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高岡洋介Blog 『ガキガキらくがき日記』

映画『グル8』シナリオ第1稿

        『グルジェフ8世の歌』第1稿



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第1稿 登場人物

●エイジ 30才
不況で工場の仕事をクビになり仕事をさがしている。
(本当は絵の仕事がしたかったが挫折した。)


●ユメ  28才 
エイジの彼女。ヘルパーの仕事をしながら
歌の弾き語りをしている。         


●カンスケ30才 
エイジとユメの友達。小さなリホーム会社の2代目。



●グルジェフ8世 
エイジの夢の中に出て来る年老いた王様。エイジの守護霊。


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●1 エイジの部屋 (朝)

エイジ、職安に行く為に用意している。

エイジ「(心の声)不況のあおりで、
    工場の仕事がなくなってから一ヶ月がたった。
    いつものごとくインスタントラーメンを食って、
    電車賃を浮かす為に歩いて職安に行く。
    仕事を探し、見つからず、又、歩いてアパートに帰る日々。
    職安とアパートをグルグル回るブーメランみたいな俺。
    不安がファンファン音を立てて迫ってきている気がして
    台所を見たら換気扇が回っている音だったよ。」

台所の鍋の中、インスタントラーメンがグツグツ煮立っている。
ラーメンの湯気は換気扇の中に消えて行く。

エイジ「(心の声)換気扇よオイラの不安も吸い込んでおくれよ。」

エイジ、壁に貼っているエイジの描いたエイジの彼女のユメがギターを
弾き歌っている絵を見る。

エイジ「俺・・・何やってんだろ」
 
   

        *     *     *     *  



●2 エイジの部屋 (夜)

エイジ、布団に入ってもなかなか寝つけない。

エイジ「(心の声)もう仕事もないので、夜、決まった時間に布団に
    入る事はないんだけど、このサイクルをを崩すと永遠に
    このままの状態が続く気がして、
    無理矢理眠ろうとするのだが、やっぱり眠れない訳だ。
    そんでもエロい事からはじまり、色んな事を考えている内に
    少しウトウトして来て、気がつくと若い時の母ちゃんの前で、
    ガキンちょの俺が、一生懸命お絵描きしている姿なんか
    思い出し・・・俺は何となく眠りの国に入る事が出来た。」




●3 エイジの夢の中                                              
エイジの部屋に中世の王の姿をした老人
           (グルジェフ8世)が立っている。
老人の服や王冠は段ボール紙で出来ている。顔は見えない。

エイジ「(心の声)これは夢なんだろうか?たぶん夢だろう。
    俺の目の前に、シェークスピアのリア王みたいな
    ジジイがおっ立っている。
    これは夢なんだろうか?たぶん夢だろう。
    でなければ確実に不法侵入である。
    それも限り無く、限り無く、限り無くヤバい不法侵入である」

老人はゆっくりと利き手をのばしエイジの顔の前に突き出す。
その手には絵筆が握られている。

エイジ「(心の声)老人は俺の目の前に手をのばしやがった。
    その時、俺はさすがにビビったね。半泣きったね。        
    でもよく見ると、その手には絵筆が握られていたんだよ。
    そして、ジジイはこう言いやがったんだ。」

グ8世「我はグルジェフ8世・・・お前の守りの神である・・
    お前は、我を描け・・・
       さすれば、お前に光が降り注ぐであろう・・・」 

エイジは、その筆を受け取る。




●4 エイジの部屋 (朝)

エイジは目を覚ます。そこには老人(グルジェフ8世)はいない。
エイジ、筆を握った手を見る。(筆は握られていない。)

エイジ「(心の声)やはり、ジジイの不法侵入者は夢だったと。
    ホッと一息つくワタクシであります。」

エイジ「じいさん・・・リア王じゃなくて、
          グル・・グル何とか8世とか言ってたな」



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           タイトル・イン
         『グルジェフ8世の歌』


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●4の続き エイジの部屋 (朝)

エイジ、メモ帳に鉛筆で(グルジェフ8世)を描いてみる。

エイジ「なっ、何か、夢のジジイとビミョーに違う様な・・・
    って言うかこんなメモ帳にコチョコチョ描いている事自体、
    ショボ過ぎるような・・・」

エイジ、押し入れの奥から絵筆や水入れ等を取り出す。
絵筆は、毛が絵具でカチカチに固まって、使い物にならない。

エイジ「やっぱり使い物にならんか・・・」

その時、携帯電話のアラームが鳴る。

エイジ「おっ、そろそろ職安タイムだ。」




●5 街

エイジ、リっクを背負い職安へ歩いて向かう。
しかし、立ち止まる。     

エイジ「でもな・・・」

しかしまた、歩き出す。そしてまた立ち止まる。


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(回想)昨日のグルジェフ8世に筆を渡される所を思い出す。
    「お前は、我を描け・・・
      さすれば、お前に光が降り注ぐであろう・・」

