2024/08/12(月)23:28
2024年7月に読んだ本
読了カレンダー
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2024年7月に読んだ本は、24冊でした。
「あんまり今月は読んでへんな〜」と思っていて、後半どどっと読んだ感じ。
鈴木おさむ『もう明日が待っている』は、SMAPを題材にした小説だったんだけど、なんか訳わからんくらい泣いてる自分がいた。別に大してファンでもないのに。「その時代を生きたことを思い出す」感じがする。みんなこれ読んで何を思い出すんだろう、と思った。
あれから僕たちは、何かを信じてこれたかな。
香山リカさんの『61歳で大学教授やめて、北海道で「へき地のお医者さん」はじめました』は、すべての「新しいことに挑戦したいけど、もういい年だし」と思っている人の背中を押してくれる本。おすすめです。
精神科医はへき地医療で“使いもの”になるのか? 私の転職奮闘記 [ 香山 リカ ]
「その後」にあたるのかな?新刊も出たのでこちらも読みたい。
井上夢人『プラスティック』は、古い本でも面白さは色褪せない、と感じた一冊。
こういう本がきっとたくさんあるんだろうなあ。
古典の名作も同じで、古びない面白さ、良さがあるのだろう。
そこまで手が回らない現状。
1日が倍になったら、あとの18時間くらい本を読んで、あと6時間は寝るかな。笑
以下は、各週に書いていたレビューのまとめです(加筆修正なし、番号だけ途中ずれていたので直しました)。
2024年7月に読んだ本
123
“経歴よわよわ”な私の働きかた戦略 「ちゃんとした自分」をあきらめたら、年収が上がりました。 [ こむたろ ]
こういう本を読むと、いつも「ダメダメな自分が〜とか言っている人がダメダメじゃない件」について異議を申し立てたくなる。
ホワイト企業に入社→社員5人の会社に転職→専業主婦(受託業務)→年収750万で就職…
といろいろな働き方をしてきた著者。
スキルあるじゃん!めっちゃ仕事できるんやろほんまは?!と思ってしまう。
いろいろワークが入っていて、
「なぜ嫌なのか」を書き出す→裏返す(どうしたいのか)
というワークは役に立ちそうだなと思った。
あと、
いきなり「仕事ができるスゴイ人」になるのはむずかしいのですが、
「めんどうくさくない人」なら、まだ目指しやすい。
というのは納得。
私めっちゃくちゃ面倒くさがりだし、基本他人のことがどうでも良すぎるんですよね。
だから、お昼ごはんで「今日〇〇なんだ〜」とか話しかけられるの、マジムリ。
え、あんたに私の昼ご飯の内容関係なくない?把握せんといてくれへん?ほっといて?
もちろん相手の昼ご飯とはまったく興味ない。何食べてても自由やろと思う。
という態度がもう万事においてそうなので(これをコミュ障といいます)、「ノマちゃんは同じ部署で働いているのに何年経っても仲良くなれない」と評判です。
という話を夫にすると「それがな、人と人とのコミュニケーションっていうやつやねんで…」とぬるい眼差しを向けられた。
(「そっちから僕に話しかけてくるっていうことは、僕のこと大好きってことなんやな〜」「は?」)
妹がADHD診断受けるのに心療内科にかかっていて、先生が「コミュニケーションの不具合を過去に学んだ経験や他人の応対方法の知識から引用して処理しているから、経験したことがない場面が苦手で、バックグラウンドで非常に高速に情報を処理しているから、日常生活を送るだけで疲労困憊する」と話をしていたそうだ。
わかる…。
妹と二人で「これって何なんやろうな?ほかのひとはそうじゃないんか?」と頭を捻る。
(私は本を読むことでこの「経験則」を積み重ねて、妹はSNSをめっちゃ見ることで積み重ねている)
ちなみに、「私はこんなに頑張っているのに!!」という怒りも感じやすいのだそうだ。自戒。
結局、インストールされている場面にしか対応できないから、そうじゃない場面に遭遇しないようにしている、ということでもあるよな…。
つまりは怖い、ということ。
子供の頃から「ちょっと変わっている」と言われ続けて、それは「対応できない場面」があるからで、だからこそ「対応できる場面」にしか対応しないようにしているというのがある。
昨年度、まったく違う環境に置かれて、大事なのは「はったり」なのだと気づいた。
「は?お前が間違っているが何か?」みたいな態度でいることが大事なんだ…。笑
124
バレットジャーナル 人生を変えるノート術 [ ライダー・キャロル ]
バレジャバレジャ言うてるわりに原案者の本を読んでいなかったのです。
(だってこの表紙、怖くない?スピリチュアル感出してきてて)
Youtubeでご本人の動画を見て、「行けそうな気がする」とついに原作本を読みました。
結果、読んで良かった。というかこの本だけ読んでたら他はいらん気がするし、日本で発展して膾炙している「バレットジャーナル」って最早別物なのでは?
