2012/08/19(日)13:00
六宮の姫君。
夏といえば怖い話を読んで涼みたくなります。
ディケンズの「信号手」や幸田露伴の「幻談」、泉鏡花の「高野聖」が暑い時に読むのには気持ちが良いです。
芥川龍之介の六の宮の姫君もまた、種類の違った怖さがあります。
六宮の姫君(芥川龍之介著)
「六の宮の姫君は宮腹の生まれだつた。が、時勢にも遅れがちな…」
人生を自分の意志を持って生きることができず、死ぬときも自らの意思をもって念仏を唱えることもなかった姫君は、中途半端な生涯を送った結果、極楽に行く事はもとより地獄にすら行く事ができなかった。
ぐだぐだと毎日を送って人の末路を見るようで身につまされます。
猛暑日の今日も外は肌をジリジリと焼くような強い日差しが照りつけていますが、影も日向もないどんよりした曇り空より、世界がはっきりとして存在感がある夏の日差というのは心が晴れます。
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