2023/12/22(金)00:00
250.卒業生には向かない真実 [ ホリー・ジャクソン ]
書名
卒業生には向かない真実 (創元推理文庫) [ ホリー・ジャクソン ]
感想
・自由研究には向かない殺人 [ ホリー・ジャクソン ]
・優等生は探偵に向かない [ ホリー・ジャクソン ]
に続くシリーズ完結編。
シリーズそれぞれが分厚いのですが、今回も688pとかなり分厚かったです。
東京出張している間にずっと読んでいて、重たーい気持ちになりました…。
自身が住む街で起きた殺人事件を自由研究として調査し、ポッドキャストで配信していたビップ。
事件はそこから思いがけない真実が明らかになり、予想もつかない結末を迎えた。
ビップは大学入学を控えていたが、ある日不審な出来事が起こる。
地面に描かれた、頭のない棒人間。
それは日に日に、ビップの家に近づいていた。
無言電話、匿名のメール、首を切られたハト。
ビップは自分の身に迫る危険を探るうち、過去の事件との共通点に気づく。
今回のテーマは、「悪を法が裁かないとき、どうするか?」。
2作めで、「悪」を目の前にしても、それを法の裁きに委ねても、無駄だと知ったビップ。
誰も自分を信じてくれない。社会は地位と見せかけに欺かれる。また、目の前で悪が見逃される。
悪は繰り返す。さらなる悲劇を生む。犠牲者を。
そのとき、自分だけが犯人を、制裁できるとしたら?
その悪を、この世から消し去り、これからの悲劇を防げるとしたら?
そこでビップはついに、一線を越える。
犯人を、殺すのだ。
そして彼女は、その偶発的に生じた予期せぬ殺人を、完全犯罪に仕立て上げる。
さすがにビップが「これ以上この悪をのさばらせないために、殺そう」と決めたときは「えっ?!」と思った。
私裁。
でも、と私は思う。
ビップに見えているものが二転三転したように、暗闇から暗闇が引き出されたように、「個人」が決定したものには穴がある。
だからこそ、法律を作って、みんなでルールを決めて、運用している。
誰かの命を奪っても良いと個人が決定することは、反対に相手が自分の命を奪っても良いと決定できる状態であり、万人の万人による闘争じゃん…。
私はビップのしたことには反対。
という綺麗事、を述べながら。
今回、死後硬直による死亡推定時刻の偽証の仕方、証拠隠滅の方法などが詳しく描かれていて、私も何かあれば(何がある気なんだ)この本に書かれていたことを参考にしようと思う。
小さく切ってトイレに流す。
著者あとがきに、9歳だった甥っ子が「とてもすてきな物語は“・・・”というふうに点(ドット)が三つで終わるんだ」と話してくれたとあった。
そしてこの物語は、「・・・」で終わる。
昔とは違って、それは書き込み中の、文字を待つドット。
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