564975 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

桜井ジャーナル:マスコミが報道しない事実    ―見えない「帝国」の闇 【非公式情報】    

桜井ジャーナル:マスコミが報道しない事実    ―見えない「帝国」の闇 【非公式情報】    

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
2009/05/07
XML
 日本の憲法を改めようとしている人たちがいる。与党の自民党にも野党の民主党にもそうした考え方の政治家は少なくない。彼らは「アメリカ」に押しつけられた憲法を自前の憲法に変えるべきだと宣伝しているようだが、新憲法が成立した直後から「アメリカ」が改憲を要求していることは秘密でも何でもない。

 日本を「民主化」しようとしたアメリカ人、つまりニューディール派が憲法を作り、日本を「右旋回」させたアメリカ人、つまり軍事強硬派が現行憲法を破壊しようとしているわけだ。そして、改憲を望むアメリカ人を利用して「戦前レジーム」を復活させようとしている日本人もいる。

 本コラムでは何度も指摘しているように、戦前から第2次世界大戦を経て現在に至るまで、日本の支配構造に本質的な変化はない。憲法が重しになり、そうした支配構造が見えにくくなっているだけだ。天皇は統治の主体から「象徴」に変わったとはいうものの、支配層/権力層の内部では「天皇制」が今でも生きている。各国にある日本大使館を見てもそうした実態を知ることができる。マスコミは天皇を「神聖で侵すことのできない存在」として扱っている。

 ドワイト・アイゼンハワー米大統領(1953年1月から1961年1月まで)は退任演説の中で「軍産複合体」、つまり軍部と軍需産業の連合体が危険な存在になっていると警告したが、この連合体だけでなく、ウォール街を支配する金融資本、その配下にある情報機関の「テロ部隊」も警戒すべき存在である。日本の改憲派はこうしたアメリカのグループと結びつくことで権力を手にして「私益」を得ようとしている。この辺の事情に興味があるならば、拙著『テロ帝国アメリカは21世紀に耐えられない』(三一書房)を読んでいただきたい。

 憲法を改めようとする動きが「日米軍事同盟」と関係していることは否定できない。自衛隊をアメリカ軍の手先として利用するためには現在の憲法が邪魔である。「超大国」という看板の陰でアメリカの経済は衰退し、巨大な軍隊を支えることが難しくなっている。

 アメリカの伝説的な軍人、スメドレー・バトラー少将はかつて戦争を押し込み強盗になぞらえた。つまり、軍事行動にはそれなりの見返りがあったのだが、今は違う。戦争になれば軍需産業や傭兵ビジネスは潤うだろうが、それは政府という装置を経由して国民の資産が戦争ビジネスへ移動するだけの話で、国の衰退につながる。日本の支配層/権力層もそんな程度のことは理解できているだろう。それでも戦争に執着するのは「国益」というラベルを貼った「私益」のためだ。

 ジョージ・W・ブッシュ大統領の場合、ネオコン/シアコン(親イスラエル派)の戦略に協力してアフガニスタンやイラクに先制攻撃を仕掛けただけで、アメリカの巨大資本の利益にも反していた。だからこそ、イラクへ軍事侵攻を開始する前、石油産業とつながりの深い人間が開戦に反対していたのである。イラクだけでなく、イランやシリアの破壊を願っていたのはネオコン/シアコンやイスラエル政府だった。
シアコン、つまりキリスト教原理主義者は宗教的な信念からイスラエルを支援している。日本の改憲派に新たな同盟相手が見つかったとも言えるだろう。

 日本の憲法を作り替えようとしている改憲派は漠然と感情的に「改憲」を訴えているだけで、どの条文をどのように変更したいのか、あるいはどのような憲法を作りたいのかというビジョンを公然とは語ろうとしない。マスコミも同じだ。「新憲法草案」は作成され、議論の対象にはなっているものの、最大の問題点は憲法改正を容易にした点にある。
つまり、「真の新憲法草案」、つまり改憲派はビジョンを隠している可能性が小さくないということだ。

 世論調査によると、第9条は変えたくないが、改憲は何となく必要だと感じている日本人が多いらしいが、何をどのように変えたいのかという意見を持っている人が多いとは思えない。成り行きに身を任せているだけにしか見えない。改憲派は教育で思想的な下地を作り、マスコミで感情的に扇動している。そして、改憲の「雰囲気」を作ることには成功している。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2009/05/07 10:32:25 AM
[パワーポリティックス非公式情報] カテゴリの最新記事



© Rakuten Group, Inc.