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2020.12.25
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テーマ:読書(8205)
カテゴリ:【読書】未分類

本のタイトル・作者



物語の海を泳いで [ 角田 光代 ]

本の目次・あらすじ


1 物語に出合う
真に出会うとーアストリッド・リンドグレーン『長くつ下のピッピ』
私は「真実」を読むー佐野洋子『100万回生きた猫』
私の偏愛書ー松谷みよ子『モモちゃんとアカネちゃん』
なつかしい一冊ー『リチャード・ブローティガン詩集 突然訪れた天使の日』
「私は」―書き出しの一行
家のあちこちに本を置く
記憶に作用する読書
森に分け入る
酒を飲まずにいられない
旅人としての林芙美子
開高健とパリ
私の記憶としての「家族」―向田邦子のマジック
変換のさなか
拝啓、A子さま―『大島弓子選集』
日常のなかの神秘―大島弓子『グーグーだって猫である』
世界を切り取る―岡崎京子

2 心に残る、あの本この本
濃厚な喪失の気配とかなしみ J・アーヴィング『あの川のほとりで』
マイノリティに寄り添って不寛容と優雅に闘う J・アーヴィング『ひとりの体で』
闘った、愛した証としての人生 J・アーヴィング『神秘大通り』
善も悪もひっくるめた混沌 赤松利市『ボダ子』
つかみそこねたような不気味さ 芹沢央『火のないところに煙は』
彼らはけっして孤独を手放さない イーユン・リー『独りでいるより優しくて』
複雑に絡み合いながら繁殖する小説 伊坂幸太郎『夜の国のクーパー』
後悔を引きずりながらも人は前に進む 一木けい『1ミリの後悔もない、はずがない』
死の真相に潜む日常の狂気 井上荒野『あたしたち、海へ』
同じ船に乗り合わせた人たち 今井信吾『宿題の絵日記帳』
過去の記憶と宿命に向き合う ネイサン・イングランダー『アンネ・フランクいついて語るときに僕たちの語ること』
すでにそこにあるいのち 歌代幸子『精子提供』
転がる運命を引き受ける爽快な物語 江國香織『はだかんぼうたち』
人は何によって死ぬべきか 小川国夫『動員時代―海へ』『イエス・キリストの生涯』
「たったそれだけのこと」の奥にある異様な光景 奥田英朗『罪の轍』
理不尽で不平等な生を生きる 尾崎俊介『S先生のこと』
ちりばめられたすべてのうつくしいもの 乙川優三郎『この地上において私たちを満足させるもの』
深い森 梯久美子『狂うひと』
娘という異物、母という世間 キム・ヘジン『娘について』
すべての猫は語る ポール・ギャリコ『猫語のノート』
専業主婦のあてなき逃亡 桐野夏生『だから荒野』
時代からも年齢からも自由な女性作家 工藤美代子『恋づくし』
私たちの隣にいるだれか 窪美澄『晴天の迷いクジラ』
彼らはどう生きたらいいのか 桜井鈴茂『できそこないの世界でおれたちは』
モハメド・アリは世界に何を見せたのか 佐藤賢一『ファイト』
母の時間と子どもの時間 佐野洋子『私の息子はサルだった』
あの名作に別の角度から光をあてる ジェラルド・ニコシア&アン・マリー・サントス『ガールズ・オン・ザ・ロード』
私たちのそれぞれの「克美荘」 椎名誠『哀愁の街に霧が降るのだ』
私の知らない私の顔 篠田節子『鏡の背面』
母であり妻であり女であることの孤独 島本理生『Red』
このまっさらな、まごうことなき世界 ミランダ・ジュライ『最初の悪い男』
嘘の醸し出す異物のような孤独 ベルンハルト・シュリンク『夏の嘘』
軽やかな混沌 ドメニコ・スタルノーネ『靴ひも』
生きていくのってこういうことなんだろう 先崎学『うつ病九段』
彼女たちが闘ったもの 唯野未歩子『彼女たちがやったこと』
私たちが見ないふりをしたもの 津島佑子『ヤマネコ・ドーム』
宿命というものの冷徹で絶対的な力 辻原登『冬の旅』
この人は、編集者の力というものを信じていた 寺田博『文芸誌編集実記』
猫とはいったいにゃんであるのか 中川翔子『にゃんそろじー』
生々しく見えてくる戦後史 橋本治『草薙の剣』
人々の未来をおさめたポートレート 林典子『ヤズディの祈り』
戦争という重い荷を背負わされて エヴァ・バロンスキー『マグノリアの眠り』
食べることの大いなる幸福と覚悟 平松洋子『日本のすごい味』
わかり合うより重要なのは ビートたけし『アナログ』
しみこんで消えない愛の面影 藤野千夜『君のいた日々』
昭和にタイムスリップした少女が見る世界 藤野千夜『時穴みみか』
漫画編集部のユニークな人々 藤野千夜『編集ども集まれ!』
動物たちの視線で見分けるうつくしいもの 松浦寿輝『タミーを救え!』
自分にとっての生と死をただ考えさせる 松山巌『ちちんぷいぷい』
乳と蜜の流れる地にたどり着くためには 村山由佳『ミルク・アンド・ハニー』
自由に生き、正直にもの言う女たち 森まゆみ『「青鞜」の冒険』
月もすすきも、恋する猫も秋の蚊も 森まゆみ『子規の音』
孤独と不信から逃げおおせる場所 山田太一『空也上人がいた』
水紋のように広がっていく時代の流れ 吉川泰久『坊ちゃんのそれから』
世界を舞台にした新型エネルギーをめぐる情報戦 吉田修一『太陽は動かない』
迫り来る羆と雪山 吉村龍一『光る牙』
魔法もファンタジーもない現実 J・K・ローリング『カジュアル・ベイカンシー』
野蛮なほど無垢なむき出しの自分 綿矢りさ『ひらいて』

