284.幸せな自信の育て方 [ シャルル・ペパン ]
本のタイトル・作者幸せな自信の育て方 フランスの高校生が熱狂する「自分を好きになる」授業 [ シャルル・ペパン ]"LA CONFIANCE EN SOI -Une Philosophie"Charles Pépin,2018本の目次・あらすじ人はどのように「自信」を獲得するのか?「強い絆」を育むー人間関係から自信を得る「能力」を高めるー技能を磨いて自信を培う「自分の心の声」に耳を傾けるー直感を信じる「感動」を体験するー「美しさ」の力で自信を深める「決断」するー「自分の意思で決めること」で自信が生まれる「手」を動かすー行動で自信を育む「行動」するー世界と接することで自信を得る「憧れの人」を持つー自信と模範「自分の望み」に忠実になるー自信の危機に対する解毒剤「人生」を信じるー生きることに自信を持つ引用固定的で不変的な「私」など存在しない。人は常に変化しているからだ。(略)私たちは「ある」のではなく、常に何かに「なる」過程にある。そう考えれば、自分に自信がなくても問題はない。「自分は何かになれる」ことに自信をもてばいい。感想2022年284冊目★★★前に読んだフランスの高校生が学んでいる10人の哲学者 [ シャルル・ペパン ]の同作者の本。筆者は、哲学者、作家。哲学の一級教員資格を持つ。本としては「なるほどなあ」と思うことが書いている感じ。自信とは、人生全体への肯定感である。その原動力になる「他者への信頼」「自分の能力への自信」「人生全体への肯定感」。何が起きてもそれを受け入れようという決意を固める。不確実性を受け入れることで、自由になれる。決められることは、自信になる。そしてそれは、世界を肯定することに繋がる。間違えてもいいのだ。選択を誤っても構わない。大事なことは、「自分で決めた」ということ。誰かに決められた選択肢ではない。それが自由。そうして、その間違いの可能性も含めて受け入れられる自分であるということ。最後には何とかなる信頼、なるようにしかならないという肯定。(=「他者への信頼」「自分の能力への自信」「人生全体への肯定感」)本の中で紹介されていたマルコム・グラッドウェルの『天才!成功する人々の法則』。ベルリンの音楽院でバイオリンを学んだ学生の、20歳の時点での累積練習時間について・音楽教師になった人… ~4,000時間・プロのピアニストになった人… ~8,000時間・一流の演奏家になった人… 10,000時間~という結果だったそうだ。1万時間(1日3時間×10年)で一流になれる。今、英語を勉強していてとてもじゃないけれど遠い道のりを行けないんじゃないかと思うとき、これを思い出したらな。私は仕事で使うでもない。10年じゃなくていい。20年でもいい。1日1時間なら30年。それでも1万時間を今から積み上げていけば、きっとたどり着けるだろう。最後に紹介されていた、1914年にユダヤ人家庭に生まれたオランダ女性、エティ・ヒレスム。強制収容所へ人々を送りながら、そして自らも収容所で最期を迎えた彼女。それでも彼女の日記には、美しい自然と人間へのあたたかな眼差しがある。鳥が歌い、太陽の日射しに感謝し、目の前の大量殺人を受け入れる。理解できないことを、理解しようとすることを止める。私はこのくだりを、どう受け止めればいいんだろうと思った。選択肢がない状況でも、選択肢を見出す彼女?(それは自由であることと同義だ)絶望ではなく希望を、醜さではなく美しさを。誰もそれを奪えない。同じく、2015年にパリのバタクラン劇場で起こったテロで妻を亡くし、幼い息子と2人になった男性。『ぼくは君たちを憎まないことにした』という犯人に充てた手紙。憎しみではなく、幸せを。押し付けられた感情を拒否する。選ぶ。自由。誰も手出しできない。魂を傷付けようとしても。その根底にあるのは、崇高な自信だ。世界を信じ、愛し続ける。明るい方を、顔を上げて。その力こそが、「自信」なんだろうな。ああそうか、自信とは、自らを信じること。どんな状況でも、前を向いて行く。世界は残酷だがかくも美しい場所だと、朝焼けに目を見張りながら。人は哀しくも愛するに足る存在だと、漏れ聞こえる笑い声に耳を澄ませながら。そしてそう思う自分を信じる。そう思い続けられる自分の能力を。世界はその人の眼鏡でしか見ることが出来ない。だから選ぶのだ。その自信を持つか、持たないか。自由であるか、不自由であるかを。これまでの関連レビュー・フランスの高校生が学んでいる10人の哲学者 [ シャルル・ペパン ]↓ 「見たよ」のクリック頂けると嬉しいです ↓