だってこんだけ日本で出版されてきたバレットジャーナル本を読んできたけど、初めて知ることがいっぱい書いてあったんだけど。原典に。
「うまく機能しない脳をスムーズに動かすために自力で編みだした、数々の松葉杖のようなもの」
「現在進行形の自伝」
「人生の記録をつけることで、僕たちは将来、参照できる資料をつくっているのだ。自分の選択と行動が記された資料の宝庫を。」
こういった言葉でバレットジャーナルが語られる。
バレットジャーナル・メソッドの方法論ももちろんなのだけど、自伝的な内容も織り交ぜられていて、「時間」と「人生」について述べた本でもある。
Q あまり器用じゃないし、絵もうまくないんですが、それでもバレットジャーナルができますか?
A はい。BuJoで大切なのは、その内容です。見た目は関係ありません。
まさにこれよな。真意は。
デイリーログも、著者はスペースを定めないで書いていくべきだと言っていて、そうだよね。日によって書く量が全然違うもん。
きれいに作られたフォーマットに違和感を覚えるのは、「いやそれ、バレットジャーナルの意味なくない?」と思うからなんですよね…。
生きるのに苦労しているメンバーの、「何とか生きていくため」の工夫が見たいんよ!
125
メモで自分を動かす全技術 [ 高田 晃 ]
20歳のときに書店でたまたま手に取った熊谷正寿『一冊の手帳で夢は必ずかなう』から、手帳使いに目覚めた著者。
現在は『My手帳倶楽部』という会員制学習コミュニティを主宰。
この本は、様々な手帳術の本をまとめた網羅的なまとめ本。
御本人は今、メモ帳・アイディアノート・手帳の3冊を使ってらっしゃるそう。
…持ち歩くの大変そう…。
でも確かに、手帳ってメモページに限りがあるから、メモやノートって別持ちのほうがいいのかなあと感じている。
この本でも、エビングハウスの忘却曲線(学習後の経過時間と、忘却度を示したグラフ)が紹介されている。
ビジネスに復習が必要なのは、復習する人がいないからというのは「なるほど」と思った。
勉強は「復習しろ」と言うけど、ビジネスは言わないよねえ。
著者は、メモのストックをノートへ転記する「清書ノート」を作っているのだけど、これは「復習」にあたるのだそうだ。
で、思ったのが「バレットジャーナル」の「マイグレーション」(移動)も、「振り返り」(リフレクション)という言葉で表現されているけど、この「復習」だよなということ。
あとは、自由に発想するのにA3ノートを使うというところで、今私はA4コピー用紙をメモに使っているけど、A3でもいいんだよなと気付いた。
(会社にはあるけど、自宅には置いていないのが難点。すぐに手に入ることって大事)
126
もう明日が待っている [ 鈴木 おさむ ]
子育てエッセイとかだと思って読んだら、全然違ってびっくりした。
放送作家として見てきた「SMAP」を描いたノンフィクション・フィクションだった。
著者紹介で2024年3月31日に放送作家を引退されたと知る。
すごいなと思ったのが、この本には一度も「SMAP」っていう名前が出てこない(出せないのかもしれないけど)。
具体的な名称が出てこないのに、「あの番組(SMAP✕SMAP)だ」とか、「あの歌だ」ってわかる。
壮大なほのめかし小説。
20年以上、デビュー当時から解散までずっと彼らを見てきた放送作家の、暴露本。
なんかね、私、別にすごいSMAPのファンだったとかじゃないんですよ。
でも二次元にしか興味がない私が、唯一メンバー全員の名前を言える「ジャニーズ」のグループがSMAPだった。
年上のお姉さんたちが大好きな、かっこいい年上のお兄さんたちのアイドルグループ。
しんごくん、ごろーちゃん、キムタク、なかいくん、つよぽん。