3 わたしの読書日記
孤独をおそれずに書く 二〇〇七年・秋
新しい家族像 二〇〇八年・春
いくつもの「生」 二〇〇八年・夏
不格好な日々 二〇〇八年・冬
なんでもない今 二〇〇九年・春
人生のからくり 二〇〇九年・夏
ずれた人たち 二〇〇九年・秋
少女、おんな、女 二〇一〇年・春
奇妙な場所 二〇一〇年・夏
漫画が足りない 二〇一〇年・秋
いのちの栄養 二〇一一年・冬
こわいもの 二〇一一年・夏
するりと逃げていく 二〇一一年・秋
食べる。問う。 二〇一二年・冬
笑って、泣いて 二〇一二年・春
豊かな本と出合う 二〇一二年・秋
突きつけられる真実 二〇一三年・冬
幸福と家族と動物と 二〇一三年・夏
自分を生きる 二〇一三年・秋
人生との格闘 二〇一四年・春
人生の真実に触れる 二〇一四年・秋
結婚問題あれこれ 二〇一五年・冬
亡き作家の新刊 二〇一五年・春
小説家とは何か 二〇一五年・秋
災害後を生きる 二〇一六年・春
小説の時代背景 二〇一六年・夏
犯罪に至る事情 二〇一六年・秋
まっとうな日常 二〇一七年・春
本が私を呼んでいる 二〇一八年・二月~八月

あとがき

引用


世のなかのすべての本が読めないのも、またいたしかたないと思うしかない。どれほど長く生きても、どれほど旅をしても、どれほど多くの活動をしても、人生において知り合う人がかぎられているのと同じだ。
(略)
読みたい本をすべて読めないと嘆くよりも、縁あるいは奇跡を、この先できるだけ見落としませんようにと思うしかない。


感想


2020年読書:234冊目
おすすめ度:★★★

大学に入った時、大学生協の前に幟が立っていた。

「100冊読もう。」

その時、「1年に100冊か、学生の身分なのに少ないなあ」と思った。
でもよく見てみると、それは「学生のうちに、100冊読もう。」と書いてあった。
4年で100冊、1年に25冊、月に2冊―――たったそれだけを目標に掲げるのか?学生なのに?
そして学生のうちに、ということは、それ以降はもっと読まないということだ。

本を読んで来た。
文字を覚えてからずっと、食事をするように、毎日毎日。
だから分からない。本を読まずに生きていける人が。

最近、ふと気付いた。
毎年200冊(これがここ最近の私の読書ペース)の本を読むとして―――10年で2千冊。
30年で6千冊しか読めない!
嘘だろう。
世の中にはこんなにもたくさん本があるのに、あれもこれも、読みたい本だらけで、古いものも新しいものも手を付けていないものばかりなのに。
これから先、私が読めるのは、1万冊にも満たないのかもしれない。
死ぬまでに、読めない本の方が圧倒的に多い。
その事実に、ぞっとする。
私が一生をかけても、すべての本を読むことはできない。
その当たり前のことに今更のように気付いて悔しい。
…私の天国にはKindleUnlimitedと図書館を設けよう。

かように私は、本を読むのが好きだ。

だから、本好きが本について語っている本も好きだ。
今回、角田さんの本もそうだった。
「本好きあるある」と、たくさんの書評。
あれもこれも読んだことがない。読んだことのある本の方が少ない。
それは、行ったことのない場所の旅の話を聞くよう。
その場所の写真はない。ただ、思い出が語られるだけ。
けれど、楽しい。
読書は、記憶の建築だ。
同じ1冊でも、その人だけの風景と感情がある。
書評って結局、自分の記憶を披歴することなのだと思う。
その本にかこつけて、過去を開陳すること。
今年1年、読了したすべての本のレビューを書いてきて思う。

物語の海。
三浦しをん『舟を編む』の辞書の名前も「言海」だったっけ。
どこまでも広い、大海原。水平線のむこう。
浜の真砂は尽きるとも、詠む言の葉はよも尽きじ。
けれど私にとってそれは、本は「森」のほうがしっくりくる。
万の言の葉がさんざめく、深い森。
幼い頃、図書館の本棚は、背の高い木々のようだった。
丸椅子に座り、木の根に腰を下ろしているような気がした。
大樹に寄り添い、天を仰ぐ。
木漏れ日が光る。

この本の中で、たくさんの本が紹介されていて、あれもこれも読みたくなった。
けれどそこで「私が一生に読める本は限られている」という事実に愕然とする。
それを、角田さんは縁だという。
限界を嘆くのではなく、一冊一冊、出会いの奇跡を噛みしめ、運命を尊び、進もうと。
そうだね。
あれもこれも、読みたい。
でも、あれもこれも、読まなくて良い。

私が読んできた本。これから読む本。
本を読む、と一口に言っても、その内容は人により千差万別。
たくさん本を読みたい。
たくさんの人に出会いたい。
けれど、足早に立ち去るだけでなく、話し込むことがあっても良い。
何冊読んだ、なんてものは何の指標にもならない。
本を読んだからって偉くなれるわけじゃない。
それはあくまでも、自分のため。
だから、偶然の出会いも、大切に出来るように。

物語の海を泳いで、物語の森を分け入って。
そこに見える自分だけの記憶を、見たい。


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最終更新日  2020.12.25 18:00:08
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