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2022.05.10
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テーマ:読書(8187)

本のタイトル・作者



ヒトの壁 (新潮新書) [ 養老 孟司 ]

本の目次・あらすじ


1 人生は不要不急か
2 新しい宗教が生まれる
3 ヒトはAIに似てきている
4 人生とはそんなもの
5 自殺する人とどう接するか
6 なせばなる日本
7 コロナ下の日常
8 ヒト、猫を飼う

引用


問題集ではない。解答集だけ与えられているのだから、問題は「問題は何だったのか」である。解答はわかっているのだが、問題がわかっていない。
学校で教育を受けると、問題が先に与えられて、生徒が答えを出す。それが当然とされている。でも生物の世界は逆である。(略)
「ああすれば、こうなる」はつまるところ、理性の世界、意識の世界、予測と統御の世界である。学校の生徒たちはその中で育つ。だから「ああすれば」に対して、「こうなる」と答えることを常に要求される。
ところが世界は「こうなった」という結果の集積であって、そこでなにかが問われるとすれば、いったい「どうしようとしたのか?」という問いであろう。


感想


2022年114冊目
★★★

『養老先生、病院へ行く』で単独の養老先生の考えをもっと知りたくなって読んだ。
これは『養老先生、病院へ行く』の前後に書かれたものを集めた本。
『養老先生、病院へ行く』を読んでいた時は、どうにも意固地になっているというか、自家撞着というか、大丈夫かな、もう御歳だしな…と思っていたんだけど、自分の土俵で勝負することにかけてはまだまだお元気だな、という印象。(褒めてる)
(私は養老先生を自然と「先生」と読んでしまうのだけど、それは中国語の「先生」(年配の男性に対する敬称という意味あいであって、「老师」ではない。)

八十を超えた養老先生は、自らを「不労働非生産年齢」という。
コロナで暗に問われていることは「生産=お金=価値」という価値観そのものだという。

これ、思う。
ステイホームが叫ばれ、「エッセンシャルワーカー」を除く人々は家に籠った。
つまりみんなが生きていくのに「必要な仕事」、世の中を回すのに「最低限従事する仕事」があぶり出された。
で、その仕事は何だったか?
医療、介護、保育。生活必需品の生産。物流。販売。
たくさんの、日常に隠れたヒーローたち。
それをいくら崇め奉っても、世の中を支えている根幹の仕事がいかに軽んじられてきていたか、ということを裏返してパフォーマンスして「見せた」に過ぎない。
不安定、非正規雇用、低賃金の仕事が世の中を支えている。
その上に胡坐をかいている「私たち」。
拍手をしてその人たちに「家から出て働け」と言い、在宅勤務、テレワークが出来る人は―――雇用が守られていることが多い―――安全な場所にいる。
その矛盾。

「生産=お金=価値」なのだとしたら、お金をたくさん稼ぐ人は偉いのだろうか?
その人の仕事が「エッセンシャルワーク」でなかったとしても?
それは本当に「生産性が高い」といえるのだろうか?
では、「生産性がない」人は価値がないのだろうか?
そもそも「生産性」とは何なのだろう?
養老先生は、相模原障害者施設殺傷事件や、筋萎縮性側索硬化症(ALS)の嘱託殺人にも言及する。
人は生産性がないと生きていてはいけないのか。
生産性を失った人間には、価値がないのか。
それはいったい、誰が決めるのか。

レンタルなんもしない人のなんもしなかった話 [ レンタルなんもしない人 ]
レンタルなんもしない人の“もっと”なんもしなかった話 [ レンタルなんもしない人 ]

を読んだときにも思ったこと。
結局どんな美辞麗句を並べても、心の底で私は「生産性」=「役に立つ」=「価値がある」=「生きていていい」の価値観から逃れられていないのだと、思う。

養老先生の
「国家とは政治体制ではなく、供給能力の総和である」
「ネットの炎上は単なる「反応」」
というのも興味深かった。

昭和天皇の開戦の際の言葉を何回も引用されていたけれど、その「状況のせいであって、自分の意志ではない」=「やむをえない」というの、日本の「雰囲気」「空気」の社会そのものだと思った。

ベトナムでは百足(むかで)を「ヒャッポダ(百歩蛇)」というのは面白かった。
漢語由来なのに、本場・中国語では「五歩蛇」というそうだ。めっちゃ減ってるー!!笑

ほか、文中で出会った知らないことば。

「死せる孔明生ける仲達を走らす」
…三国志の「死諸葛走生仲達」。
 敵軍の孔明が死んだと聞いて進撃した仲達が反撃にあい、訃報は謀略だとして退却したという故事。

これはまあ、孔明とか言ってるしなんとなく意味はわかって、何かそういうのなんだろうなあ、私が知らないだけで。と思ったんだけど、

「鳶の巣文殊山の戦いに」/「また彦左衛門をやってらあ」

このくだりが分からなくて、「???」となった。
調べると、「大久保彦左衛門」という「徳川家康・秀忠・家光に仕え、講談で「天下の御意見番」として親しまれた」人物らしい。
その人の初陣が「鳶の巣文殊山の戦い」で、それを誰彼構わず聞かせて周囲を閉口させた…というような内容を敷いての養老先生のたとえみたいなのだが、分からん!分かる人には分かるのか!私には分からんかった!求ム・注釈。

これまでの関連レビュー


世間とズレちゃうのはしょうがない [ 伊集院光×養老孟司 ]
養老先生、病院へ行く [ 養老孟司×中川恵一 ]


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最終更新日  2022.12.04 00:15:28
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