3bontanのブログ

映画「屍者の帝国」がテレビでやってたんで観たんですが、なんか話が早くてカット多いんかなーって思って、DVDで見直しました。
やっぱり話早かったけど、元々の原作がボリュームあるので（ロードムービーだし）映画化したらこんなもんかなー。

以下ネタバレ。
原作の話が多いです。



屍者の帝国【Blu-ray】

















これほんとに全年齢？

「虐殺器官」よりよっぽどエグいやん！

屍者ってほぼゾンビなんですよ。
ゾンビが暴れ回って、目いっちゃってる顔色悪いおっさんがカクカク動きながら刃物持って殺しに来る、なんなら自爆もする。
だから反撃でこっちもぶち殺し回る。
人体（ゾンビ体）実験しまくり。
グロ〜いわ、いたそ〜だわ、ざんこく(>_<)！
もう死んでる設定だからいいんでしょうか？
そういう問題なんでしょうか。

ゾンビは魔法、アール指定をくぐり抜ける魔法の設定(^^;)

生きた人間を屍者化するシーン、屍者の中に魂が戻ったかのようなシーン（身体は死んでるので超苦しい）、えぐかった！
スプラッタ系ホラー好きな人にはよかったかも。
（女が痛めつけられるのを喜ぶリョナってジャンルがあるそうですが、男が痛めつけられるのを喜ぶジャンルもあるんでしょうか？ただのサディスト？）




フライデーがワトソンの友人だった、この改変はわりとええと思いますよ。
ワトソンに人間味が出て。
原作だとマッドサイエンティスト感強過ぎですからー、感情移入しやすいキャラにしたのはええと思いますよ。

なんだかなーっと思ったのはMさんですなー。
急に人類補完計画みたいなこと言い出して。
まーそれで最後辻褄があったらいいんですけど、最後はワトソンがシャーロック・ホームズと組むっていうラストにしちゃったから、矛盾。
原作では、Mはマイクロフトで、半屍者化したワトソンのお目付役としてマイクロフトがシャーロックをつけたみたいな話。
映画だとM死んでるやん。
シャーロックとは偶然出会ったってこと？
映画のMはマイクロフトじゃないのかなー。

映画のMさんがやったこと、全部ザ・ワンさんがやったことにしてもよかったじゃーん。
人間恨んでたんだしー。
人類補完計画もとい人類屍者化計画は、花嫁復活の余波ってことにしたら、変じゃないやん。



映画だと最後にワトソンはビクターの手記を自分に取り込んだ。（手記の破棄のため？）
原作でも屍者化の要である菌株の結晶？みたいな非晶体てのを自分の体内に入れた。
そこは一緒なんで、多分その後のワトソンの状態も同じでしょう。
つまり見た目も動きも受け応えも人間だけど、意識のない人間、精神的屍者になった。

ワトソンがシャーロックと組んだラストってのは原作のキモでさー。
半屍者化したワトソンには、屍者と人間の区別がつかなくなった、だから「シャーロック・ホームズの冒険」には屍者が出てこないんですよ、でもあのワトソンが書いたんですよ、っていう衝撃のラストなんすよー。
「屍者の帝国」のロンドンと「シャーロック・ホームズシリーズ」のロンドンとマジで地続きだったことになった！？

超天才でアクションヒーローみたいなワトソンが、「シャーロック・ホームズの冒険」では、天才に振り回される凡才のちょっとぼーっとしたおっさんになったのは半屍者化したからっていうこと！
（まー最近の「シャーロック」やらガイリチの映画では、お人好しワトソン像は壊れてますけどね）

チューリングテストってあるじゃないですか。
AIに人間のフリさせて、AIか人間か当てさせるやつ？（と思ってるけど正確にはちがうかもしんないけど、まあそんな感じで）

ツイッターでbotってあるじゃないですか。
最初はそういう存在のこと知らなくて、向こうに本当に人がいると思っちゃったことないですか？
AIがガチで人間のフリしたら見分けられるかしら？

でもまあ実際はなんとなくわかるじゃないですか。
おんなじことしか言わないし、受け応えがトンチンカンだし。
でももし、AI側が、相手が人間かAIか判断しようと思ったら、けっこう難しいんじゃないかなー。
（最近はディープランニングとかで賢くなってるのかしら？）
そもそもAI側が、こいつ人間か？っていちいち疑わないじゃないですか。
人間かどうかより、起こった現象を判断してるのかな。
ていうことなんですよ。

もし「屍者」がほんとにいたら、すぐわかるはず。
顔色悪かったり、目がうつろだったり、喋らない、動作がぎこちない、言われたことしかしない。
でもワトソンは気にしないから、小説にも書かない。
自分にふりかかった現象しか判断しない。
喋らなかったら、喋らなかったって思う、顔色悪かったら、顔色悪いなって思う、それだけ。

技術があがったら、顔色よくなって、目も動くようになって、簡単な受け応えして、動作がしゅっとなって、言われなくても予測して行動できるようになるかもしれない。
そしたらますますわからなくなるかもしれない。

原作のザ・ワンさんは、屍者が世界に溢れ過ぎると、生きてる人間の中の菌株が活性化して知らず知らずに屍者化が進むと言ってたような。
ますます人間の判断力は落ちていくような。

もちろん今、この現実世界では、屍者はいないんですよ。
でもいるかもしれない！
私らがわかんなくなっちゃってるだけかもしんない、ワトソンみたく。
っていうメタラスト！
そこが原作のキモと思います。

まーこんな話を映像で表現するのは難しいですなー。



ラストのフライデーですが、後のモリアーティ教授である説を目にして、思わず納得！
モリアーティ→ホームズ→ワトソン、ではなく、モリアーティ→ワトソン←ホームズの三角関係で恋敵のホームズを攻撃したのか！
でも原作だとダブルオー員になるっぽいしなー。
待てよ、ダブルオー員だったけど、ワトソン愛が溢れすぎて自我を獲得して脱走出奔の後にモリアーティなら矛盾しない！
どうよ？

スチームパンクのかっちょいいマシン達とキャラデザと、ビジュアルは大変ようございました。
ただ、ハダリーがちょっと巨乳過ぎないかってのと、表情あり過ぎないかってのがひっかかりました。




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