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STRONG SOUL!!

STRONG SOUL!!

第50話 予選3

 さらに三分経過。ソフィアはだんだん目がなれてきて、紙一重で避ける必要がなくなってきた。試験官の投げる石のスピードは上がっているのだが・・・。

さらにさらに2分。試験はもう終盤。試験官達の足下にある石も少なくなった。
それから間もなく、ソフィアの右斜め前にいる、眼鏡をかけているほっそりとした試験官が石を持った右手を上げた。すると、他の試験官が投げるのをやめた。眼鏡の試験官は右手を高くして大きく振りかぶった。ソフィアも他の試験官に注意するのをやめて、一人に集中した。その試験官は上げていた右足を下げると、右手を動かした。しかし、その瞬間、右腕が消えた。
ソフィアには試験官の右腕以外しか目に捉えることが出来なかった。しかし、風、それも若干感じるぐらいの微風を頬に頬に浴びた。その風を出す物体が石だとは認識する前にソフィアは体を左に倒していた。その時、白い何かが矢の様にソフィアの右を通り過ぎて行くのが一瞬だけ見えた。それはすぐに木にぶつかった。いや・・・めり込んだ。
ソフィアは自分の右頬から血が出ているのを感じた。当たってはいない。当たってはいないのだが・・・
「ブラボー、ブラボー!」試験官全員が拍手をしていた。ソフィアは左手で血を拭った。そして試験官達の顔を見渡した。
「反射神経の試験終了。合格です。」笑顔で眼鏡を掛けた試験官が寄って来た。「お疲れ様です。予選トップの記録で突破です。」トップという今まで説明がなかった言葉も出てきたが、ソフィアはそんな事どうでもよかった。
「最後の・・・避けたはずなんだけど」納得がいかない表情でまた傷跡を触った。もうすでににじんでいる程度だ。
「世界は広いのです、グレナデス選手。」試験官はまだ笑っていた。


「え・・・今の避けれるの?」なんとか投げるところまでは見えたザンキ。ソフィアと自分の格の違いにまた驚いている。しかしこの男、自分を過小評価していることに全く気付かずにいる。

第50話完


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