私でも知っている超有名な彼ら。
綺羅星のような存在。
だから、SMAPが解散すると知った時はそれなりにショックだったし、スマスマの解散放送も見た。
それで今、この小説を読んでいたら、なんかね、涙が出てくるの。不思議なことに。
あのとき私も、そこにいたんだ、という場面がたくさんあって。
同じ時代を生きてきたんだ、と思って。
改めて表紙を見て気づく。
ああこれは、5人の5色。
ひとつの花。
ナンバーワンにならなくてもいい、と歌った彼らの。
本を閉じて、裏表紙の花は。
たんぽぽの綿毛のように、バラバラに飛んでいく場面を描いている。
3つの丸は重なったまま。
読み終わって、無意識に「夜空ノムコウ」を口ずさんでいた。
娘に「それ、何の歌?」と訊かれる。
アイドルの歌、と答える。
むかしの、超有名な、アイドルの歌だよ。
127
ちょっぴりながもち するそうです (MOEのえほん) [ ヨシタケ シンスケ ]
「風が吹けば桶屋が儲かる」じゃないけれど、自分のなかのマイナスな気持ちが、どこかで世界とつながって、すこし良いものになるという内容。
さびしい気持ちでいっぱいになると
地下深くの水晶が10倍のスピードで成長するそうです
ヨシタケシンスケさんの大人向け絵本って、みんな同じ内容のよう。
でもそれでいい。それがいい。
今読んでいる対談本にヨシタケさんが出ていらして、「人生を楽しむのが下手チーム」とおっしゃっていて、それをずっと言っているんだと思った。
繰り返し繰り返し、言葉を変えて。
私はヨシタケさんが大人向けに描いた絵本を読むと、このうたを思い出す。
128
ざんねん? びっくり! 文房具のひみつ事典 [ ヨシムラマリ ]
児童向けだけど、面白かった。
「今の鉛筆はナポレオンのムチャぶりから生まれた」
「羽根ペンの羽は生きた鳥から引き抜いて作ってた」
「昔のインクはすごい酸性で紙もペンもすぐボロボロになった」
「鉛筆削りの普及のウラには悲しい事件があった」
「あなたが想像するガムテープはたぶんガムテープじゃない」
「ふせんのはしっこに色をつけているのは日本だけ」
「昔はただの針をさして紙をとめていた」
「針なしのステープラーはじつあhけっこう昔からあった」
「かつてそろばんつき電卓という謎の合体アイテムがあった」
文房具好きはこういう小ネタ、好きだよね?ね?
楽しいよね〜文房具…笑。
129
正解のない雑談 言葉にできないモヤモヤとの付き合い方 [ 大平 一枝 ]
努力してもままならないことがあると悟るところから本当の人生が始まる(飛田和緒・料理家)
自己肯定感が低い自分と機嫌よく付き合っていく(山本浩未・ヘア・メイクアップアーティスト)
つねに自信がない不安思考と折り合っていく。自分のトリセツの作り方(ヨシタケシンスケ・絵本作家)
孤独や言葉にできないというのは、心当たりのある感情(川内倫子・写真家)
自称「生き方ベタ」な自分を俯瞰する(岡本雄矢・歌人芸人)
悩みはなくならない。だから弱音を呑気に言える人間でありたい(三浦直之・劇作家・演出家)
自分がいつも、いちばんの親友(高橋百合子・イーオクト株式会社代表取締役)
ここからの人生は、ひとりよがりでいこうと決めた(谷匡子・挿花家)
愛すべき孤独。寄り添うべき孤独(ちがや・ChigayaBakeshopオーナー)
さまよう時間が自分を下支えする。「積ん読」だけの本でもいつか自分を耕すことがある(辻山良雄・書店「Title」店主)
世界はなんて広いんだ。ひとりぼっちがたくさんいる!(三國万里子・ニットデザイナー)
名もなき感情にラベルを貼ってしまうのは、もったいない(星野概念・精神科医)
感情が自分の真ん中にちゃんとあるか(石井ゆかり・ライター)
