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カテゴリ:特撮
仮面ライダー1号2号が戦ったショッカー&ゲルショッカー。その幹部たちは、どれもこれも恐ろしいヤツらばっかりだった。
日本支部に就任早々、戦闘員の服装の乱れを指摘したゾル大佐(規律にうるさいっていう点で子供心にヤなヤツ!と思っていた)。 その風貌が、ライトアップの加減でさらに怖さ倍増!の死神博士(本郷と対峙したとき大きな鎌を持っていたその様相はまさに死神)。 目の下の痙攣がいかにも神経質そう、ショッカー戦闘員を皆殺しにして強さと冷酷さを観る者に植えつけた、ゲルショッカーの幹部ブラック将軍。 しかし!ヤツだけはちがった! ジャイアントロボをかすかに連想させるその被り物は、恐怖というよりユーモラス。 Pプロ作品の悪ボスのごとく、図に乗って高らかに笑ったかと思えば、すぐ癇癪を起こしムキになる、人間くさい性格。 ライダーを罠に落とし入れ、心の底からご満悦な顔がなぜか愛らしい、そう、ヤツの名は地獄大使。 子供のころ以上に、今観るとなんともラブリーな悪の幹部に思えるのである。 その魅力が爆発するエピソードといえば、怪人モスキラスが登場する第72話「吸血モスキラス対二人のライダー」。 南紀勝浦にバカンスに来た立花藤兵衛とナオキ、ミツル、ライダーガールズのご一行。 バスから降りて歩いていく彼らが通り過ぎると、ドラム缶の後ろから戦闘員を従えニュニュッと姿を現す地獄大使。おぉ、おやっさんピンチ!現地に到着した直後にもう襲われるのか!しかし、何するでもなく彼らを観察し、また地獄大使と戦闘員二人はドラム缶の影に身を潜める…。おい、襲えよ!(何度観てもこのシーン、笑えて仕方ない。おやっさん達が到着するまでずっとドラム缶のうしろで隠れてたんだろうなぁ。子供のかくれんぼか?しかも、通路からは身を隠せても、うしろの海からは丸見えだっての) その後いろいろあって、ご一行を捕らえ、本郷猛と滝和也に降伏を迫るショッカー一味。 「見ろ!」地獄大使の示す方に二人が目を向けると、洞窟の温泉に肩まで浸かっているご一行たち…。地獄大使、なんか温泉の番頭に見えるぞ?(まぁ、温泉に見えて実は熱湯らしいってのが、滝たちのセリフでわかるんだけどね) 怪人モスキラスとダブルライダーの戦い。「ショッカー最強の怪人」なんてふれ込みもなく、従って健闘するも当然のごとくやられてしまい、あわれモスキラスは那智の滝上流にて爆死。すると…。 またもヤツが現れるんだな。小さな舟に乗って。かわいい自分の部下がやられたってのに、余裕かまして「フッフッフッ」と笑ってらぁ。しかもまた、何するでもなくその舟で戦いの場を通りすぎるだけ。…おい、戦えよ! いや、彼も本気で世界制服を狙っていたんだろうけどさ、行動があまりにもマト外れ。あなたの周りにもいるでしょ?熱血かまして思いっきり筋違いなことするような輩。そういう、ハタで見てると微笑ましくなってしまうところが彼の魅力。 東映の名バイプレイヤー、潮健児の名演とあいまって、さらにキャラが立ったと言える。 思えば潮健児、その昔「悪魔くん」の二代目メフィストや「河童の三平」のイタチ男を皮切りに、“気がつけば出ている”特撮役者のひとりだな。 がしかし、いくら崇高な目的を持っていても、やることがマヌケなら上司も対策を考えるのが理。首領がせっかくつくったショッカーをゲルダム団と合併させ、新たにゲルショッカーを設立させるに至ったのも、地獄大使がしでかした数々のおバカな所業がきっかけだったに違いない。 で、彼の最後の活躍(?)が描かれる、ショッカー篇ラストエピソードが第79話「地獄大使!!恐怖の正体」。 ショッカー首領に問答無用で処刑されようとしている地獄大使。公開処刑の案内状をもらった本郷猛が指定の場所へ行くと、今まさにギロチンにかけられようとしている彼の姿があった(しかし、あの被り物でギロチンってのもスゴイよなぁ発想が)。 ここで本郷くん、何を思ったのか彼を処刑から救出してしまう。彼も本郷と共闘を誓い、少年ライダー隊本部にかくまわれる(本部の事務用椅子にちょこんと腰掛け、周りの様子を見回す地獄大使がなんともラブリー)。 …結局これ、またしてもショッカーが仕組んだ罠で、このあと藤兵衛さんご一行が例によってさらわれ、中田島砂丘に首まで埋められてしまうのだが、けれどもここで、ふと本当にここまでの流れ、“罠”とひとことで言い切れちゃうものだったのか?と思ってしまうんだな。もしかしたら地獄大使、本当にライダーと共闘したかった気持ちも、あったんじゃないかな? いや、これがもし死神博士やブラック将軍だったら、もう最初から明らかに罠だと(視聴者は)気付くと思う。ドリフターズのコントばりの細かな仕込み(わざわざギロチンや案内状を準備するなんてなぁ)も、あぁショッカーらしいやと合点がいく。 地獄大使の場合は、おやっ?もしかして本当に(ライダー側に)寝返った?と一瞬でも思わせてしまうんだな。 この最終エピソードの1話前から、幹部である彼の知らないところで新たな作戦が動き出していたり(彼が首領に問い質しても、首領はにべもなく「おまえは知らんでもよい!」と一蹴されてしまうのだ)、と、なんとなく組織における彼の立場が悪くなっていた。そんな伏線もあっただけに、余計ホントにショッカーと袂を分かったのでは?とこの最終エピソードでは思ってしまう。これも、彼の愛すべきキャラクター性によるところが大きいよなぁ…。 そう思うと、ライダーに倒されその断末魔の叫び「ショッカー軍団、バンザーイ!!」。多くの思いが詰まった切ない叫びであったんだな。首領に騙されたショックと恨み、それでも愛するショッカー。仇敵に倒されたことへの思いと志半ばで命を落とすことになった無念さと…。 仮面ライダーの続編、「仮面ライダーV3」のあるエピソードで復活したショッカーの幹部たち。 他の幹部がワリと没個性で描かれていたのに対し、ここでも地獄大使だけは変わりないヤンチャぶりが光っていた。あげくにはV3の人質にまでなってしまうオチまでついて…。 あぁどこまでも愛すべき悪の幹部、その名は地獄大使…。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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