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雪の降らない僕らの街に -YUKIHURA-

雪の降らない僕らの街に -YUKIHURA-

第二話「幕末の風」

第二話「幕末の風」

僕は、清野 重貴。中学3年生。
僕は、クラスの大広にイジメられていた。
それが原因で飛び降り自殺をしたんだけれど、なぜか江戸時代末期、
つまり約130年タイムスリップしてしまった。
いったい何が起こったのだろうか。

しょうがないから、そこらへんを歩き回っていた。
江戸時代末期、ということはもうすぐ戦争になるのだろう。
もうペリーはとっくに来ているからつまり・・・。
あ!そうか!!開国してから少しの頃か。

1858・・・。
確か江戸幕府が消えるのは1867年・・・・。
どうしようか。

元の時代に戻る方法は、今のところ無い。

でもまあ、イジメの無い世界だし。
それに、一回死んだ身と思えば、気は楽である。
しかも、日本が急激に変わる時期だ。
この時代にこの身を捧げて生きても悪くない。

そうと決まれば、まずはどこかに住
まなければならない。
衣・食・住は生活の基本だ。

と、いってもここはどこなんだろうか。
徳川家の将軍が通るってことは、そこまで田舎ではなさそうだ。
秋だがわりと暖かいことから、関東か中部かそこいらだろう。
まずは、道行く人に聞くのが一番だろう。

僕は近くに集落を探した。
その途中で、なにやら熊でも出てきそうな山道を歩いた。

と、そこで、足に何か固い物を踏んだ。
刀だった。
手にとって見る。
う~ん。刀のことはよく分からないけど、細身でとがっていて、
しかも長い。見るからに本物の日本刀だ。

振ってみると自分が強くなったような気がした。

服装は現代のままだった。
Gパン、Tシャツの上からパーカーのついたトレーナー。
これに刀はさすがに映えない。
まあ、どうでもいいことである。

森を掻き分けていくと、怪しげな男が二人でヒソヒソと話している。

「何だろう???」
少し近くに行くと、会話が聞き取れた。

「へ~え。井伊さんを?ほう、お前さんはどうするんだい?」
「オレは、もちろん殺す。オレももちろん行くさ。」

うん??
そうか!!確かこの年に
大老井伊直弼が、桜田門外の変で殺されるのか。

たしか、暗殺だったよなあ・・・・・。
なんだか良からぬ予感がした。
すると次の瞬間、隠れていた草陰にスズメバチが一匹やってきた。
逃げようとしたときに、思わず足音を立ててしまった。

「誰だ!?オイ、さっき音がしたぞ!!」

気づかれた・・・・・。男は槍を持っている。
男はこっちに歩み寄る。一歩、二歩・・・。

僕は先手を打った。さっき見かけた刀を抜くと、男に向かって思いっきり斬りつけた。

「ドン!!」

男は勢いよくその場に倒れてしまった。
あれ?さっきのひょっとして刀の刃のほうじゃない方で打っちゃった?
「みねうち」ってやつ???
どうりで血が出なかったわけだ。

もう一人のほうは大きな銃をもって走ってきた。僕は男を盾にして近づいた。
僕は、男の右足を思いっきり蹴り払いてその場に転ばした。そして、銃をうばった。
すると、男は観念したのか空を見上げた。

2人の男は、僕の前で土下座し力なしに言った。
男:「ど、ど、どうか、命だけでもお助けください」
男2:「す、すみませんでした。さ、さ、さっきはつい・・・。」

僕:「あ、すいません。つい話を聞いていまして。
   命をとりはしません。その代わりに、ここがどこの町か教えてください。」
2人は顔を見合わせていった。
男:「へい。ここは多摩にございます。」
僕:「多摩・・・。東京の多摩ですかな?」
2人はまた顔を見合わせた。
あ、そうか。
まだ、東京って言わないのか。「江戸」・・・だな。
男:「う~ん?あなたはその身なり、その刀、
   まさかあなたは、日本の人ではないのですか?」
僕:「あ、いや。違います。私は日本人です。
   でも・・・。この時代の人間ではありません。」

僕は、2人の男に、自分の全てを話した。
もちろん、イジメは抜きにして。

男:「なんと!!そうだったでござるか!!なるほど・・・。
   にしても、かなり剣がお強いようで・・・・。」

剣は、強いって言うか・・・。大広の真似だけどね。

男:「まことにすまなかった。あの、よければお願いを聞いてはくれませんか?」
男2:「俺たちも旅におともさせてくだせえ。」

2人は頭を下げた。別に僕は旅してるじゃ無いんだけどな。
僕:「あ、はい。よいでしょう。では、名前を教えてください。」
一人目の男が言った。
「オレの名は米月 共乃介(よねづき・きょうのすけ)です。
 昔はとある大名に仕える武士だったのだが、最近浪人となりました。
 使える武器は槍です。」
二人目の男が言った。
「オレの名は長斗 凧八(ながと・たこはち)です。銃、特にトンプソンを使いますけど、
 化学兵器や、仕掛けなども作ります。あと、薬も作れます。」
共乃介:「今日からよろしくお願いします。」
凧八:「ところで、あなたの名前は?」
「僕の名は、清野 重貴。よろしく。」
凧八:「兄貴と呼ばせてください!!」
重貴:「あぁ、いいよ。」

こうして、僕にも仲間が2人できた。

2人とも、武器を使える人らしい。

よかった。

これで、旅になるのだろう。

どんな景色を、どんな幕末の風をこれから見るのだろうか。



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