『東京の台所』の大平さんが13人と対談したもののまとめ本。
ヨシタケシンスケさんとの対談が一番「ああ、そうなんだ」と思った。
二重の驚きがありました。そういう弱さみたいなものは、けっこうたくさんの人たちの根っこにあるんだな、ビクビクしているのは僕だけじゃないんだなという発見。もうひとつは、他の人たちはそういうものをちゃんとアップデートして乗り越えておとなになっていくけど、僕はその土台の部分にずっといるんだなという驚き。
ヨシタケシンスケさんの作品が好きで、よく読む。
そこにある「だめなお前でいいんだよ」という肯定に対して、それを皮肉って「だめなままじゃだめなんだろうけどさ」と自嘲するような、「でも無理なもんは無理じゃね?」と笑い飛ばすような雰囲気を感じていた。
大平さんは、それを「ネガティブを肯定した上でのポジティブ」と呼ぶ。
ヨシタケさんは世界に対する違和感を拭えないままおとなになった人なんだな、と思う。
この世界に対する新鮮な驚き。目にするものすべてが不思議に思えた日々を忘れないまま。あたりまえに流れていく世界で、それにぶつかる石のように異物として存在する自分。
それは結構、しんどいことだ。
この対談の中で、ご自身を「人生を楽しむのが下手チーム」と読んでいらして、共感。
でも、その「弱さ」の根っこは誰もが持っていたもので、今でもおぼろげに覚えている感覚で、だからこそ彼の作品は広く受け入れられるんだろうな。
村上春樹が作品を「井戸を掘る」と言っていた。
誰しもに共通するその地底まで「井戸を掘る」。
ヨシタケさんもその井戸を掘っているんだろう。
この対談でもう1人面白かったのが、「歌人芸人」の岡本雄矢さん。
大平さんが挙げていた「一番好きな岡本さんの短歌」は
どの暮らしにも関与していないのにWi-Fiだけは僕を見つける
この感性、すごいな。
「うた」って「切り取り方」で、文章の世界でのカメラ。
小説は映画で、映像のつなぎ方で世界を連続して見せる。
短歌は、ポラロイドカメラのように、その四角が「見えている世界」。
その人の目と脳。
ほかに紹介されている短歌も、どれも面白くて素敵。
ぜひ読んでみたいと思った。
130
春休みに出会った探偵は [ 大崎梢 ]
元書店員の作家、大崎梢さん。
本にまつわるお話が多いので、今回も「図書館の先生」が本にまつわる謎を解く探偵のような役割の話だと思っていた。
ら、違った。
「日常の謎」系のミステリ。
花南子は、父子家庭で育った。
その父がシンガポールに転勤することになり、花南子は春休みから曾祖母・五月さんの管理するアパート「さつきハイツ」に入居する。
しかしその矢先、五月さんがギックリ腰で入院。
花南子は、母子家庭の同級生・根尾と、ご近所の謎を追うことに…。
さつきハイツに住む調査会社の調査員・今津さんも、中学生2人の暴走を見かねて手を貸してくれー。
近所の消えたおじいさん「きらきらを少し」
さつきハイツに現れる不審者「ここだけに残ってる」
消えた恋人を探す根尾の隣人「マイホームタウン」
遺産相続を巡る過去の諍いと消えた宝石「おばあさんがいっぱい」
根尾のアパートに住む不自然な子どもたち「ここから上がる」
「でも、いつまでも黙ったままじゃいられないでしょ。今にもこぼれそうな縁まで盛り上がったコップの水を、手に持って歩いている気分」(略)
「コップを大きくすればいい」
「どうやって」
「安住さんも勉強しなよ。いろんなことを学んで、本を読んだり人と会ったりしていると、たぶんコップは大きくなるんだ。飛んでもは跳ねても水はこぼれなくなる」
ラストは衝撃。今どきならではのお話という印象。
名前がアナグラムになっていたり、最初の「きらきらを少し」からヒントはあったのだけど、気づかなかった!