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エイジ「今日は・・・・・・・やめた!」

エイジ、職安と逆の方向に走り出す。

エイジ「俺、とうとうブーメランやめちまったよ。ヤッ、ヤバいよ。」




●6 画材屋                               

エイジ、画材屋から絵筆、絵具等買って出て来る。

エイジ「これで、インスタントラーメン何個分だよ!チクショウ!」




●7 スーパー

エイジ、潰した段ボール箱を大量にもらって来る。





●8 エイジの部屋

段ボールを張り合わせて、
大きなキャンバスを作り部屋の壁面を敷き詰める。
そして段ボールに何か描こうとするが、なかなか描き出せない。
エイジ、ゴミ箱から鉛筆で描いた王(グルジェフ8世)の絵を
拾い出しそれを見ながら恐る恐る段ボールにマジックで下描を
入れる。


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(回想)
子供のエイジ、一生懸命ラクガキをしている。
エイジの母親がそれを見ている。
母親「上手だね」
エイジ、母親にほめられ喜ぶ。


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エイジ、昔を思い出してニコリと笑う。

その時、エイジの彼女のユメから電話が入る。
エイジ、電話に出ようとするがやめる。
ユメ、留守電にメッセージをいれる。

ユメ  「私、ユメ、いないの・・・・」

留守電切れる。
エイジ、ペンを止めてメッセージをもう一度再生する。

ユメ 「私、ユメ、いないの・・・・」
エイジ「いますけど居留守です・・・」

エイジ、壁に貼っているユメの絵を見る。                   


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 (回想)昔
ユメが歌っている所を、エイジがスケッチしている。
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●7 エイジのアパートに向かう道  昼間(6とは別日)

エイジの友達カンスケが、片手でデジカメを撮影しながら歩く。
片手には発泡酒の入った袋を持っている。

カンスケ、デジカメにむかって話す。
(デジカメにナレーションを吹き込んでいる)


カンスケ「はい、ここは僕の友達のエイジ君の家に向かう道です。
     バカ野郎のエイジ君は可愛い恋人のユメちゃんに
     出て行かれてから落ち込んでいるという事で、
     今から思いっきり馬鹿にしてやろうと思います。」




●8 エイジの部屋の玄関

カンスケ、エイジの部屋の玄関のドアノブを回すが、あかない。
カンスケはポッケから、エイジの部屋のカギを取り出す。

カンスケ「カギがしまってますね。今回、私はユメちゃんから、
     エイジ君の様子を見て来てほしいと言われて来ている為、
     合鍵を預かっています。
     勝手にカギをあけて入っみましょう。」
     



●9 部屋の中

カンスケ、カギをあけ部屋の中に入る。
そこには一心不乱の絵を描いてるエイジがいる。
カンスケはデジカメの画像に写ったエイジの姿に驚き、
                  フレームから目を外す。

カンスケ「・・・」                             
エイジ 「おっ、カンスケ」


    *    *    *    *


二人、絵の前で発泡酒を飲んでいる。
カンスケ、酒を飲みながらも片手でデジカメを回している。

カンスケ「イヤーーーッ驚いてしまいました。
     エイジ君が何と絵を描いています。
     昔から絵が得意で、絵本作家になるなんて言っていた
     頃もあった彼ですが、
     現実の厳しさも知り、とっくに諦めたと思って
     いたのですが、
     やはり職を無くし彼女に愛想をつかされ、
     頭のネジがゆるんだんでしょうか?
     ちょっとインタビューしてみたいと思います。」

カンスケ、エイジにデジカメを向ける。

カンスケ「エイジ君、何で絵を描いているんですか?」
エイジ 「それは・・・夢に王様が出てきまして・・・」     
カンスケ「えっ?聞こえない。何て言いました?」
エイジ 「何でもないわい。とりあえずそのデジカメ消せや!」
カンスケ「怒んなよ。」

カンスケ、デジカメを止める。


    *    *    *    *


二人は絵の前で酒を飲みながら話す。

カンスケ「でも、ホントどうしたんだよ。
     (絵を見ながら)何でまた絵を描く気になったんだい?」
エイジ 「仕事が決まらないから、気分転換だよ。
     うん。これは気分転換だ。」
カンスケ「何だそれ。」
エイジ 「うるせえよ、それより平日の昼間っから、
     俺の所に来るって事は、今日も仕事なかったのか?」
カンスケ「ああ、かれこれ十日も仕事がありませんよ。
     今のご時勢、孫請けのリホーム会社なんて
     こんなもんッスよ。
     お蔭様で、子供を撮る技術が格段に上がりましたわ。」

