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ある時、日本料理の友人に出汁の取り方を聞いてみた。
その時帰ってきた言葉が、今でも何回も思い出す。 昆布を浸しておいて、カツオを入れて、の定番の流れの中、 最後に 「美味しくなーれ」 と必ず気合を注入すると! 思わず、冗談でしょ?と。 いや、必ずそうするし、これ、絶対必要だよ!と。 私ごとで恐縮ですが、 ずっと前から、私は作る料理に心の声をかけているんですよ。 「美味しくなれ」と! 特に手打ちパスタは絶対です。 絶対に声をかける、美味しくなーれ!と、粉と水を合わせた段階で、必ず。 もっとも、心配、気にするタイプの人間ですので、 後悔したくないだけかも。美味しくなかった時の。 あるお客様に、讃岐うどんの食べ歩きをした時に、これだけ麺の味が違うのにはビックリしましたよ!と。 きっと、こねる段階のどこかに人の手から味が入っているんだと思う、と。 うちの手打ちパスタも私の手から味が入っていると思います!と言ったら、 すっと、波が引いていくのがわかるぐらいひかれた!おいおい。 けど、そこじゃないかな! 最終的に、「気」じゃないかな、美味しい不味いは? 最近、大好きなお客様を困らせてしまった。 他とは違う料理、心が通じる、本当に温かい料理だと思います、が、 私の少ない経験では、このパスタがどこよりも、どれくらい、素晴らしいパスタなのか、表現できなくて申し訳ない、と。 本当に温かいお方で、心から接して頂いていることを実感している自分の感覚、 気持ちもあり、本音の部分だと思い、 そのお言葉だけで、もの凄く嬉しいです!と、お伝えさせて頂いた。 実際、イタリアンは、日本料理の出汁の様な、ノスタルジーを 感じさせる、魂、奥底の心を揺さぶることは難しい。 私だって、出汁の味で心の奥底から、温まる感じがする。 そこをカバーするのは、何か? いつも考え、少しでも、くすぐるような料理を提供したいこの頃です。 追伸ーーー映画の「レミーの美味しいレストラン」でレミーが有名な料理評論家イーゴに 南フランスのありふれた家庭料理である野菜煮込み「ラタトゥイユ」を出し、イーゴが一口食べた瞬間、幼少期がフラッシュバックする。 私は、ドラえもんにお願いできるなら、お客様個々の幼少期の記憶をよみがえさせることが出来る、道具が、もしくは感じる力が欲しい。 料理にノスタルジーを多くのお客様は求める。過去の記憶との照らし合わせ。 ゆえに、寿司、日本料理、割烹、天ぷら、トンカツなど、幼少期からの味の記憶を求める。 イタリアでイタリア料理店が一番繁盛し、イタリアで日本料理が繁盛しないのと同じ。 ここは日本、しかし、ノスタルジーを感じさせてくれる店でありたいし、そういう料理人でありたい。 儲けを考えるなど嫌いな言葉。 会話をすればするほど、お客様の料理に対する考え、好き嫌いが嫌ほど理解出来る。 かなりの確率でイタリア料理、イタリアワイン、イタリアという国に対しての、経験値も同じく理解できてしまう。 ゆえに、どこの点、線引きでお客様に提案するのか。 その人を一瞬でも幸せにしたいだけ、心から、表面から、全てを包み込みたいだけ。 日々努力します。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
February 26, 2019 01:58:08 PM
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