正直、「日常の謎」系のお話って「もうええです、おなかいっぱいですわ」となるんだけど、こういうキャラクターの一捻りがあると新鮮に読める。
131
99%が知らない「行動」を科学する「なまけもの」のやる気スイッチ [ 内藤 誼人 ]
「お腹を空かせてみる」「月曜日にやる気が出ないのは自分のせい」「目標は1週間ごとがベスト」「『死』について考えると、親切になれる」などなど、やる気を出すためにどうすればよいのか、のライフハックを様々な研究結果とともに紹介してくれている本。
ライオンとかチーターとか、そういう猛獣のことを想像するだけでやる気がでるというのは面白かった。
週ごとのルールで行動し、目標を1週間毎にリセットする(仕切り直す)ようにすると、「ブルーマンデー」を「フレッシュ・リスタート日」として捉えられるようになるそうだ。私もこう考えたい。名付けて「イエローマンデー」(なんで黄色やねん(なんとなく))。
132
2LDK5人家族3兄弟 ある日突然、子どもに 「自分の部屋が欲しい!」と言われたら [ マルサイ ]
中2・小6・小3の男子3人に、在宅勤務の親2人、猫1匹。
2LDKに5人家族。
そんな中、次男が「自分の部屋がほしい」と言い出した。
さて、どうしたものか。
予算は20万円。家族はそれぞれに個人のプライベートスペースを確保できるのか?!
という内容。
最後には息子(長男と次男は1部屋を区切って、三男はリビングの一画を仕切って)だけでなく、母のスペースもリビングの一画にできていてすごかった。
しかし息子以外はどこで寝ているんだろう…。
細々としたモノも、クローゼットに収まり切るんだろうか。すごいな。
うちは3LDKで、今は夫が一部屋、子どもと私で一部屋、もう一部屋は納戸状態。
私も娘も「自分の部屋がほしい!」と言っているけど、そこまで切実に訴えているわけではないので「まあそのうちでいいか…」という感じ。
男女だと別々の部屋にしたほうがいいんだろうし、私が夫と同室になるのか、いやだな…(夫は汚部屋の住人。めったにものを買わない代わりに典型的な捨てられない人で、自室にものが溢れかえっている状態。今はそれが自分の部屋だけに留まっているけど…)。
部屋づくりとなるとどうしても「机・椅子・ベッド・棚」と考えるけど、どう考えても「ちゃぶ台・布団・棚」のほうがスペース少なくて済むんだよね…。
家具を揃えると引っ越す時も大変だしなあ。
133
83歳、いま何より勉強が楽しい [ 野口悠紀雄 ]
『「超」整理法』や『「超」勉強法』の野口さん。
御年83歳の今、勉強が楽しい!高齢者はもっと勉強しよう!という内容。
おっしゃっていることが今私が感じている「勉強の楽しさ」に近いと思って読んでいた。
(これについて、SpotifyのPodcastで「学び続けることについて」で話しました)
強制されない勉強って楽しいよね。
野口さんはそれを成果を期待して行う「投資としての勉強」ではなく、楽しいから行う「消費としての勉強=目的のない勉強=最高の遊び」として、「勉強を高齢者の生活の中心に据えよう」と仰る。
古代ギリシャでも奴隷が仕事をしたから哲学が発展したわけで、労働しないでよい環境に置かれて勉強だけ(知識欲だけ)追求できるってものすごい贅沢だ。
うらやま。
私の最近の考えもこれで、もはや勉強(学習)が娯楽になっていて、「やらなきゃいけないこと」「やったほうがいいこと」でもあるけど、同時に「楽しいこと」でもある。
楽しいからやる独学。ひとり楽しむ趣味。
そしてこれは自分だけで完結できる最高の遊びだな、と感じている。
134
放課後ミステリクラブ 1(金魚の泳ぐプール事件) [ 知念実希人 ]
2024年本屋大賞第9位。
児童書初のランクイン!と話題になった本。
著者は『硝子の塔の殺人』の知念実希人さん。
お医者さんでもあるのね。
学校の泣く地蔵が倒された。
さらにプールにはたくさんの金魚が放たれて――。
4年1組の神山美鈴(みすず)、辻堂天馬(てんま)、柚木陸(りく)。
通称「ミステリトリオ」は、担任から依頼され、事件解決に乗り出す。
本は薄くてふりがな付き、挿絵もたくさんあり、巻末付録もありの「懐かしい少年少女小説」のよう。
読者への挑戦状もあってワクワクする。
これを読んで「ミステリって面白いな」と思う子がまた現れるのかと思うと、楽しみだ。
シリーズは現在4巻まで刊行されているので、続きも読みたい。
135
気がつけば40年間無職だった。 (気がつけばシリーズ) [ 難波ふみ ]
