〈演歌〉の定義皆さんそれぞれの基準で選ばれたのではないかと思います。わたしからの解答はこうです。 皆さんがそれぞれ選んだものが〈演歌〉です。 すべて正しい。です。 “とんち問答”になってしまいました。けっして馬鹿にしているわけではありませんよ。 今までサウンド的な発生過程やら、日本調の音階やらをやって来たので、混乱させてしまったかもしれません。すみません。 ただ、皆さんが選んだそれぞれの基準の中にも、一つ共通しているものがあると思うんです。 メロとかコードとか音楽的なことでなく。それは、 ―――― 古臭い、年寄り臭い、 違いますか。 新しくない、遅れてる、テンポがかったるい、スピード感が無い、おしゃれじゃない、ダサい、大人しい、若さが無い、未来が明るくない、郷愁に浸りすぎ、懐かしさを正当化している、人生の悲哀が滲み出ている、 聴いてて哀れになる、湿っぽい・・・ ―――― 自分から見て、古臭い、年寄り臭い、曲 これが〈演歌〉の定義だ、と最近わたしは思うようになったんです。 ですから、あくまでも自分が基準なので、基準となる人の年齢や音楽体験によって差異が生じますよね。 ふつうは、自分より年下の人が考える〈演歌〉のほうが、自分の基準より幅広くなります。 若いかたがアリス(72~81)の曲を聴いたとき、どう聴いても〈演歌〉にしか聴こえない、とかです。 一方現在、関ジャニ∞が〈演歌〉アイドルとして、若者から呼ばれているようです。 これはオジサンにはぜんぜん〈演歌〉に聴こえません。 若いやつから見ると十分 〈演歌〉なんでしょうね。 しかし、ジャニーズ支持層が彼らを〈演歌〉と判断したのは、メーカーや所属事務所が〈演歌〉として売りたい、という姿勢からです。 〈演歌〉です! というキャッチフレーズで売られているからです。 これ、とくに象徴的な例なので、ここで〈演歌〉の定義づけのもう一つを書いておきます。 ―――― 日本には音楽のスタイルを分類する明確なジャンルというものはない。はじめから無いのです。 あるのはパブリッシャーが分類するためのジャンル、つまり〈キャッチフレーズ〉です。©大瀧詠一 結論付けると、メロディー、歌詞、器楽法、編曲法、歌手、作曲家・・・など音楽的特性だけで〈演歌〉を定義することはできない。 〈演歌〉も〈Jポップ〉も、あくまでも販売する者が便宜的に分類したジャンルなんです。 まさに、今月のオリコン〈演歌〉チャートを見れば、そのへんを理解していただけるのではないでしょうか。 第20講 73年の〈フォーク〉は右か左か ジャンル別一覧
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