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桜井ジャーナル:マスコミが報道しない事実    ―見えない「帝国」の闇 【非公式情報】    

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2009/07/06
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 ジョー・バイデン米副大統領はアメリカのネットワーク局ABCが5日に放送した番組の中で、イスラエルのイラン攻撃を止めないと発言した。主権国家が自らの安全に関して決めたことに口出しはしないということのようだが、この発言をイラン攻撃の「青信号」だと解釈するのか、イスラエルを突き放したのだと解釈するのかは微妙なところ。アメリカが積極的に動くことはないというようには聞こえるが。

 先月4日、バラク・オバマ大統領はカイロでの演説でイスラム諸国との新たな関係を築く意志を示したのだが、障害は多い。まず、イスラエル。この国は和平に興味がなく、アメリカ政府の意向を無視して入植活動を継続し、国連が行っているガザ攻撃における「戦争犯罪」の調査にも背を向けている。イランでは大統領選挙の結果が出た後、「改革派」のホセイン・ムサビ候補の支持者が選挙に不正があったと主張して抗議活動を始め、混乱している。アメリカ政府としてもイランと話し合うことは難しい状況だ。

 本コラムでは何度も指摘しているが、投票の3週間前にアメリカのNPO「TFT(恐怖のない明日)」が調査を行い、ダブルスコア以上の差でマフムード・アフマディネジャド大統領が圧勝するという結果が出ていた。発表された投票結果では、その世論調査よりも差は縮まっていたが、ほぼ調査通りの結果だった。結果を左右するような不正があったとは言えない。当初は反アフマディネジャドで威勢の良かったイギリスのメディアも、この調査の存在が伝えられると直ぐにトーンダウンしている。

 本当に自分たちが勝ったとホセイン・ムサビ候補や支持者は信じていたのか、信じた振りをしていたのかは不明だが、もし信じていたとするならば、誰かに騙された可能性が出てくる。騙されたのならば誰が騙したのか?信じた振りをしたのならば、目的は何なのか?

 ムサビ陣営を騙す可能性があるのは、アフマディネジャド陣営かイスラエルだろう。国内を緊張状態にしておいた方が統治しやすいと考えても不思議ではない。また、イラン攻撃を実現したいイスラエルや親イスラエル派にとってもイランの混乱は好都合だ。

 実際、イランの混乱を口実にしてアメリカ議会の親イスラエル派は、イランを攻撃するべきだと発言し、オバマ大統領に圧力を加えている。
イスラエル、あるいは親イスラエル派にとってムサビ派の行動は願ってもないことだった。混乱を収拾するためにイラン政府が強権を発動してくれれば、さらにありがたいだろう。

 その一方、アメリカ政府にはイラン攻撃を避けたいと思っている人たちが少なくない。ロバート・ゲーツ国防長官はイラン攻撃がイスラム世界に「聖戦世代」を作り出し、孫の世代にはアメリカが戦場になると発言していると伝えられているが、これまでに行った彼の言動から判断して、信憑性はある。オバマもゲーツもイラン攻撃には反対している。

 しかし、ホワイトハウスの中にも親イスラエル派は存在し、イラン攻撃にも前向きな姿勢を示している。例えば、先月7日、大統領がカイロで演説していた頃、ヒラリー・クリントン国務長官はABCの番組で、イスラエルを攻撃したらアメリカが報復すると発言、イランに対する先制攻撃にも言及した。大統領と国務長官が「同床異夢」だということは明らかだ。

 イラン攻撃にはサウジ・アラビアも賛成しているとする報道もあるが、実際に攻撃があれば、サウジ・アラビアの国内で反乱が起きて王制が倒れるような事態に発展する可能性も出てくる。親米独裁国家の支配者の思惑とは関係なく、一般民衆がイスラエルに対する報復攻撃を始めることも考えられるのだが、そうなったとき、アメリカは主権国家としてのイランに対し、イスラエルに代わって報復攻撃するのだろうか?
(2009.7.5)





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Last updated  2009/07/06 01:15:29 PM
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