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2022.01.18
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テーマ:読書(8201)

本のタイトル・作者



小川洋子のつくり方 [ 田畑書店編集部 ]

本の目次・あらすじ


第1章 死者の声を運ぶ小舟
死者の声を運ぶ小舟 小川洋子
How We Retain the Memory of Japan’s Atomic Bombings:Books
(Written by Yoko Ogawa / Translated by Stephen Snyder )

第2章 世界は小川洋子の文学をどう受容したか
世界のジャーナリズムが注目した小川洋子の文学 田畑書店編集部
海外で出版された小川洋子の作品たち

第3章 フランス語圏の小川洋子
ブリュッセル (en Passa Porta)
パリ (en La Maison de la Poesie)
トゥルーズ (en Librairie Ombres Blanches)

第4章 インタヴューズ
有限な盤上に広がる無限の宇宙〈インタヴュアー〉 堀江敏幸
なにかがあった。いまはない。〈インタヴュアー〉 千野帽子

第5章 小川洋子のつくり方
小説の生まれる場所  (於: 関西大学)
小説の不思議 (於: 大阪文学学校)
私が新人作家だった頃 (於: 大阪芸術大学)

第6章 全作品解説 神田法子

あとがき 小川洋子

引用


あえて理屈をいえば、人間はどんなに自由に生きようと思っても、自分の寿命という囲いの中でしか生きられない、という宿命を背負っている、そういう人間を描くのが小説であるとするならば、その人が自由にどこにでも行けるという方向じゃなくて、その人がどういう形で制限を受けているか、ままならない状況のなかにいるか、その人を取り囲んでいる輪郭をまず思い浮かべる。そこから小説の書ける状況が整う。それは作家のタイプとしてそうだと思うんです。まず輪郭を定め、その内側に焦点を絞り込んでゆくと、思いがけない奥行きが開ける。不自由と自由という矛盾がある瞬間逆転する。そこを目指して書いています。


感想


2022年009冊目
★★★★

小川洋子さん、『ミーナの行進』『博士の愛した数式』『猫を抱いて象と泳ぐ』を読んだことがある。
海外でたくさん翻訳されているとは知らなかった。
巻末に全作品解説があって、『注文の多い注文書』『琥珀のまたたき』『密やかな結晶』『ことり』が読みたくなった。

作家のひとが、自分の物語がどこから生まれるのかを語る本が好き。
彼らのことばが、どこからやってくるのか。
この本の中で小川さんも村上春樹氏の「井戸を掘る」という表現に触れている。
小川さんは、「囲われた場所で、追いやられた人びとの小さな声を聞く」という書き方。

小川さんが『アンネの日記』がとてもお好きなのも知らなかった。
インタビューの中でも、繰り返し繰り返し、アンネの日記に触れている。

作家というと、同じことを繰り返し書くことを批判されそうなんだけど、小川さんは別にそれでいいじゃないかと言っている。
「作家の仕事というのは、同じことを繰り返しつつ、中心部を少しずつずらしていって、全体としてどれだけ辛抱強く反復に耐えうるかにかかっていて、そこが大事なんです。」
「なにか自分の手の中にあるものを繰り返し磨いていくしかない」
ああ、これってすごくいいなあ。
琥珀の話があったけど、それを大事に布で磨いている感じがする。
珍奇なものじゃなくてもいい。掌中の珠。減っていくものじゃなくて、輝きを増していく。

私は手慰みに詩や物語を書く。
この本を読んでいて、すごく何かを書きたくなった。
あの風景を、光景を、感情を、あの人たちのことを、私しか知らないのだな、と思うときがある。
私が書かなければ、それは永遠にここに現れないのだ。
私が見たものを、誰かに伝えるには、書くしかない。
けれど彼らの物語を表すには私は未熟で稚拙で、自分が見たものを書くことが出来ない。
そこにあるのに。光にすら手を触れられそうに思うのに。
もどかしさと、面白さ。
書くのってほんとう、楽しいよね。


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最終更新日  2022.12.04 00:48:52
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