【記録】 東北楽天ゴールデンイーグルスの犠打を考える! ブラウン野球は犠打を多用するのか否か──
現在、東北楽天ゴールデンイーグルスのマーティ・ブラウン監督の采配に、イーグルスファンの間でも疑問符がつけられたり、批判が出たりしています。先発3本柱で開幕2カードを回して1勝4敗という誰もが予想していなかった結果に、ファンも落胆し混乱しているが故の、そして前任者があまりにも経験豊富な名将だったたけに、なにかとファンも戸惑っているのです。ブラウン監督の指揮に、ファンの誰しもが首をかしげてしまった象徴的な場面がオリックスとの3/20開幕戦でした。0-1で1点を追う9回、先頭打者の草野が安打出塁、次の打者は1番に戻って聖澤。ここでブラウン監督は強攻策に出て、聖澤は最悪の併殺打に倒れ、一気に得点チャンスを逸してしまったのです。前任のノムさんなら高い確率で送りバントの支持を出していたと容易に推測できるため、あの采配はなんだ!ということになりました。しかし、このプレーは後日報道でベンチはバントのサインだったのに聖澤がサインを見落としてしまったがためのミスだと報道されました。●3/29付、日刊スポーツより0-1で敗れた20日の開幕戦。選手たちと最初に交わした契りを、ブラウン監督は守った。9回無死一塁で、1番に抜てきした聖沢に送りバントのサインを出した。1球見送った後、強攻し結果は併殺打。好機はついえた。試合後厳しい指摘を受けた監督は「あそこでヒットなら一、三塁になっていた」と説明したが、真実は違った。送りバント継続のサインを見誤った3年目外野手をとっさにかばっていた。ファンも評論家や解説者もブラウン監督は犠打が少ないといいますが、本当にそうなのでしょうか? ブラウン監督が広島で指揮を執った2006年から2009年までの犠打数を調べてみました。カッコ内は犠打数のセリーグ順位です。参考までに1位と最下位の球団と犠打数も記しました。■広島の犠打数変遷2009年 111(リーグ5位)1位…ヤクルト144、6位・・・中日1092008年 121(リーグ4位)1位・・・ヤクルト168、6位・・・巨人1132007年 95(リーグ6位)1位・・・ヤクルト1562006年 95(リーグ6位)1位・・・中日155伝統的な機動力野球を掲げる広島での就任1,2年目は犠打数がリーグ最少を記録。しかし、CS進出の可能性が現実味を帯びてきた2008年と2009年は犠打数は前年、前々年と比較しても増加しています。上記のデータのみで判断するなら、アメリカの野球文化出身であるブラウン監督は広島時代の1,2年はMLB流の考え方に固執していたように感じられます。MLBでは相手にタダでアウト1つあげてしまう犠打はあまり好まれない風潮にあります。海のこちら側からそのことを批判しても、それが文化なのだから仕方がないことです。(セイバーメトリクスでも犠打やリスクの高い盗塁はあまり評価されません)実際、ブラウン監督は楽天監督就任会見で次のように吐露しています。「広島監督時代は文化の違いを感じることもあり、その中で、アメリカ式でいくのか、日本式でいくのかと悩んだ時期もあった」。そしてこう続けています。「でも、今はアメリカ式、日本式ということではなく、過去の経験を活かして「イーグルスウェイ(eagles way)」と言うべきものを確立していくことが大事だと考えている」僕は、ここまでの戦い方に戸惑いながらも理解しようと務め、この発言に期待を抱いているわけです。さて、ここまでパリーグの球団別犠打数を振り返ります。1.ロッテ・・・52.オリックス・・・73.西武・・・84.ソフトバンク・・・135.楽天・・・86.日本ハム・・・12この数字のみを診れば、決して少ないわけではありません。ということを踏まえたうえで、今季ここまでの楽天イーグルスの犠打履歴をまとめてみました。下記表です。実際に犠打を決めた履歴のみではなく、犠打の可能性があった場面全てを抽出してみました。ただし、満塁、3,2塁、3,1塁のスクイズが想定される場面は対象外としています。68の犠打機会があったと考えて下さい。その中で犠打を決めたのが8個です。上記表から、現実問題犠打はしないと思われるケースをどんどん除外していきます。文字数制限があるため、簡潔にいきます。