320life

本のタイトル・作者

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レンタルなんもしない人の“もっと”なんもしなかった話 [ レンタルなんもしない人 ]​

本の目次・あらすじ

１　２月：なにもレンタルしないってことだけど、聖書はお貸ししますね
２　３月：私の引き算のやり方、変ですか
３　４月：地上って雨降るところですよね
４　５月：弟が最後に飲食した店に同行してほしい
５　６月：僕の中にいる複数の人格の相手をしてほしい
６　７月：デートして最後に告白するので振ってほしい
７　８月：返事が来ない手紙って何書いていいか難しい
８　９月：良いなぁ～、その仕事楽しそうですね
９　１０月：わんこそば一〇〇杯達成の夢があるが一人だと虚しいので…
１０　１１月：他界した祖父の出生地を一緒に調べてほしい
１１　１２月：なんもしないことって案外いいんだね
１２　１月（２０２０年）：日記を読み返し、過去との別れを見届けてほしい
１３　２月：見ることのできなかった兄の自殺場所を見たい

引用

「人は存在自体に価値がある」という主張に賛同されること多いけど、本当に賛同してるのかと疑わしく思う。（略）レンタルなんもしない人は今のところ、「なんもしない人でも“役に立った”ので価値がある」「役に立つことがあるから意義がある」というふうに理解されていて、「人は役に立たなくても価値があるのか？」という問いには答えられていない。結局、生産性重視の価値から一歩も動けていないと最近よく思う。

感想

2020年読書：202冊目
おすすめ度：★★★

2020.11.30「200.レンタルなんもしない人のなんもしなかった話 [ レンタルなんもしない人 ]」の続き。
「惚気報告」がどれもいちいち可愛くて、なんか恋愛っていいね…と思う。
しかしこれをリアルで聞かされ続けると、かなり拷問に近いものがあるだろうな（心を無にして二次創作のネタにするしかできない）。
人と喋るのを忘れそうだからと、「は・か・た・の」とメッセージ送って来て「しお！」と返すくだりも好きです。
途中からレンタルが１回１万円になっていて、「えっ」とちょっとモヤっとしたのだけど、でもよく考えたら「レンタル無料の人」ではなく「レンタルなんもしない人」なんだからお金とってもいいんだし、そもそも何というか存在の意義みたいなものにお金を払っている感がある。ソシャゲの課金的な…。
で、それは引用部の「役に立ってる」ってことなんですよね。私の人生において意味がある。
じゃあ、役に立たないということになったらどうなるんだろう？
もし自分が何もできなくなって、死を待つしかなくて、人の力を借りなければ何もできなくて、その時に「役に立っていない」と思って、それでも生きている意味があると自分は思えるだろうか？
「それくらいなら死んでしまいたい」と思うなら、それは今その状態にある人を「生きている価値がない」と否定していることと同じなのではないか？

レンタルなんもしない人をレンタルしたくなるタイミングを考えてみたけど、すぐに思いつかない。
あえていうとレンタルなんもしない人に１日付き添いたいけどそれ違うしな…？
東京に住んでいるかどうかも大きいのだろうか。その存在にすぐに会えるかどうか。
東京という町がこの世のなかにあることを知っているんだけど信じられない（ハリーポッターのホグワーツがあることを知っているけどこの世にないことは知っているみたいな感じ）みたいな。
本人が自身の存在を「妖怪」と言っていたのも分かる。怪談の類みたいだ。巷説百物語。

なんというか、世の中は広くて、人間は多様で、面白いなあ。