これ以外にも具体的な話を本コラムでは何度か書いているので、繰り返さないが、ひどいものである。そうした過去が今回の騒動にもつながっている。

その後、少なからぬ映画館が上映を申し出ているようだ。今回の騒動が映画の宣伝になったことは間違いない。ヨーロッパでも今回の出来事は報道されていて、日本政府としても慎重に対応せざるをえないだろう。稲田議員も軌道修正に必死のようだ。皮肉な話である。

ところで、同議員は「伝統と創造」を看板に掲げている。その「政治理念」を最初に聞いた時、日本の伝統文化を破壊した明治政府に反対の立場かと一瞬思ったのだが、そうではないらしい。「700年前の天皇親政を取り戻しながら、近代化を推し進めた」明治維新を肯定的にとらえているのだ。

「700年前の天皇親政」ということは、「異形の王権」とも呼ばれる後醍醐天皇が行った「建武の親政」を指しているのだろう。この天皇の特異性は、自らが呪術を行ったところに現れている。その側近だった文観が行ったとされているのが真言立川流の呪術。この宗派は男女の交合を理念とし、どくろを本尊としていたとされている。稲田議員はカルト政治を目指しているのだろうか?





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2008/04/07 01:13:09 PM
[パワーポリティックス非公式情報] カテゴリの最新記事



© Rakuten Group, Inc.