バッファの設計中。
ここ最近、バッファを設計しています(2年くらい)。
元々はパッシブピエゾでもアクティブベースでも入力回路やノイズの影響を少なく確認したくて作りました。
無知な上に実用のためだったので、その時はザッと描き上げてすぐに使い始めたのですが、これがすごく気に入ったのでアレンジや応用を色々考えてもう2年くらいになっています。
自分の考え方の整理を兼ねて悩んだ部分を少しメモしておきます。
【入力インピーダンス】
一般的なマイク用アンプが2kΩ前後の入力インピーダンスなのに対して、エレキギター用では1M(=1000k)Ω前後の高い入力インピーダンスとなります。
しかしパッシブのピエゾ信号を受ける場合、1MΩ程度ではまだ低域がロスしてしまうため、できればその10倍前後の超ハイインピーダンスで受ける必要があります。
反面、高すぎる入力インピーダンスはノイズや不安定性の原因となりますのでよく配慮しないとぶっ壊れます。
【信号の変化】
信号をロスなく正確に受け取ることと、受け取った信号をどれだけ正確に送り出せるかは若干違った設計ポイントと思います。
例えばgmの低いFET一発でソースフォロワを組んだ場合、トランジスタで組むよりも高めの入力インピーダンスを得ることは容易ですが、ゲインが足りず出力音量が何%か下がってしまう場合があります。これは単発では感じにくい程度ですが、数個繋がるとナマりや音量差を感じるレベルになるかもしれません。
また、オペアンプは単純な一石フォロワより正確な受け渡しも可能ですが、意外と入力バイアス電流がバカにできなかったり、ユニティレベルでの使用に制限があることがあります。
某ペダルデザイナーのバッファ回路に5534オペアンプが入っているところを見たことがありますが、これは通常では3倍以上のゲインで使うよう指定されています。
(当該機がどんな回路で使ってるかは不明です。大丈夫なのかな。)
CMOS系のオペアンプなどでは、入力電圧が低く制限されてたりするのでたぶん注意が必要です。
パーツ交換だけする勢、そこがアイデンティティなのに意外とデータシートの簡単な確認すらやってない人多いです!
よく配慮しないとぶっ壊れます。
バッファ出力音の変化から少し話が逸れてしまいましたが、意図しない変化は無い方がいいですね。
但し、「音を変えない」と「音が変わらない」はまた異なるので注意が必要です。全くロスしない場合と、バッファなしでロスした音は別物ですし、必要の際はチューニングを行います。
【出力先の影響を受けない】
どんな回路やケーブルに繋いでも手前の入力音に干渉しないように切り離すのが、バッファのそもそもの目的だと思います。
インピーダンスが云々、という部分ですが要求に向けての設計の都合なので、ユーザーはあまりインピーダンスとか細かく気にしなくていいと思います。そして設計者もあんま考えてない時は適当にポン出しです。(故にユーザーが気にしなきゃいけない時もあるんですが。)
逆に、バッファなしの質感を得るための「リアンプ」なる機材も世の中にはたくさんあります。
アイソレート目的とかならともかく、巷のユーザーはリアンプに満足しているんでしょうか?
(普段アンプにはペダル出力突っ込むのに?)
(半端なものなら要らなくない?)
【電源回路】
電源が貧弱だと出力も貧弱になりますが、安定化にもある程度の電圧が取られますので、クリップレベルとはトレードオフの関係となります。
あとバッファ回路を作ってるといつの間にか電源回路になってるっていうビックリ現象が時々あると思うんですが、そうこうしてると電源にもチョットこだわりたくなったりします。
単純なバッファならものすごくシンプルな回路ですが、いつもこのような条件をコネコネ組み合わせて考えています。
当初は「楽器の音自体を変えない」という目的で初段用に作ったバッファですが、複数ペダルがある時は楽器直後よりもアンプ直前の方が好きでした。
正直、入力インピーダンスが過不足なければ、初段はどんな回路に入れても楽器音の変化は大差ないと思います。作る時は一番悩んだ部分だったのに。。
世間では「BOSSなど使う場合でもボードの一番頭にいいバッファを…」みたいな文章もよく見かけますが、初段の入力インピーダンスさえ目的を満たしていれば、いいバッファは一番後ろの方がいんじゃないですかね。
この分野については素人なのでよく分かりませんけれど!