カンスケ、絵を撮影する。

カンスケ「エイジ、ユメちゃんキョウコの家にいるってよ。
     キョウコの家に押しかけて行って、
     土下座でも一発かまして、
     『仕事がなくてイライラしていました。ゴメンなさい。』
     って言えば、帰って来てくれるべ。」

エイジ、カンスケの言葉に露骨に嫌なかおをする。     


エイジ 「うるせえよ。」
カンスケ「(それを見てニヤニヤ笑う)・・って、
     二人の友達としては言わなくちゃいけないんだろうけど、
     何かお前が絵を描いていて、俺が撮ってるなんて
     昔に戻ったみたいで楽しいな。」

エイジ、その言葉に表情が和らいぐ。

エイジ 「そう言えば、お前の作る映画では、美術やれだの、
     チラシの絵描けだの、色々やらされたな。」
カンスケ「ユメちゃんも、いつも音楽作ってくれて・・」     
エイジ 「今、ユメの話はすんなよ」


カンスケ、肩を震わせて泣き出す。


カンスケ「なっ、なっ、懐かしいなあ。」
エイジ 「また泣き出した。
     いつも、発泡酒2本で泣けるお前が羨ましいよ。」

カンスケ「だって、最近楽しい事ないんだもん。金ねえし、
     心がすり減って行くだけで辛いッスよ。」
エイジ 「馬鹿野郎。無職の俺に言うなよ。
     お前んとこの子供、コナツ、可愛いじゃねえかよ。
     それだけでも幸せだろうが。」

カンスケ「そうだよな。幸せだよな・・・
     でもな、それは左脳の幸せなんだよ。エイジ君」
エイジ 「なんだそれ?」
カンスケ「自分は辛いと思っているけど、もっともっと辛い人に
     比べれば俺はゼンゼン幸せだ。っていつも自分に
     言い聞かせてるよ。
     でもそれは一般常識的な、論理的な、左脳で考えてる
     幸せなのだよ。」


カンスケ、動きながら絵を撮影しだす


カンスケ「俺は、さっきはお前が絵を描いているのを
     馬鹿にしたような口を聞いたが、
     本当は、お前が久しぶりに絵を描いているのを見て
     ドキドキしたんだよ。
     このドキドキは、左脳の幸せでは得る事の出来ない
     モノなのだよ。
     何かおもろい事が起こりそうな直感がビリビリ来て、
     俺の右脳が揺れたんだよ。
     右脳が揺れてドキドキする幸せが日常の中にたまにはないと、
     人は生きていけないのだよ。
     『人はパンにのみ生きるにあらず。』なのだよ。
     だから俺は、右脳を揺らしてこの絵をガシガシ撮るのだよ。」


エイジ、呆れ顔でカンスケを見ている。


    *    *    *    *


カンスケは酒を飲み過ぎ、一人で日々の不満を喋りまくって寝てしまう。

エイジ、カンスケに毛布をかけてやる。
エイジ「カンスケも相当ストレスがたまってんな。」
エイジ、描きかけの絵を見て溜め息をつく。
エイジ「俺、何やってんだろ・・・
    でも、ここでやめたら、
    ここ数日が無駄になっちまうんだよな・・」

エイジ、また絵を描き出す。



●10 街
ギターを持ったユメが、鼻歌を歌いながら街を歩いている。


●11 ライブハウス
ユメが歌を歌っている。

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 (回想) エイジの部屋 
二人が同棲しだした頃。
エイジ、一生懸命、絵を描いている。
それを見ながらギターを弾いているユメ。
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ユメ、歌っている。