1、進塁打(表の青の網掛け)、渡辺直の三振の隙に走者盗塁成功となった表49行目を削除します。犠打と同じ結果になったからです。そのようなケースは6つありました。68(犠打機会)-6(進塁打など)=62。62の犠打機会で犠打8個。2、山崎武、フィリップス、リンデン、中村紀の打席は、バントを命じることはきわめて稀だと推測されるため、除外します。上記打者4名の打席は合計22ありました。62(犠打機会)-22(4打者の打席合計)=40。41の犠打機会で犠打8個。3、代打起用された憲史の打席でも犠打は考えられませんので、表24を削除します。40(犠打機会)-1=39。 39の犠打機会で犠打8個。4、さらに安打や四球の結果になったケースを除外します。表19,22,47,57,60,67,68が対象です。39(犠打機会)-7(安打や四球)=32。32の犠打機会で犠打8個5、さらに、その回に得点が入っているケースを除外します。8,9,20,23,36,38,39,61,66行がそうです。少々乱暴ですが、犠打はしなかったけど得点が入ったからいいじゃん!というワケです32(犠打機会)-9=23。23の犠打機会で犠打8個。ここまで削除すると、上記表は下記のようになります。さらに黄色の網掛け部分を下記理由により削除します。表2行を削除→開幕戦で3番・鉄平に犠打を命じることはなかなか困難なため。表5行を削除→オープン戦で打撃絶好調の聖澤に1アウトから送らせるのは考えずらい。送っても次打者が昨年得点圏打率2割をきる渡辺直のため期待できない。表25行を削除→1アウト1塁で鉄平に送らせて2アウト2塁で山崎武でかけるよりも、鉄平に打たせてつないだほうが得策に思えるため。表28行を削除→1点ビハインドの中盤6回だが、犠打をさせると2アウトになり、打者は山崎武。ここも打たせてつないでいくほうが得策に思えるから。表29,30行を削除→5点ビハインドの時点で送りバントはないため。表34行を削除→すでに得点圏に走者がいるため、犠打で相手にアウトをみすみす1つ献上することはないため。表44行を削除→ここも上記同様の理由。表46行を削除→すでに前の打者・嶋が犠打を成功させているため(表45行)表48行を削除→1点ビハインドの9回、すでに得点圏に走者がいるため、送りバントの意味がない。そうすると、表がこのように↓なります。オレンジの網掛けは犠打です。こうすると犠打が想定される場面は13回あったということになります。そのうち表2行の開幕戦9回の聖澤の場面はベンチはバントサインだったため、実際の犠打数にプラス1します。そうすると、、、そのなかでブラウン監督は犠打を9個選択したことになります。割合にすると、実に69.2%の高確率で犠打を選択していたことになります。上記の表を削っていく取捨選択方法は決して正しい方法ではなく、やった僕も少々(かなり、かもしれない)乱暴だなとは思っています。しかし、こうしてみると、開幕11試合を消化した時点でいえば、ブラウン監督は犠打が少ない、とか、ブラウン監督は犠打を好む監督だ、とかは早急に物事を判断する時期ではないのでは?と感じます。期待が高かった分、予想外に負けがこんでしまっているため、そのストレスのはけ口として、犠打数が槍玉にあげられているのだと思います。(勝ち越していれば、このような批判は少なかったはず)とりあえず、判断保留、4月終了時に再度ふりかえってみたいと思います。■楽天イーグルスの犠打数変遷2009年 121(リーグ3位)2008年 132(リーグ2位)2007年 108(リーグ5位)2006年 110(リーグ4位)2005年 70(リーグ4位)しかし、まぁ、前任者のノムさんより犠打の数は少なくなる、とは言えそうですね。-------------------------------------------■過去記事はコチラをクリックしてください。-------------------------------------------↓↓各種ブログランキングに参加中!! あなたの「ひと押し」が活力に! なにとぞ、よろしくお願いします!(^ー゚)ノ 4/5現在ブログ村「野球ランキング88位」「楽天イーグルスランキング1位」みなさまのおかげです(^人^)にほんブログ村