いじめ、不登校、潔癖、虐待。
そして30代で高校へ進学。34歳で卒業する。
兄・姉・妹(著者)というきょうだい構成で、これが私と同じ(私は中間子)だったのと、私の妹も小さい頃から不登校などを経て現在も30代で引きこもり?なので、なんというか、私はどうしても「当事者の家族(姉)」という視点で、自分の家族を重ねて読んでしまった。
私は著者のお姉さんのように優しくなくて、ずいぶん妹にひどいことをしたなと思う(親に頼まれて、学校に行け、起きろ、と言っていた)。
「私はこんなに頑張っているんだから、お前も頑張れ。頑張らない奴はゆるさない」という価値観の押し付け。
それは「私はゆるされたことがないのに、妹だけずるい」という思いでもあった。
136
マンガ バナナの魅力を100文字で伝えてください [ 柿内 尚文 ]
漫画+解説という進行の「伝え方」の本。
マーケティングの本かと思ったら、「伝え方」「伝わる技術」がメインテーマ。
でも、たしかにマーケティングも「伝える・伝わる」だな。
イラッときたら、「やさしい人になろう」と心のなかでつぶやく。
これ、出来てないです!!笑
上司だろうと「ああん?ふざけんなよてめえ」っていう態度になっちゃう!
137
61歳で大学教授やめて、北海道で「へき地のお医者さん」はじめました [ 香山 リカ ]
タイトルに惹かれて手にとって、名前を二度見。
え、香山リカさんってあの香山リカさん?精神科医の?めっちゃ本出してる??
バリバリ東京ガールって感じの人が、61歳で大学教授やめて北海道で僻地のお医者さんってどういうこと?
これは、彼女が中村哲先生と母の死から考え、紆余曲折を経て、北海道のむかわ町に就任するまでの物語。
すごくワクワクどきどきする内容で、とってもオススメ。
新しいことに踏み出したいけど…と迷いを抱えている人にぜひ読んでほしい。
この本を読んでいて、「子供の頃から好きだったことって、ずっと大事に持っていていいし、それをいつ叶えてもいいんだな」と思った。
香山さんの場合は、お医者さんではなく、科学者になりたかった。
恐竜が好きで、受験するなかで医者の道に進むことに。
恐竜博でカムイサウルスに出会ったことで「むかわ町」を知り、穂別診療所へ就職を決める。
そんな「御縁」あるんだなあ。
ーー東京とは何もかも違う。私はずいぶん遠くまで来たものだな。
しかし、そのあとすぐにこうも思った。
ーーいや、そうではない。子どものときに好きだったことに戻り、ずっとやりたいと思っていたことにようやくたどり着いた、ということなのかもしれない。
へき地医療を志し、車の運転にも挑戦。
このあたりのエピソードも、面白かった。
変化することって、怖い。
見通しが立たないこと、未知であることは、怖い。
だから人は安定を選ぶ。
でも香山さんは、来年の自分がどうなっているか分からないことが楽しい、と言う。
いいなあ、と思った。
私はそのとき「これでよかったんだ」とーーー「これが、よかったんだ」と頷けるかな。
138
人類の終着点 戦争、AI、ヒューマニティの未来 (朝日新書944) [ エマニュエル・トッド ]
1 戦争、ニヒリズム、耐えがたい不平等を超えて(エマニュエル・トッド 現代世界は「ローマ帝国」の崩壊後に似ている/フランシス・フクヤマ 「歴史の終わり」から35年後 デモクラシーの現在地)/2 「テクノロジー」は、世界をいかに変革するか?(スティーブ・ロー 技術という「暴走列車」の終着駅はどこか?/メレディス・ウィテカー×安宅和人×手塚眞 鼎談 進化し続けるAIは、人類の「福音」か「黙示録」か)/3 支配者はだれか?私たちはどう生きるか?(マルクス・ガブリエル 戦争とテクノロジーの彼岸 「人間性」の哲学/岩間陽子×中島隆博 対談)
薄い新書なんだけども、内容は深くて濃くてお腹いっぱいになる感じ。
読んでいて頭をすごく使う。
ウクライナとロシアの戦争、AIが特にテーマとして取り上げられていて、「ああ、そういう考えもあるのか」と色々考えさせられた。
ChatGPTについて言えば、仕事で文書を丸ごと翻訳させるのに役立っている。
「この文書を、台湾で話されている中国語に翻訳して」
「さっきの翻訳を、日本語に訳して」
の2方向をやって、文書作成すると、これまでよりとても自然な翻訳が出来る。
何より作業時間がめちゃくちゃ速い。
使い方の問題、だよなあ。
139
読書は鼻歌くらいで ちょうどいい [ 大島梢絵 ]
私てっきり、大崎梢さん(元書店員の作家)の読書に関するエッセイだと思って、違いました!