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 (回想) エイジの部屋 

エイジ、体育座りで窓の外を見る。
ユメ、台所でご飯を作る。
食事をとる二人。

エイジ「仕事見つからないで、ごめんな。」
ユメ 「仕方ないよ。明日は仕事の後、
    バンドのスタジオだから遅くなるね。」
エイジ「うん。」


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ユメの演奏。

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 (回想) エイジの部屋 

エイジ、職安から帰ってくる。
ユメ、ギターを弾く手を止めて玄関の方に行く。

ユメ「おかえり。」

エイジ、ユメの言葉を無視して、冷蔵庫から酒を出して飲む。
何本も何本も飲む。
その姿を見ているユメ。

エイジ「ユメ・・お前は歌が歌えていいなあ。ほんと羨ましいよ。
    俺なんか絵もぜんぜんダメだし、何もないもんな。」
ユメ 「・・・・」

エイジ、酔いが回って寝転がる。
ユメ、ゆっくりエイジの所に行く。


エイジ「お前、金にもならないのに、よく歌うたってんな。」


エイジの言葉が終わった瞬間、ユメはエイジの頭をガツンと蹴る。


エイジ「イタ-----------ッ!何すんだよ--!」
ユメ 「馬鹿じゃないの。」

ユメ、ギターを抱えて部屋を出て行く。


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ユメ、一心不乱にギターを弾く。

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 現在のエイジの部屋

エイジ、ガツガツと筆を走らせる。
筆では間に合わず、絵具を手につけて塗り出す。


    *    *    *    *


ユメ、力を込めて歌を歌う。   


    *    *    *    *


エイジ、何かに取り付かれた様に絵具を塗りたくる。
カンスケはエイジに声をかけられず、黙々と撮影する。



●12 エイジの部屋 (朝)

徹夜で絵を描いているエイジ。
その横でカンスケは眠っている。
エイジ、手を止めカンスケをおこす。

カンスケ「ん?・・何だもう朝か?」
エイジ 「カンスケ手伝ってくれ・・・」



●13 外

二人で外の壁に、
段ボールに描いた「グルジェフ8世」をたてかける。
(絵の[グルジェフ8世]の顔が画面に写し出される。)

カンスケ、子供のように喜び撮影する。

カンスケ「エイジ、何かスゲーーーッよ。」

エイジは絵を見て、その後、空を見上げる。

エイジ、吸い込まれそうな空を見た後、目をつむり安堵の息を吐く。
その時、
エイジのイメージの中に[グルジェフ8世]が現れ(顔は写さない)
段ボールで出来た王冠をエイジの頭に被せる。
エイジは驚き目をあける。

そのエイジの視界の先には、ギターを担いだユメがいる。


カンスケはユメに気付き慌てて近寄る。

カンスケ「 ユメちゃん、帰って来たんだ! 連絡しなくてゴメンな!」
ユメ  「カンちゃん、色々ごめんね。」

ユメ、エイジの横をすり抜け、絵の方に近付く。

ユメ  「これ、アンタが描いたの?」
エイジ 「うん」
ユメ  「ふーん」

エイジ 「何で絵を描いたか聞かないんだ?」
ユメ  「聞いたってしょうがないじゃない。
     私は歌いたいから歌ってるの。
     アンタも描きたいから描いたんでしょ。」
     
エイジ 「そんか・・・そうだよな。スマン。」
ユメ  「馬鹿じゃないの。」

エイジ 「うん。馬鹿だよね・・。絵、出来たけど何も変わらんねえ。
     でも・・・描いてる間、スゲー楽しかった。
     何か忘れてたよ、この感覚。」

エイジ、ニッコリ笑う。

ユメ  「馬鹿じゃないの」

ユメはそうエイジに言って、また絵の方を振り向く。 
そして、エイジに自分の表情が見られないようにニッコリ笑う。
カンスケは二人を撮影する。




●14 街

作業服を来てゴミを集めている。

エイジ「(心の声)あの後、ユメは俺とカンスケに飯を作った。
    インスタントラーメン以外の飯・・久々に食うユメの飯は
    スーパーうまかったとですよ。
    そして、そのままユメはまた俺と一緒に暮らすようになった。
    それからまた一ヶ月は貯金を切りくずしての生活だったが、
    今のバイトが見つかり、青息吐息ながら何とか状況は
    色々な所にガッチン ガッチンぶつかりながらも、
    転がりはじめた。
    まだまだ不安だらけだが、やって行くしかないのですたい。
    でないと、またユメに頭をガシッと蹴られてしまうのですから」
    

エイジ、空を見上げる。 
吸い込まれそうな青空。
エイジ、目をつむる。

一瞬、街の音は無音となる。
エイジの頭には、段ボール紙でできた王冠がのっている。


    *    *    *    *


別の場所
スタジオでギターを弾いて歌っているユメの頭にも王冠がのっている。


    *    *    *    *


別の場所
車の中、
作業服で愛妻弁当を食っているカンスケが、
デジカムの液晶で娘のコナツの姿を見て泣いている。
そのカンスケの頭にも王冠がのっている。
    

    *    *    *    *


街にいる人達の頭にも王冠がのっている。


    *    *    *    *


エイジ目をあける。 (頭には王冠はない。)
街の音が一斉に聞こえ出す。


エイジ、ニコリと笑い、また働き出す。

             
              THE END






























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