2021/09/22(水)00:00
202.代理母、はじめました [ 垣谷美雨 ]
本のタイトル・作者
代理母、はじめました (単行本) [ 垣谷 美雨 ]
本の目次・あらすじ
2040年、東京。
富士山の噴火により、火山灰で覆われた都市から金持ちは脱出し、都市機能は長野に移転した。
AIの導入とドローンの開発で失業者は溢れ、インド系・中東アジア系の移民が混ざり合わずに暮らす。
貧困にあえぐ16歳のユキは、義父に命じられ中国人の代理母となった。
―――女になんか生まれるんじゃなかった。
奴隷のように扱き使われ、蔑まれ、食い物にされる。
それならいっそ、私が貧乏な女たちを使ってやる。
ユキは義父のもとを逃げ出し、幼馴染のミチオと代理母斡旋ビジネスをはじめる。
引用
代理母たちは、依頼主と対等な立場であることを疑いもしなかった。そのことは、私とミチオの心に様々な変化をもたらした。金持ちと貧乏人の関係だけでなく、白人と有色人種、男と女にも当てはまるのではないか。下位に属するものだけが、虚しくも人間みな平等だと信じている。
感想
2021年読書:202冊目
おすすめ度:★★★
現代日本が代理母を認めていない中で代理出産をする話かと思ったら、とんだディストピア小説でした。
冒頭で描かれる未来の日本が悲惨。
でもこれ、本当になるかもね…。
女であることへの嫌悪、憎悪。呪詛。
それがたくさん詰まっていた。
子供を持つこと。
私は結婚して、当たり前のように子供を持って―――子宝に恵まれて。
でも、それは、「そうするものだ」と思っていたからかもしれない。
子供がいなかったら、結婚しなかったら。どうしていただろう。
独身のまま子供を持つ。不妊治療をする。
そういうことを、考えたのかな。
おそらく、子供がいない人生を考えただろう。
子供がいる人生を、苦く思いながら。
デリバリールーム [ 西尾維新 ]
キッズファイヤー・ドットコム [ 海猫沢めろん ](9月に読んだ本まとめ)
ここらへんの本の感じと似ている。
垣谷さん、冒頭にボリュームがあってぐいぐい読ませるんだけど、後半が流れるんだよな…。
途中で一気に数年進んで「ん?」となった。
この本は代理出産や女性の地位をめぐる問題についても書いてあるけど、移民問題についての方が気になった。
子どもたちの保育園では、外国籍や、ダブルの子が普通にいる。
娘の一番の仲良しの子は、ヴィクトリア(仮名)。
宗教上の理由で給食ではなくお弁当持参。
いや、ほんと、国際色が豊かになってきたなと肌で感じる。
教育現場は多様化に追いついておらず大変だと聞く。
通訳がないと保護者と意思疎通ができない。
人口減少で働き手が必要。
だから移民を受け入れる。単なる労働力として。
ロボットみたいに働いてくれるだけの存在を求めて。
でもそんな都合のよい存在はないんだ。
女も働け、子どもも産め。介護もしろ。
それもまた、都合のよい存在。
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