カテゴリ:機材
今回、予てから求めていた機材
ALEMBIC のF-2Bを入手しました。 初めましての記事ですが、いきなり本題から入ります。 まず、そもそもF-2Bとは といった話から。 アレンビックのプリアンプというと、同社のベースに載ったアクティブ回路などを連想する方もいるかも知れませんがこれに関してはまったく関係ありません。 そもそもアレンビックのロン・ウィッカーシャム氏は、まず音響などの分野で知名度を上げ、機材に関わるうちに楽器の製作まで行うようになった方です。…確か。 F-2Bは、回路的にはフェンダー社のDUAL SHOWMANが元となっています。 このアンプについて、パワー部やノイズに満足しなかったためプリアンプシグナルのみ出力してマッキントッシュのパワーアンプへ繋ぎ、JBLのスピーカーなどを組み合わせて音色を追求していたそうです。 しかしフェンダーアンプのプリアンプ部のみの使用というのは色々と無駄や不都合が多かったため、ラックマウント用の単体機として設計したものという事です。 具体的に回路を見てみると、各定数までほとんどがDUAL SHOWMANと同じままですが(笑) 特に変更を加えてない事についてはベースマンを弾いた時のジム・マーシャルのように、その音がただ理想そのものだった、みたいな事だと思います。 考え方によってはオリジナルへのリスペクトの結果ですので、半端にいじって商業的な優位性を謳われるよりは断然好感の持てるものだと思います。 コントロールは VOL BASS MIDDLE TREBLE に加えてBRIGHTスイッチ これが独立して2CH分、同じ回路が並んでいる というのが基本仕様です キャノン入出力やスイッチが増設されていたりと 若干カスタムされた仕様も存在しているようですが、特に日本では情報も少なく詳しく追っていません。 各CHにHIGH LOWと2つの入力が用意されているためリンク接続をしたり、各アウトを用いて2CHの直列接続といった変則的な使い方も可能となっています。 このプリアンプは真空管式ですが、 シンプルな構成であり積極的に歪ませるためのものではありません。 普通に単体で使ったらクランチやディストーションは掛からないと思います。 現代では真空管=歪みのような印象が強く、歪まないならソリッドでかまわないといった考えも多いようなので、 改めて考えると現在では珍しいコンセプトな機種かもしれません。 もちろん直列にしたり、前段でプッシュすれば真空管特有の歪みが得られますし、なにか品質が劣っているという意味ではなく、むしろセールス用に合わせて脚色された音ではない、ナチュラルな音色が得られる製品です。 い、今どき売れなさそう…(笑) ピーキーな特徴を持った製品ではないですが個人的にリファレンスとしてこれ以上にないプリアンプでして入手の機会をうかがっておりました。 プロも多く愛用してきた実績があり 共通認識として共有できる音を得られるのはかなり大きなポイントです。 出音はありますがジャンク扱い(安かった) 修理内容次第ではリファレンス目的から離れてしまいますが、そもそも現在プリアンプを設計中でして、その比較基準として、という目的が大きかったのです。 オリジナル度が最重要であるものの、良くも悪くも基準でしかないため本腰入れて音色を追い込むのは自作の方です。 今回は修理経験も含めて価値があるかと思っての。そして勢いでの入手です。 実際、実機をざっとみると 回路図では見逃してたポイントが いくつもありそうです。 色々と書き記しながら 楽しみつつ修理を進められればと思っております。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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ロン・ウィッカーシャム氏は、軍で通信機器担当として勤務し、その後にプロ用機材のアンペックスに職を得て、世界初の8トラックのミキシングコンソールをつくりました。そしてヒッピーになってグレイトフルデッドの仕事でアレンビックをリック・ターナーと設立。リック・ターナーは、どちらかというと楽器のデザインで、ロンさんは機材や回路設計を担当していました。F2Bですが、たしかベース、ミッド、トレブルのレベルは、1−5−1のポジションでフラットになると言ってました。80年代、楽器フェアで来日された際にお会いしたとき、そう仰ってました。
(2016.12.11 17:41:39)
シリーズ1さん
実体験など貴重なお話ありがとうございます!なるほど、アンペックスにいらしたのですね。また、楽器と機材の両者のすみ分けも非常に貴重な情報でした。 (2017.05.16 14:09:25) |
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