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シュタイナーから読み解く神秘学入門

シュタイナーから読み解く神秘学入門

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2008年04月07日
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カテゴリ:よもや話
 大河ドラマで、「篤姫」をやっているが、勝海舟も、篤姫のこと、つまり「天璋院」のことを少ないながらも述べている。

 ■天璋院

 天璋院は、最後まで、(徳川)慶喜が嫌いだったようだ。それは、慶喜が、女は、何もわかりやしないと言ったのが、(大)奥へ聞こえているからね。そして、嘘ばかり言って、いい加減に言っているから、少しも信じやしないのさ。

 慶喜殿が、(鳥羽伏見の敗戦で、大坂城から江戸に)帰られた時に、天璋院を薩摩へ還すという話があったので、(天璋院は)大変に不平で、「何の罪があって、里に御還しになるか、一歩でも、ここから出ません。もし、無理にお出しになれば自害する」と言って、昼夜、懐剣を離さない。 

 同じ歳のお附きが六人いたが、それがまた、皆、一緒に自害するというので、少しも手出しが出来ない。誰が行って、何と言っても、聞かない、なかなかの議論で、どうにも、こうにも仕方がないという。

 それじゃ、オレが行こうと言って、まず、通達しておいて貰った。すると、その頃、オレは有名な八方破りの評判で、泣く子も黙る恐ろしい者となっていたから、どんな事をするかと、皆、心配していたそうだよ。

 それで、次の日、出て行くと、女中がずうっと並んでいて、座布団が向こうにあるが、天璋院が見えない。「どうか、なさいましたか?」と言うと、皆、黙っていたが、暫くして、女中の中から1人出てきたよ。それが天璋院だった。隠れて、様子を見たようだね。

 それから、オレは、まず言ってやった。「これまで、あなた方へ上って色々申し上げたでしょうが、それはみな、嘘です。嘘を申し上げたのです。しかし、嘘と言っても、悪意ではありません。お女中の事ですから、御心配をなさらないように、という配慮から出たのですが、それはみな、よくありません。

 今日、実際の事は、(こういう)訳でございます。それで、もし、あなた方が自害などなさったり、どうしてもここをお出にならんとおっしゃると、(こういう)ようになります。」と言って、何もかも、はっきりと言ったよ。

 なかなか剛情で、容易には服さないが、何しろ、聡明な人なので、色々聞いたよ。女だと思って、何も言わずにいるから、悪いじゃないか。それで、「あなた方が、自害だなどと仰っても、私が飛び込んで行って、そんな懐剣など引ったくります。造作もございませんよ。」と言ったら、

 お附きが、「それは甚だ言い過ぎでしょう、死のうと思えば、懐剣が無くとも死ねます」と言うから、(海舟は)「そうですか、だが、それでは、甚だお気の毒ですが、私の名が有名になりますよ」と言ったら、何故かと問うのさ。

 「それはあなた、天璋院が御自害を為されば、私だって、済みませんから、その傍らで、腹を切ります、すると、お気の毒ですが、心中とか何とか(世間から)噂されるでしょう」と言ったら、「御冗談を」なんて言って、笑ったよ。
 
 それから、「明日もいらして下さい、また伺いたいから」と言うのさ。

 それから明日も行って、とうとう三日かかって、ようやく納得さ。それはひどく剛情なものさ。それから太平記だの、色々な書物の質問さ。

 (海舟が)「幕府六百五十年の結末をつけるので、徳川氏だけの事ではありませんから」と言ったのだが、だんだんと(天璋院も)わかってきてね。終いには、完全に理解してしまったよ。

 八之丞様(十一代将軍家斉の孫の一橋慶昌)といって、一橋家の跡取りとなる人が、大層、ワシ(海舟)を気に入って、十二歳まで、お附きでいた。その頃、隠居するには、一年かかるが、親父(勝小吉)も、私を八之丞様につけて、出世させるつもりで願ったが、そのうちに(八之丞が)死んでしまった。それで出世が出来なくなって、又、落ちぶれたのさ。

 だが、その時、後宮にいて、可愛がってくれた老女などが多かったので、その後に大層助けになったよ。西郷(南洲)なども、(海舟を)怖がっていると聞いて、大変な者になったと思ったらしく、「あら、麟(勝海舟の旧本名の麟太郎)さんの事かい」などと言ったよ。

 それで、塩煎餅だの、色々ともっていって、それぞれ絶えさせないで置いたが、それが大層役に立ったよ。





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Last updated  2008年04月07日 21時29分38秒
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