テーパーについては触れない話
これまで、楽器のハイパス回路について記事にしたこともあるような、無いような…。
久しぶり過ぎて記憶も彼方に飛んでしまいました。
もう少し、せめて52テレに何故かハイパスコンデンサが付いてる頻度くらいの更新目指したいですね。(年間投稿率に換算したら結構な難易度になりそうだ)
さて。先日久しぶりに某社のベースに触ったんですが、ジャズベースなのにスムーステーパー回路が付いてるんですよ。回路を理解してたら絶対にやらないと思うんですが。
ってことで見るたび毎回悶々とするので、適当なことを書き連ねてガス抜きします。
スムーステーパー回路については、解説サイトも年々充実しているので、詳しくはそちらに任せます。
いや、そうすると最近は良い記事が増えたので私などが補足するようなこともなくこれにて終了になってしまうんですが。。
皆さんスムーステーパーの動作って理解されていますか?あの固定抵抗の意味は?コンデンサの定数はどれがいいの?
皆さん本当に理解して使っているのでしょうか。
私は分かってません。
なのでネットで調べたところによると、トレブルブリードコンデンサは『寄生容量を打ち消す』、並列に追加する抵抗は『変化をスムースにする』ために付けるらしいです。
この並列抵抗が結構マジックだと思います。
ボリュームを絞るとポットによる直列抵抗にコンデンサが掛かって高域だけパスするわけですが、当然絞るほど高域だけが残り強調されてしまいます。
ここでコンデンサと抵抗を並列に掛けると、抵抗値が並列減衰して……、つまり「なんやかんや起きて」ピックアップのハイ落ちが連動する結果となります。
これが高域の強調と組み合わさりキレイな減衰特性を作るため、「スムーステーパー」と呼ばれる訳です。すごい!
(※そして急峻なカーブ自体もスムースになるんですが、情報過多になるので省きます!)
この時のコンデンサ容量は寄生容量の合計値(180p〜680pFくらい)、抵抗値はボリュームポットよりも少し小さい値を取るのがお勧めとされていますね。
もちろん、場合によっては過度な高域強調による味付けを狙って102=1000pFくらいのコンデンサだけを付けてもいいわけです。
この場合、クランチ程度の歪んだアンプに合わせると高域だけジャキっと歪むようになります(クリーンが出なくなる場合もあります)
また上記の並列減衰と逆の動作を応用しているのが『ボリューム2番端子からトーンに繋ぐ』回路になります。
50年代ギブソン方式などと呼ぶ方もいるそうです。私はポストトーンと言いたいです(いま考えた呼び方)。
相反する用途なので、闇雲にスムーステーパーと併用して「キラキラ特化〜」みたいなこと言ったりしないでくださいね。
なぜ相反する動作になるのかは、ボリュームが「最大の場合」と「半分くらいの時」でPUから見た合成抵抗値を計算してみてください。
例えば500kΩポット使用時、合成値は並列で250kΩとなりますが、半分のときでは…??
※スマホ+タッチペンで記載してみました。嘘みたいな描画品質なわけですが、スマホで絵とか描いてる人ってどうなってるんですか…?意味が分からない。ハイパス回路よりもずっと深い謎だと思いました。
通常の回路ではこういった干渉を避けますが、トーンを2番端子に繋ぎ変えた場合には「ボリュームを絞ると合成抵抗値が250k→416kΩなどに上がり、ハイ落ちを少しだけ緩和する」回路になる気がします。
いや、自信はないんですが少なくとも私はそんな意図で回路を書いて使ってました。
この通りとすれば、抵抗値を落としてハイ落ちを掛けるスムーステーパーとは殺し合うということが分かるかと思います。
ポストトーン方式の、抵抗がボリュームポットの負荷側(直列じゃない方)にだけ並列に掛かるという見方は、入力インピーダンスの低いファズ+ボリューム操作を考える時などにも有効だと思います。抵抗値の合計を計算するだけで知ったかぶった顔ができますよ。
ついでに負荷抵抗値でのハイ落ちの具合を数値と体感ですり合わせて覚えておくと、Lo-Z入力時のトーンの可変幅や1MΩボリュームの挙動などなど、見えるものも大きく変わってきます。
こういった部分の回路コントロールができるようになると、自分に合った好みの楽器回路が作れると思います。
ただ個人的には、あまり特別な回路に仕上げるよりは、効いてるのか分からない程の浅いハイパスや、ポットの値程度のチューニングに留めるのがお勧めです。
全部分かった上で素直な回路に納得できるのが一番です。
ハイパス用に180pFだけ付けて、効果は薄いけどシールドが長くなった時にちょっとだけ影響を受けにくくならないかな〜って使ったり、ですね。
はい。そんな感じで、いつも通りすごく適当な記事でした。
ちなみにスムーステーパー回路をジャズベースに搭載した場合、片側のボリュームを絞るとコンデンサがグランドまで掛かるため、残ったピックアップが強制的にハイカットされる結果となります。ハイパスのための回路なのに。
またテーパー調整抵抗についても、そもそもジャズベース方式のボリューム回路は純粋な分圧として機能していないので負荷調整としては適当ではないと思います。
…結果的には、それが狙った効果なら別に良いんですけどねー。