「脳を鍛えるには運動しかない! 最新科学でわかった脳細胞の増やし方」 ジョン J.レイティ 野中 香方子 訳 坐禅回数 313
脳を鍛えるには運動しかない!最新科学でわかった脳細胞の増やし方【電子書籍】[ ジョンJ.レイティ ]価格:2178円 (2021/9/5時点)楽天で購入【今日のキラリ引用】🔵「脳を鍛えるには運動しかない! 最新科学でわかった脳細胞の増やし方」 ジョン J.レイティ 野中 香方子 訳 「〜体育が GPA(学業平均値)に及ぼす効果について、私たちはいったい何を知っているのだろう。この問題に取り組んだ研究者は少ないが、ヴァージニア工科大学の研究では、体育の授業を減らして数学や理科のリーディングの時間を増やしても試験の点数が上がらないことが証明されている。この結果には多くの学校関係者がうなずくはずだ。最も一概に体育の授業といっても中身はさまざまなので、この分野の研究は、もっぱら健康状態と学業成績との相関に焦点を当ててきた。最も分かりやすい研究はカリフォルニア州教育局(CDE)によるもので、過去五年にわたるその結果は、健康状態のよい生徒は試験の成績もよいということを一貫して示している。」 「〜セロトニンは脳の機能を正常に保つはたらきをしているので、よく脳の警察官と呼ばれる。セロトニンは、気分、衝動性、怒り、攻撃性に影響する。フルオキセチン(商品名プロザック)のような選択的セロトニン再取り込み阻害薬を使うのは、うつ病や不安障害、強迫神経症の原因となる脳の暴走をそれが抑えるからだ。 ノルアドレナリンは、気分について理解するために研究された最初の神経伝達物質で、注意や知覚、意欲、覚醒に影響する信号をしばしば増強させる。 ドーパミンは学習、報酬(満足)、注意力、運動に関係する神経伝達物質と見られており、脳の部位によって正反対の役割を果たすこともある。塩酸メチルフェニデート(商品名リタリン)は、ドーパミンを増やして気持ちを落ち着け、注意欠陥・多動性障害 (ADHD )を緩和する。 精神の状態を改善するために用いる薬のほとんどは、これが三つの神経伝達物質のひとつか、あるいは複数に働きかける。だが、ここではっきりさせておきたいのは、そのシステムは非常に複雑なので、どれかを増減すれば決まった結果が出るわけではないということだ。ひとつの神経伝達物質を操作すると、その影響は連鎖的に広がっていき、人によって現れる効果は違ってくる。 わたしははよく、ランニングをするとプロザックやリタリンを少々服用したような効果があるのは、運動がそれらの薬と同じく神経伝達物質の量を増やすからだ、という話をする。それは要点をかいつまんで説明するためのたとえで、正確に言えば、運動は脳のなかに神経伝達物質と、その他の神経化学物質のバランスを保っているのだ。そしてこれから見ていくように、脳内のバランスを保てば人生を変えることができる。」 「〜運動が三つのレベルで学習を助けていることは十分おわかりいただけたと思う。まず、気持ちがよくなり、頭がすっきりし、注意力が高まり、やる気が出てくる。つぎに、新しい情報を記録する細胞レベルでの基盤としてニューロンどうしの結びつきを準備し、促進する。そして三つ目に、海馬の幹細胞から新しいニューロンが成長するのを促す。では、どんな運動が一番いいのか、それを知りそれを知りたいと思うだろう。」【あれこれ】 この間、一日だけ記憶に関して、変な感覚に襲われた。 動作の順番がわからなかったり、パスワードを思い出せない。 自分で、これは若年性認知症の初期症状ではないか?などと焦った気持ちになった。 幸い、次の日には正常になった。 自分に起こった狐につままれたような出来事を反芻しながら、今読んでいる本の内容に大きく頼る気持ちの自分に気がついた。 57歳でボケたらやばい。 20分の筋トレは続けているが有酸素運動は全くしていない。 動機づけには願ってもない体験をしたので、それから3kmほど走ることを日課に付け加えた。 走る生活は50歳くらいまでは続けていた。 マラソンにも毎年出た。 中毒のように走っていた。 ランニング・ハイも体験した。 多くの山も登った。 その頃は、体調も良かったし、気分も良かった。 走ればスカッとした。 身体面だけでなく、精神面での効能も体でわかっていた。 それが、この本の中で科学的に証明されていて、文字で読むと大いにに納得してしまう。 妻の病気、死があり運動の気力もなくなり、体調管理もまったくできなくなってしまった。 それからは心身の不調に見舞われた。 うつ病などの精神疾患の治療としても運動が非常に効果があることも、推測ではなく、科学的エビデンスによる事実として立証している。 運動のことは研究が遅れていたこともあり、本著は画期的なもののようだ。 久しぶりに走ってみて思ったこと。 人間は、大昔から狩りに出て野山を駆け回り、肥満になるようなじっとした生活を送ることは考えられなかった。 そのリズムが農耕社会成立により少し崩れていき、まったく運動しなくても済むような社会になった。 それなのに、一度にたくさん食べておかないといけない、という太古からの本能が肥満を生み出し、精神面の疾患も動かない生活から多く生み出されてきたのではないか? コルチゾールが大量に海馬に送られ、海馬は萎縮しアルツハイマー認知症になる。そんな負の循環を制御できるのは、運動。目から鱗、そんな本である。 動物は好き好んで運動なんてしない。 獲物を捕る時、運動になるくらい。 それでも、野生の動物はあまり太らない。 犬や猫でも適量の食事で満足する方が普通。 前に置いてあってもあえて食べなようとしない。 そんな野生に人間は多く学べる。 でも、人間は、自ら運動できる唯一の動物であり、それが特権。 この本を読むと、運動しない生活の代償を引き受けたくない本能的な自分に出遭う。