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2023/12/24(日)12:38

252.クロコダイル・ティアーズ [ 雫井脩介 ]

【読書】小説(日本)(183)

書名 ​クロコダイル・ティアーズ [ 雫井 脩介 ]​ 感想 第168回直木賞候補作ということで読んだ本。 タイトルの「クロコダイル・ティアーズ」は、「わにの涙」。 ヨーロッパでは嘘泣きを意味する慣用句だという。 捕食の際に哀れんで涙を流すように見えるということから。 私ははじめ、金原ひとみ『蛇にピアス』みたいな話かと思っていました。 老舗の陶磁器店の跡取りが殺された。 犯人は、妻の元交際相手。 幼い息子を連れ婚家に身を寄せた悲劇の妻。 しかし犯人は、判決が言い渡された際にこう言った。 「あの女に頼まれてやったのだ」と。 若女将として奮闘する薄幸の未亡人は、はたして被害者なのか、それともーーー? これもうね、私はてっきり若女将(想代子)がクロだと思っていて、子どものDNA鑑定だってすり替えたんだろうと思っていたし、息子に女将を突き落とさせたんだろうと思ってたし、「こいつはいつ尻尾を出してぎゃふんとなるんだ」とスカッとジャパンな展開を期待して読んでいたんですが、最後の最後まで何も起きません。すかっとしないじゃぱん。 エピローグがはじめて想代子視点で、そこで思う。 結局、その人の見ているものってミスリードなんだよな、と。 思い込みと自己解釈。誤解と曲解。 人は見たいものしか見ないし、見えているものしか見えない。 そして一番怖いのって、自分のことが見えていない人なのかも。 ランキングボタンです。 クリック頂くとブログ更新の励みになります!

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