シュタイナーの人智学的医術その601
さて、地球外の力と地球の力に人間が依存する事実に関連し、以前述べた事実と、これまで補足してきた時間的な生成過程(プロセス)を総括すれば、次のような結論に至る。この結論は、自我の闘いで述べたような熱曲線の観察等の探求を更に追求する途上の助けとなるだろう。 「人間に対しては絶えず様々な力が行使されている。これらの力は、人間の物質体やエーテル体を観察すれば、第一に、地球外の力と、その力に対して反対の作用をする地球の力であり、火星、木星、土星を起源とする力と、実際、既に地球の力として転化させられている、金星、水星、月を起源とする力(下図参照)である。」 地球と月との関係もまた実際に起こっている事実に対して安易な思い違いがなされている。現代人は、安易に、「月は、地球の上方にあり、月は上方から影響を及ぼしている。(下図参照)」と考える。 しかし、月の影響を、上方から考えるだけでは、完全ではない。月は、地球の周りを回転する地球の衛星であるだけでなく、月のなかから地球に作用する力と同じ力が、本質的に、地球のなかにも含まれている。 地球のなかから外へと作用する、(転化された潜在的な)月の力も、地球は持っている(下図参照)。 物質現象でいう、潮の干満他の多くの現象、また例えば月経周期で示されるような出来事(事象)全般は、実際は地球の作用ではなく、月の作用なのだが、最近(1920年)の理論の主張のように上方の月の影響により起こるのではなく、地球のなかにある(転化され潜在化した)月の力により起こる。 従って、月経周期で示されるような出来事とは、外(物質)的にも対応してはいるが、少なくとも直接、時間的に関係するわけではない。 (天にある月の周期とは、ズレている。) 従って、太陽より下位にある惑星(月、水星、金星)の影響(上図の緑円)について語るには、地球のなかの反映(転化)像(上図の青の円)も探究すべきで、更には、物質への影響(上図の赤矢印)や、地上から発せられる物質的影響による反作用(上図の黄矢印)も考慮しないといけない。 ただし重要なことは、地球外の惑星の影響は、霊魂(機能)的に働きかけることである。例えば、月の場合、次のような感じとなる。 「月は地球にむかって、ある種の幻想力を投げかける。この事は、人間のファンタジー(幻想)を生み出すような創作活動を、月が高めることで表わすことができる。月は、人間の魂にファンタジーを生み出すように多大な影響を及ぼす。」 上記のような惑星の霊魂的な働きも研究すべきである。 唯物主義の時代では確かに、惑星の霊魂的な働きのような事柄は、ほとんど考慮されていない。しかしながら、惑星の霊魂的な働きは明らかに存在する。月は、人間の霊魂のファンタジーの創出に関連し、非常に強い影響力を持つ。 (偉大なる月 http://www.moonsystem.to/moon.htm 「新月・満月には重大事故が多く、上弦下弦の半月にはうっかり事故が起りやすい」ともいわれている。また「満月には犯罪が増加する」などともいわれている。) 霊的な影響とは反対の物質的な像、つまり生体器官への月の影響は、地球のなかの月から発せられ、人間の生体組織に作用する。考慮すべき作用とは、この地球のなかの月の作用なのである。この作用は、例えば、月よりも(地球から)外にある、太陽の下位の惑星(水星、金星)にも当てはまる。 (「太陽より内」とか、「外」とかの呼び方は、天動説を基にしている。地動説からいえば、地球から、月、金星、水星、太陽に進む場合が、「太陽より内」、または「下位の惑星」となり、地球から、火星、木星、土星と、太陽系の外に進む場合が、「太陽より外」、または「上位の惑星」となる。 端的にいえば、天動説は、銀河の中心を基点に、太陽がそれを追いかけ、太陽を他の惑星が追いかける描像である。天体の運動の違いが、天空の音楽、つまりシンフォニーとして、高次の霊能力を獲得すると聞こえるそうである。つまり、天使の歌声である。) 以上のように、人間には様々な形で、つまり地球に集約された(太陽より下位の惑星の)力、いわゆる地球の力と、また地球の外から地球に集約された(太陽よりも上位の惑星の)力が働きかけている事実がわかる。 (地球には、月、水星、金星の地球の力に転化した力と、火星、木星、土星の力が作用している。)