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テーマ:戦争反対(1187)
カテゴリ:15年戦争関連
作家の高村薫さんがあるコラムで、戦後63年の今の日本を危惧していた。時の流れは仕方ないとして、今の日本人は不景気と物価高騰の影響で63年も前の戦争に思いをはせる余裕がない、これでは戦争の記憶は遠くなるばかり。戦争体験がないのは幸せだが、その恐ろしさを知らない人が増えている。確かこんな内容だった。
本当にその通り。生きるのに必死なだけの毎日になると過去の戦争も異国の紛争も、遠い世界のお話に聞こえてしまう。自分のこと以外には無関心になると、気付かぬうちに不穏な靴音がすぐそこまで来てるかもしれない。今年もTVでは様々な戦争特集が組まれ、映画「靖国YASUKUNI」も公開中。特に印象に残ったものを数回に分けて書きたいと思います。 「解かれた封印~米軍カメラマンがみたNAGASAKI~」 米軍カメラマン、ジョー・オダネルは原爆の破壊力を記録するため長崎に入ります。目にしたのは想像を絶する光景でした。「ここで人間の営みがあったとは思えない」と語っています。 ある救護所では、目も鼻もつぶれて肉の塊のような顔になった人から「アメリカ人なら自分を殺してくれ!」と言われます。ないと思った目からは涙が流れていました。彼はどうすることも出来ずに逃げ出しました。「この人たち、子ども達が一体何をしたのだろう?」真珠湾攻撃で死んだ友人の敵をとるため入隊した彼の意識が変わっていきます。 被爆地を歩くと親を失った子ども達が数多くいました。軍の規律に反して彼は自分のカメラで密かに30枚の写真を残しています。その一枚が下の少年。息絶えた弟を背負い焼かれる順番を待っています。焼き終えるまで少年は微動だにしませんが、ずっと唇をかみ締めていたので血がにじんでいたそうです。少年はオダネルにとって忘れられない存在になりました。 帰国後、彼は悪夢にうなされるようになり、記憶と共にネガもトランクの中に封印。その後、彼の体にも残留放射線の影響が出始めガンを宣告され、米国に救済を訴えますが却下。何の危険性も知らされずに長崎に送り込まれた不信感が残ることになります。 封印から43年。彼はトランクを開けて写真を全米に公開。母国の過ちを告発しますが、分かってくれる人はおらず非難の嵐を浴びます。彼の行動を理解できない妻とも別れ幸せだった家庭は崩壊。それでも彼は訴えることを止めようとはしなかった。「自分はあの光景を見たんだ。死の灰の上を歩いたんだ」彼の言葉に彼の思いが凝縮されている気がします。 番組HP http://www.nhk.or.jp/special/onair/080807.html お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2008年08月17日 01時06分18秒
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