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STRONG SOUL!!

STRONG SOUL!!

第17話 1日目終了

 カーナは今後の食事の買い出しをし終えたところだった。大量の食材と、新しい鍋を持ってにんまりと笑顔を浮かべて道場に戻ってくると、ひとだかりの中で、ブーステッド親子が乱戦しているのを発見した。
「あららら・・・」しかし驚く事はなく、笑顔は消えなかった。
「おう!ニーナちゃんか?いや、カーナちゃんか?む~ん、あ、言うなよ。考えるから・・・。分かった!新しい鍋を買って笑うのはカーナちゃんのほうだ!料理が得意だからね。」飯をおごると言った男がカーナに話した。
「お久しぶりです、テンツさん。お店はどうですか?」
「変わらずに、ぼちぼちやってるよ。アハハハ。」親指を自分の店に向けた。カーナの目には5年前と変わらないテンツの飲み屋が映った。そのとき、ダーティのこめかみにグレゴッツの拳が命中した。ダーティは吹き飛ばされて人垣に当たった。カラン、とダーティの持っていた剣が音を立てて落ちた。
「っ痛ぇ~・・・。まだまだ!」人垣から立ち上がり、落とした剣を拾ってダーティは構えた。しかし、彼の目は明らかに焦点が合っておらず、フラフラとしていた。潮時かな?、と思ったカーナはグレゴッツとダーティの頭上から水を落とした。昨日、ソフィアとニーナにかけたものと同じだ。何人かの野次馬にもかかったが、気にはかけない。
「グレゴッツさん、今日はこれぐらいにして下さい。ダーティさんはもう立っていられませんよ。」グレゴッツは振り向き、目でカーナを捉えた。
「そうだな、今日はこれぐらいにしておくか。」グシャグシャと頭をかいて水を飛ばした。
「何言ってんだ、俺はまだ立っていられる・・・っ」グラリと景色が揺れて、眼前のグレゴッツが昆布のようにウネウネしている。
「やっぱり、無理かも・・・。」剣を地面に刺してやっと立っていられる状態のダーティは、グレゴッツのデコピンであっけなく地面に倒れた。
  


 ボロボロ、ボコボコにされたソフィア、ダーティとカーナはディメンションで館に帰る事となった。ソフィアはともかく、ダーティはとても歩いて帰れる体ではない。
「ではまた明日きますので。」荷物を持ってカーナがグレゴッツとデプトにお辞儀した。
「ダーティさん、お願いします。」カーナがポン、とダーティの肩をたたいた。ダーティは左側の頭をさすっていた。グレゴッツに殴られたところだまだ打痛みは弾かないが、なんとか視力は回復した。
「俺としたことがデコピンでダウンとはな・・・。やれやれ。」
「明日はどれくらいもつかねぇ?はっはっは~」グレゴッツが高らかに笑った。
「じゃぁまた明日。」ブゥゥン、と音を立てて3人は消えた。消える瞬間ソフィアはニヤリとしていた。
「おれもまだまだ現役だな!!」グレゴッツが肩を回しながら言った。
「私はダメかも知れんない・・。」デプトは左腕をグレゴッツに見せた。腕には一本の切り傷がついて、傷口には血が固まりついている。
「一足先に伝授にうつる事になった。」デプトからはため息がもれた。
「はっはっは~、俺の1408勝目だな!!」とぼとぼとデプトは道場に帰り、グレゴッツはテンツの飲み屋に向かった。

  ザンキの気がもうろうとしているとき、ダーティ達はディメンションで帰ってきた。 そのときちょうど、ニーナがナイフをディメンションしているときだった。
「あら、おかえり。どう?自分が刃向かえる相手だと思った?」ニーナはナイフをディメンションして消した。エナートがひざに手をついて大きく息をしている。ニーナの後ろのほうではザンキが歯を食いしばり、木を握っている。
「今は無理だな。」ダーティがあっさり言った。ソフィアは?とニーナが聞くと、
「私は手ごたえあり。1本入れてきたわ。」コンコン、と剣の柄をたたいた。
「じゃぁ、あんたらも終了!風呂でも入ってきなさい!!」よっしゃ~!と、ザンキの喜びの声があがった。エナートとダーティはフラフラと部屋に向かった。
「新しい鍋買っちゃいました♪」ごきげんで姉に鍋を見せる。
「あら、いい鍋ね。いくらしたの?」そんな話をしていると、ソフィアが乗り出した。
「晩御飯は?」
「お肉、生野菜サラダ、それから・・・」
「あの~・・・」さらにザンキが乗り出した。
「何?」ニーナが強い口調で聞いた。
「お風呂・・・どこですか?」


第17話完


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