新年のご挨拶 刀剣美術12月号鑑定所感
皆様、新年明けましておめでとう御座います。今年も変らぬご厚誼をいただけますよう、よろしくお願いいたします。さて、年が替っての最初の所感でありますが、ぴたりといきますかどうか?体配【身幅やや広く、元先の幅差さまで開かず、平肉乏しく先反りつき・・】等から時代は室町末期と推測しました。白け映りが立つところや、尖り刃交じりの刃紋などから関物に絞り込みました。この期、関での著名工といえば、和泉守兼定と孫六兼元が直に思い浮かびます。この出題刀の押形を直視すれば、尖り刃を交えた三本杉風の刃紋を焼いております。特徴としては兼定よりも兼元に近い刃紋であります。後代に良くあるきちんとした三本杉ではなく、三本杉風の刃紋を交えた互の目丁子の焼刃でありますから、兼元で有っても上代と見るべきかと思われます。只、帽子が新刀の帽子のようですが、ヒントに通常は乱れこむものが多いとありますから、兼元と見ても無理は無いと思います。刃紋の足が刃先に駆け出す手癖もよく兼元に見るところです。茎尻、鑢などの茎仕立ても兼元に合致しています。従がって今回は【兼元(二代)】と入札しました。前回は宇多国久でした。