ふけゆく秋の夜 旅の空の
寂しき思いに 一人なやむ
恋しや古里 なつかし父母
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私は宿命的に放浪者である。私は古里を持たない。父は四国の伊予の人間で、太物の行商人であった。母は、九州の桜島の温泉宿の娘である。母は他国者と一緒になっ たと云うので、鹿児島を追放されて父と落ちつき場所を求めたところは、山口県の下関と云う処であった。私が生れたのはその下関の町である。-故郷に入れられなかった両親を持つ私は、したがって旅が古里であった。それ故、宿命的に旅人である私は、この恋いしや古里の歌を、随分侍しい気持ちで習ったものであった。
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林芙美子(本名:林フミ子)》 1903(明治38)年~1951(昭和26)年
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林芙美子は昭和期における女流作家の先駆者である。処女作「放浪記」・1930(昭和5)年は,貧しさと逆境の中からの希望,そして文学へのあこがれの見事な表現,全編にみなぎる明るさと楽天性が、昭和初期の不況の暗い時代にあって,一筋の光として,多くの共感をよんだ。その後も,「風琴と魚の町」「清貧の書」、「稲妻」等を発表、戦後も「うず潮」を、晩菊」、「浮雲」「茶色の眼」などの作品を次々と送り出した。東京都中野区の万昌院に眠る。
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林芙美子の母親は桜島・古里温泉(ふるさとおんせん)の出身で、芙美子も当地で一時期を過ごした。この母の出身地である古里町に、銅像2体と「花のいのちはみじかくて苦しきことのみ多かりき」と刻んだ文学碑が建てられている。
◇古里温泉 火山島桜島の南岸、錦江湾に面しています。南東に大隅半島の山並み、南西に遠く開聞岳を望んでながめのいい湯量豊富で疲労、筋肉痛などに良く効く弱食塩泉の海の温泉です。
海沿いの露天風呂では掛け値なしの開放感を満喫できます。海に面した大きな露天風呂からは、開聞岳や大隅半島、時にはイルカも見ることができる。
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商品名
商品説明
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著者:清水英子出版社:東京図書出版会/リフレ出版サイズ:単行本ページ数:197p発行年月:2008年05月この著者の新着メールを登録する【内容情報】(「BOOK」データベースより)作家林芙美子。その出生から『放浪記』デビューまで、評伝的な形で小説にした一冊。【目次】(「BOOK」データベースより)1 林芙美子出・・・
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