本のタイトル・作者
ケーキの切れない非行少年たち (新潮新書) [ 宮口 幸治 ]
この本はどんな人におすすめ?
・子供の認知能力について知りたい人
・犯罪に「どうしてそんなことをしたんだろう?」と思う人
・問題のある子どもたちにどう関わっていくかのヒントを探している人
本の目次・あらすじ
第1章 「反省以前」の子どもたち
第2章 「僕はやさしい人間です」と答える殺人少年
第3章 非行少年に共通する特徴
第4章 気づかれない子どもたち
第5章 忘れられた人々
第6章 褒める教育だけでは問題は解決しない
第7章 ではどうすれば?1日5分で日本を変える
引用
今の学校では、こういった学習の土台となる基礎的な認知能力をアセスメントして、そこに弱さがある児童にはトレーニングをさせる、といった系統的な支援がないのです。少年院の非行少年たちも同様でした。簡単な図も写せず、短い文章の復唱もできない。そんな状態のまま小学校、中学校で難しい勉強に晒され、ついていけなくなり、勉強嫌いになり、自信の喪失や怠学に結びつき、ひいては非行化していったのです。
感想
2020年読書:107冊目
おすすめ度:★★★★
「シューイチ」でカズレーザーさんが紹介していた本。
紹介されていたのを見て「面白そうだな」と思っていたら、あっという間にベストセラーに。
テレビの影響すごい。
著者は立命館大学産業社会学部教授。児童精神科医として精神科病院や医療少年院に勤務した経験を持つ。
普段、少年院について知る機会がない。
何か事件が起こったときに取りざたされ、忘れられる。
でも、そこには、「更生」以前の問題がある。
罪を犯した人たちには、見過ごされてきた障害がある。
そこをどうにかしなければ、罪を犯す人は減らず、被害者を生み続け、再犯が起こり、彼らを収容するコストもかかる。
そのためには、勉強以前の認知能力を高める必要がある。
「なるほど」と思った。
学校の勉強がどれも教科教育に偏っていて、まずそこに到達できない子供たちが付いていけなくなる。
障害に判定されない子供たちは、どうすることも出来ず、困り果てて問題行動を起こす。
その子供たちを掬いあげられるのは、犯罪の手前で救えるのは、学校しか、教育しかない。
ただ、それをする余裕は教育現場にはない。
『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』でも学校の先生はソーシャルワーカー化しているとあった。日本でも同じく。
教科教育の教師と、基礎能力をのばす教師を分けるべきなんだろうなあ。
腹を据えて、勉強以外をも学ぶ場として学校をとらえなおす。
『保育園義務教育化』を読んだときにも思ったけど、保育園を義務教育にして、4歳くらいから認知能力を高める教育を出来たら…。
フィンランドでは、教育の目標は「良き納税者を育てる」であったと思う。
そこにコストをかけると、もしかしたら犯罪ってすごく減るのかもしれない。
国としてはものすごーく、プラスになるのかも。
本の中にあった
「子どもの心に扉があるとすれば、その取手は内側にしかついていない」
という言葉が、印象的だった。
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