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STRONG SOUL!!

STRONG SOUL!!

第32話 予期せぬ訪問者

 今日はブーステッド流格闘術対グレナデス流剣術の仕合がある。朝からソフィア達全員は、会場となるグレナデス道場にいた。道場は昨日エナートに直してもらったので、汚くもないし、汗臭くもない。一生懸命に剣を交える子供達の姿は、新鮮だ。
・・・・しかし、朝から外が騒がしい。どよついている。何かあったのだろうか・・・
 3仕合目、グレナデスのほうのベックがなんと勝ちそうだったとき、街の男性がこっそりとソフィアに近づいていた。
「あら、マルクさん、おはよう。」
「おはよう。それより嬢さん、あんたの記録塗り替えられそうだよ。ほら、テンツのところの・・・」なんと、テンツ飲み屋のソフィア特別コースに挑戦し、クリア寸前であるというのだ!
「えっ!?嘘!!!???」すぐに立ち上がって、デプトに少し出かけると一声かけたあと、すぐにテンツの店に向かった。

 すでに店の周りは野次馬であふれ返っていたが、みんなソフィアの顔を見ると、道を開けてくれた。中にはテンツと数人の客、それからソフィア特別コース挑戦中の男、髪の毛は少し赤みがかり、きちんとした顔立ち、目は細い。その男は黙々と食べ続けている。その男がソフィアを細い目で捕らえた。すると男は手を止めて、4万ピルスを台の上に出した。
「ごちそうさん。」それからソフィアに近づいてきた。「あんたがグレナデスさんだね。ちょっと時間がほしいんだけど・・・・」その男は笑顔を浮かべているが、その後、声には出さずに、口だけ動かして、「みんな殺す」とソフィアに伝えた。
何を言っているのかわかったソフィアは、それに応じた。
 
 男をグレナデス道場の前に待たせると、ソフィアは中に入り、グレゴッツに体を動かしたいから道場を貸してほしい申し出た。グレゴッツはすぐに承諾した。だが、ソフィアの様子がおかしいと、エナートは気づいた。

 「助かったよ。俺から声をかけに行く予定だったんだけど、来てくれるとわね。来た理由は、シャルトス様からの伝言を伝えるため。」道場内で向かい合って男がソフィアに言う。
「名乗るぐらいしたら?」
「あぁ、そうだったね。おれはブラッドの・・そうだな、サイクロンとでも呼んでくれ。ブラッドっていうのは、シャルトス様が選出した26将のうちのひとりっていうことさ。」
「・・・聞いてない。」・・・・冷たい。
「伝言を伝えるよ。俺はしばらくこの世界にいないから、その間に俺の手下、つまり俺達が相手をする。」
「はいはいわかったよ。じゃぁかかってきな。」ソフィアが剣を抜く。
「俺の出番はまだだよ。でも、出番がきたら・・・真っ先に君を殺す。」感情をださずに、率直に言った。
「あら、頼もしいわね。でも・・・今度と言わず、今じゃだめなのかしら!?」剣を突き出し、衝撃波を飛ばす。南風だ。しかし、衝撃は壁にあたり壁がこなごなになるだけで、サイクロンはすばやくよけていた。
「恐い恐い。だけどね、シャルトス様の言いつけだから。」
「毎度毎度・・・誰が直すと思ってるんだ。」盗み聞きしていたのか、エナートが入ってきた。「さぁ、なんでここを知っているのか教えてもらおうか。」
「だれだい、君?」
「エナート・ルクス。連れだ。」神樹を取り出してちゃっちゃと壁を直す。
「面白いアポカリプスだね。ここを知ってるのは、いずれ、ダーティ君たちに聞いてみな。ダーティ君たちがだれかにここの場所を教えたんだよ。」ちっ、とエナートが舌打ちする。
「あのばかども・・・」エナートが肩をすくめる。
「じゃ、俺はこれで。」サイクロンはすぅっっと消えてしまった。ディメンションではない。ディメンションはジジッと消えるからだ。
「来た敵はボッコボコ!いい、エナート?」
「あ、あぁ・・・」2人はブーステッド道場を出た。最後にソフィアが空に叫んだ。
「いつでもかかって来い!!!」

第32話


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