名前似ているから勘違いした。
1993年生まれ、アナウンサーを経て、現在カレー屋さんを夫婦で営む方。
本が読めないことが悩みだったが、気軽な気持ちで読書をしてもよいのだと思い、それを読書記録としてインスタグラムにアップ。年間150冊を読む本好きになる。
私には「本が読めない人」が存在することは理解できるのだが、「本が読めない」ということが理解できないので(読もうと思えばよいだけなのでは?)、「そうなんだ…」と思いながら読んだ。
著者のカレー屋さんは、すべてのテーブルに本棚があって、座る席によって出会う本が違うという。
これ素敵だなと思った。
「読めばいいじゃん」と読書の権威性の上に胡座をかいて虎の威を借る狐状態でいたら、読書人口は減るばかりだものな!
本との接触を増やすことは大事だ。
Youtubeで見た又吉さんの読書偏愛語り。
ここまでマニアックに好きじゃないから、私はまだまだだな…。
140
悪役令嬢になりたいのにヒロイン扱いってどういうことですの!? (レジーナ文庫) [ 永江寧々 ]
頭ぱかーんとした本が読みたいなと思って手に取ったラノベ。
しかし読んで後悔した。なんじゃこれ。
王子から婚約解消を言い渡されたヒロイン。しかし願ったりかなったり、悪役令嬢モノの小説が好きな彼女は、これから悪役令嬢として自由に生きていこうと決心する。
という話なんだけど、最初とヒロインの人格変わってるし、「なぜ彼女がそうまでして悪役令嬢になりたいのか」が薄いし、「カヌレ」とか「ブリオッシュ」という名詞が出てきた時点で「ないわ」となった。
なんとか最後まで読み切ったけど、久々に外れを引いた。
141
人生が変わる台所道具 私を助ける小さな働きもの [ 本多 さおり ]
本多さおりさんー料理が苦手でストレスの元。だから、便利な道具や家電に思いっきり頼ります/後藤由紀子さんーいつもごきげんでいられるのは働きものの道具のおかげ。私をやる気にさせてくれます。/今井真実さんー気に入った道具が与えてくれる小さなときめきや、幸福感。その積み重ねが、大きな満足に。/コウケンテツさんー料理は、道具との共同作業。自分を助けてくれる心強さと安心感があります。/按田優子さんー自然素材だけでできている道具はいつまでたっても丈夫なままで、結果的に長く使えるんです。/おさだゆかりさんーおさだゆかりさんが案内する北欧ヴィンテージ台所道具
本多さおりさんが出ていらしたので読んだ。
ホットクック推しなんやなあ。2台持ちするくらいか…。ちょっと欲しくなってしまうやん…。
炊飯器が壊れつつある(コンセントの接触が悪く、角度に気をつけないと途中で炊飯が切れる)ので、新しい炊飯器を買って古いのを調理用にしようかな…。
豚しゃぶと千切り野菜の鍋に、「塩辛」をポン酢に入れて食べるというのが紹介されていて面白いなと思った。どんな味なんだろ。おいしそう。
142
働く、働かない、働けば [ 巳年 キリン ]
コミック形式の本。
「働くこと」について描かれている。
仕事してる時間ってまるで自分の人生じゃないみたい
その人は「仕事中は人権制限されるもんだよね、誰だって」と言う。
ぱらぱら捲っている時にここが目に留まった。
1日24時間のうち、8時間働く。
休憩を入れて9時間。
往復の通勤時間を入れて11時間。
それに睡眠時間を足して、家事の時間を足して。
…働くことが、生きることなのか。
誰かの仕事に生かされていて、それを思うのは傲慢なのかもしれないけれど、思ってしまう。
もっとほかの「働き方」が、「生き方」が、あるのではないか?
