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カテゴリ:アニソン・特ソン列伝
なんでも、「怪傑ライオン丸」って作品は日本初の変身時代劇ヒーローなんだそうだ。
調べてみると、ほとんど同時期に製作された「変身忍者 嵐」は、初回放映がライオン丸の6日遅れ。 おぉ、これってマグマ大使とウルトラマン(日本初巨大ヒーロー・カラー作品)の関係の様じゃないか!ついでにいえば、「仮面の忍者赤影」は変身しないってか。なるほど、ピープロ、押さえるところは押さえてるねぇ(笑) で、そりゃいいのだが、その日本初変身時代劇ヒーローであるライオン丸の歌の中で一番際立っているのが「ライオン丸のバラードロック」。 何が際立つかといえば、そのクラさに尽きる! ♪昨日お師匠さまが死んだ 今日ドクロが襲ってくる 明日また雲がちぎれ 三人に吹く風は牙をむくだろう だけど だけど だけど 負けるな獅子丸 忍者の子 沙織、小助と手を取り合って 朝日に向かって進むんだ 昨日森の小鳥が死んだ 今日ドクロが斬りつける 明日また嵐が襲い 三人が住む小屋は壊されるだろう だけど だけど だけど 無くすな勇気 背の太刀を 防げ日本を悪魔の手から 変身忍法守るんだ 昨日小助が傷をうけた 今日沙織が捕らわれた 明日またゴースンがきて 獅子丸に戦いの剣を向けるだろう だから だから だから 変身見参!ライオン丸 太陽剣で切り返すんだ とどめの技をふるうんだ♪ たぶんね、何作かあるピープロ特撮作品においても、この怪傑ライオン丸ってベストな名作だと思うよ。円谷・東映の両巨頭作品と比べたって遜色ない。 しかし、やはり歌はピープロの呪縛から逃れられないんだなぁ。 最初っから獅子丸、沙織、小助の三人の“お師匠さま(果心居士という)が死んだ”なんて、こんなどぎついフレーズで始まる歌なんてあるかい。そればかりか、森の小鳥まで死んじゃうぞ!(ふと思うが、文脈上これもゴースン一味の仕業に取れるけど、何の目的で小鳥さんを?) 三人に対してさらに辛い仕打ち。風は牙をむき、嵐は住居破壊、挙句の果ては、小助が傷を負い沙織が捕らえられ獅子丸のノド元にはゴースン(魔人)の剣がつきつけられる…。 うお~、満身創痍ではないか。ひとつの歌の中でここまで主人公たちが追いつめられるのって、無いよ。 また、アレンジが物悲しいんだ。タイトルに恥じないマカロニウエスタン調、特にギターの爪弾きが渋くて泣ける!イントロが流れ出すだけで、森の中を疲れ果てた足取りで進んでいる三人…てな様子が目に浮かぶ。ったく、ピープロイズムだなぁ。 だけど、だけど、だけど!(このリフレインがいいね) やっぱりヒーローソングなのだこの歌も。詞の前半で大ダメージを受けながら、“だけど”と切り返し、それでも前に進め、日本を守れ!と結んでいる。 しかし、それは単純に前向きポジティブなものではない。むしろ、ゴースン討伐の使命感だけで、戦いに疲れたその足を引きずりながら死にものぐるいで旅を続ける、重く厳しい前向きさだ。辛いね、獅子丸くん。 この歌、ボーカルを務める子門真人が抜群にいい。アレンジもさることながら、曲のイメージとインパクトを決定づけたのは彼の歌声だ。 秀逸なのが、歌の終わりの♪進むんだーーーーーー!♪の伸ばし方。他の作品でも見られるテクニックだが、その強靭な肺活量を駆使してまるで夜汽車の汽笛のように延々伸ばすところがたまらない。彼じゃなきゃ歌えない曲だよなぁこれも…。 劇中、何度となくかかる「ライオン丸のバラードロック」。OP、EDを含めライオン丸ソングはいくつかあれど、いや、数あるピープロ作品ソングの中でも最高の名曲ではなかろうか。 救いというものをほとんど感じさせないながら、特ソンならではの確かなカッコよさ、その魅せ方のお手本がここにある。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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