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STRONG SOUL!!

STRONG SOUL!!

第48話 予選1

建物のすぐ前
「ルールをご説明致します。」アランが持っていた箱を開けた。中からピンク色のバンドのような物を出した。「あなた方にはこれを腕に巻き付けていただきます。どうぞ。」アランが二人にバンドを渡した。「左腕に。」アランの要求通りに二人は左腕に付けた。
「この街の中に黄色いバンドを右腕にしているものがいます。そのバンドを奪い、二時間以内にこの場所に戻り、ピンクと黄色のバンドを私に差し出せば合格です。相手を気絶させてもよし、眼を盗んでひったくるのもよしです。ちなみに、黄色いのを付けているのは私たち大会スタッフです。」アランが箱から黄色いバンドを取り出して、二人に見せた。「バンドは必ず腕に巻き付けていること。奪ったバンドは持っているだけでいいです。判断力、スピード、戦闘力、忍耐力、観察力・・・様々な能力が試されます。」アランが指折り数えた手を下ろした。
「それではスタートです。」
「質問。」ダーティが手を上げた。アランがうなづくのを見てから言った。「こっちのバンドが取られたらその時点で終わり?」アランが首を横に振った。
「いいえ、ここに持って来られるまでに奪い返せたらセーフです。」
「わかった。」ダーティはエナートを呼んで、その場に座った。「作戦会議だ。まぁ座れ。」言われたとおりエナートは座った。「この種目は案外俺たちにとって簡単かもな。」
「なぜそう思う?」エナートが聞いた。「よく聞けよ。」ダーティがバンドを指差した。「俺たちは敵のバンドを狙う。敵もそれを知っている。しかし、いつだかはわからない。突然襲われるかもしれない。これが1としよう。」エナートは目をつぶりながら聞いていた。「聞いてる?」
「問題ない。」エナートが答えた。
「じゃあ、続ける。2番目に、制限時間があること。二時間なんだから、ここから一時間以上のところにいるとは思えない。そして3つ目。相手が俺達のバンドを奪ったらここに来なければいけないこと。取ってから奪い返されるようなことは避けたい。以上の事を考えると・・・」


ダーティ達が見える受付会場の向かい、3階建ての建物屋上。「は、馬鹿な奴等もいたもんだな。」身を低くしてダーティを見ているのはサロン。大会スタッフ、黄色のバンドを付けている。「選手のバンドを取るには、いつ始まったかがわかり、無駄な労力を使わず、リスクを背負わない受付付近が一番だ!俺って頭いい!!。受付期間内をずっと逃げ切れば賞金200万。どんな手を使おうと俺のものにしてやる!それにしても・・・」サロンから見えるダーティ達は独り言を言っているのと、寝ている男に見えたはずだ。「寝ているやつがいるとは・・・この隙にもう一人がそっぽ向いているうち後ろからいただこうかな・・。」そのとき、寝ている男(エナート)が目をつぶったまま立ち上がった。サロンはその様子を黙って見ていた。すると、エナートが急にサロンの方を向いた!
「!?」サロンは反射的に身を更に屈めたが、もう居場所はばれてしまった。ここから逃げなければ・・・。


「・・・どうした?」ダーティがエナートを見上げた。
「さっきから誰かに視られてた。どこから視てるか感じ取ってたらあの屋上からだった。悪いなダーティ。先に行く。」エナートは向かいの建物の裏に回って行ってしまった。
「やるなぁ。視られてたとは・・・」残ったダーティも立ち上がった。そして受付の扉の前に待機しているアランの前に立った。
「降参ですか?」アランが無表情で言った。
「いいや、違う。」ダーティはアランね足下に置かれた箱を見た。「その中にあるバンドを奪っても合格だろ?」アランは箱を一瞥すると、笑顔でダーティを見た。
「そのとおりです。よくぞお分かりになりました。私を倒し、黄色のバンドを手にいれた時点で合格です。しかし、私に負けてあなたのバンドが無くなるとその場で不合格です。この試験で最も早く終わる方法です。それに気付いたあなたは洞察力に優れ、私に立ち向かう度胸がある。あとあなたに試すのは、私を倒す実力があるかです。ちなみに私は五年前の大会で5位入賞の経験があります。」
「こっちは優勝狙いだ。元5位に負けでもしたら予選を辞退してやる。」ダーティが拳をつくり、肘を曲げ、構えた。
「覚悟・・・」アランが二、三歩ステップを踏むと、右足を前に出し、左足で廻し蹴りで襲ってきた!

第48話完


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