無事タクシーから降りた我々を、モデはボロボロの倉庫に連れていった。

ところが、それはバーであった。



ぶどう酒を、かっては、蓄えた３メートル以上の高さのカメがそこらに、

立ち並ぶ。

そのすき間を縫うようにして、

テーブルと椅子がならんでいる。

1930年代のモノクロ映画の中に、滑り込んだような気持ちになる。



セピアとブラック基調の世界

ステフィは、口をあんぐりあけて、

ドイツ語で一言、『クール！』と言った。

このバーの雰囲気、田舎もんのドイツ人に合うんだよ。ｗｗ




メニューをみると、タパはチーズばかり、

でそれ以外は、なにもない。

『おっ、デパートのチーズ試食コーナーだな』私



しかしよく見ると、何十種類のチーズの銘柄が

並んでいることに気がついた。

ものすごい数の品目だった。



各テーブルには、でかい公園にあるごみ箱（？）が

それぞれ付いている。

そして、ドリンク、つまみのチーズのタパは

自分でカウンターまで取りに行くわけだ。




スターバック、アンダルシア、Andaluciaのセビリア版か？ｗｗ

それにしては、床も、壁もひどく古びている。



古びたように作っているのではなく、

本当にポンコツなのだ。


しかし、その倉庫の雰囲気は、中にいる客にうまくマッチしていた。

モデがどんどんチーズを運んできた。



とにかくこの後、何がどうなるかわからないので、

とにかく私は、ホットサンドチーズまで残さず、食べた。



また、歩かされる可能性も無きにしもあらず、だったからだ。ｗ

なにしろ、私は、ひどい目に会う、場数をふんでるわけだ。ｗｗ



一杯がニ杯、そして三杯となるに従い、

赤ワインの酔いが少し回ってきた。



ステフィはモデが気に入ったとみえて、

盛んに質問をイタリア語ではじめた。



夢中でしゃべるステフィの身振り手振りと、しゃべるリズムが、

あのイタリア語独特の上下のはげしいイントネーションに変わる。



たじたじのモデは、始終受身で返答していた。

その夜は、しゃべらないドイツ人ステフィは、

彼女のイメージをちょいとばかり、塗り替えた。





さて、我々は、そのチーズバーを出た。

『バモ・オトロシティオ（次！　行こうぜ！）』

我々は、又街を練り歩きはじめた。



人通りはまばら、冷たい夜のセビリア。



すこし、酔っぱらちゃった。



この後、行ったのは、立ち飲みバーは２軒だったと思う。

セビリアのどこだかを、ほっつき歩き、だんだん深夜になってきた。

唐突に、モデがホモを見に行こうと言い出した。

『どこでもいいけど、ちょっと座れるところにしよう』私

我々は、ホモが集るバーをめざして又歩き出した。

モデの説明では、我々はホモ趣味がないので、

直接ホモバーには行かないとのこと。



『そうあってほしいね！』私



だが、ホモバー近くの、ホモ達がお客と待ち合わせをするバーに、

見学に行くというのだ。ｗ

しかし、目指したバーはなぜか閉まっていた。

しかたなく、そこから数軒めのうらぶれたバーにはいる。

歩き疲れたので、とにかく座った




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