2005/05/19(木)16:10
蒼い涙の少女・・・(4)
「待てよ」
私は、その不満そうな面を丁寧に振り返らせた。
「…何?」
「逆だ」
「…?」
「お前が俺の空間に入り込んできたんだ。そうだろ?」
「…」
えっと…そう。カギは確かに不自然に壊れていた…。
「あんたが先に入った、そう言いたいの?」
「それはそれで正解だ。しかし、ここはお前の場所で良い」
「?」
「お前が入り込んできたのは俺のアパートの屋上さ」
「!」
この男…!
「お前、少し前の…記憶が部分的に無いんだろ?」
「…なんで知ってるの…私は家族以外には話してない」
「俺の目の前で記憶を無くしたんだ。俺が分からないはずが無い」
「!!」
やっぱりこの男…!!
「あんた…!」
「俺はお前の記憶を持って来てやった。だからもう一度、見せてくれ」
「…?」
「俺は死ぬ前にもう一度見ておきたい。お前が記憶とともに無くした蒼い涙を」