143
73歳、月5万円でますます快適! 「ちょうどいい」を自分で創る ごきげんプチプラ生活 [ 紫苑 ]
テレビで拝見したときは、青一色という印象だった。
今は黄色になっているのだという。青の時代の終焉。
テレビのあと、本を出されたので読んだ(『71歳、年金月5万円、あるもので工夫する楽しい節約生活』)。
そのあとも出されていたんだな(『72歳ひとり暮らし、「年金月5万円」が教えてくれたお金との向き合い方40』)。
今回は、文章に「?」が多いのがちょっと苦手(ブログっぽいな、と思う)。
お金がなくてもOKになるには「自分の最適化」が必要だという。
1 健康
2 趣味(教育、学び)
3 家族を含む人間関係
4 少しのお金
この4つの要素で不安を減らし、今の暮らしに集中する。
「使わない暮らしで生まれる喜びは、ほぼ永久仕様」という名言も。
家事スキルの重要性を説かれているところも、稲垣えみさんを思い出した。つまりはそれが真理ということなのだろうか。
昨日できなかったことが今日できるのはとても幸せなことです。庭に種を蒔いて、今日は芽が出た。少し大きくなったと見守るのが楽しいように「自分育て」は楽しいものです。そんな風に年を重ねていけたら、こんな幸せなことはありません。
紹介されていた方たちのように、あちこちに居住をもつのは羨ましい暮らし。
いつかやってみたいなと思う。
144
55歳、小さなひとり暮らし ワクワク、身軽に、気の向く方へ [ しょ~こ ]
団地ラブなので、団地に素敵に暮らしている方を見るだけで涎が出る(気持ち悪い言い方するな)。
レトロな見た目に、空気ごと慈しまれている感じ。余裕のある雰囲気。
「古道具」「木箱」「かご」で収納がうまくいくというのは参考になる。
うち、どれもないわ…。
読み終わったあと「今ある家を愛したいな」と思える本でした。
145
目標や夢が達成できる!1年・1ヵ月・1週間・1日の時間術 [ 吉武 麻子 ]
時間の使い方が下手だなと思って再読。
「充実した人生=時間の使い方の手綱を自分で握ること」。
暴れ馬に必死でしがみついている私。
146
プラスティック (講談社文庫) [ 井上 夢人 ]
2024年本屋大賞(発掘部門)「超発掘本」受賞作。
1994年発刊。
フロッピーディスク(!)に残されたテキストデータを読むという形式で進む物語。
新婚の新妻は「自分のふりをした誰か」の影に怯え、やがて彼女は殺されて発見される。
殺したのは、誰なのか。
ネタバレすると、多重人格者の中に住むそれぞれの人格が「本体」である人物へ事件の概要と想いを書いた、本体への手紙のような構成。
はじめ、女性はそうなんだろうなと思って読んでいたのだけど、実行犯である男性や、事件を追う小説家まで同じ人の別人格だとは思わず、意表を突かれた。
いやあ、面白かったな。
警察に事件の犯人として本人バレした後の展開はあっさりなのだけど、そこからは最後に「なぜこれが書かれたのか」「読者が読んでいたものはなんだったのか」が明かされる二重構造。
最終章のファイルは、「本体」の名前がついた空白のファイル。
ここまで読んできた、「あなた」が、私達(ほかの人格)を受け入れるかどうか、その決断を聞かせてほしいと、別人格達が問う。
彼女は彼らを受け入れたのか、それとも認められず死を選んだのかーーー。
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