カテゴリ:医学
第69回 在宅医療カンファレンス 開催日時;2019年9月19日(木) 13時15分~14時25分 開催場所;大江コミュニティセンター 参加者;参加者46名 テーマ:認知症本人と家族の語り (1)2019年4月、富山県立大学に看護学部が誕生 (富山県立大学看護学部長 教授 竹内登美子先生) (2)認知症本人と家族の語りから学ぶ (富山県立大学看護学部長 教授 竹内登美子先生) 【抄録】 1.2019年4月富山県立大学に看護学部が新設 高度化する医療や超高齢社会に伴う看護の役割拡大に対応するため、看護基礎教育を重視し、学生の看護力を最大限に伸ばすために、次の5つの特徴を掲げている。 ① 「自ら学ぶ力」を身につける:少人数によるグループ学修やアクティブラーニングなど、主体性を持って協力して課題に対応する学び方を多く取り入れる。 ② 多様な実習の場で実践力をつける:先端医療を提供する富山県立中央病院をはじめ、県内の公的病院や訪問看護ステーション、様々な保健医療福祉施設で、地域に密着した実習を行う。 ③ 工学的視点を「看護」の世界へ:看護学・工学連携科目を配置し、工学的視点を取り入れた人にやさしい看護学について学び、新時代の看護師を目指す。 ④ キャリア形成科目で自分らしい生き方を探す:1年次から、「トピックゼミ」「初期体験実習」を通して、自分らしい看護師像や働き方について考える。 ⑤ さらなるステップアップの道:看護学を研究するための「大学院」や、保健師・助産師を養成する「専攻科」を設置予定であり、卒業後も継続して学び続けることができる。
2.認知症本人と家族の語りから学ぶ 「認知症の語りWebサイト」(https://www.dipex-j.org/dementia/2013年に公開し、現在も随時更新)は、科学研究費*を得て構築したものである。 英国においては、2001年から患者が体験した病いや医療、闘病の現実を聞き取り、患者の語りとしてデータベース化し、同じ病気で苦しむ患者や家族、それを援助する医療スタッフを支援するツールがDIPEx(Database of Indivisual Patient Experiences) によってスタートしている。本研究は、その手法に準じて実施した。DIPExを設立したOxford大学の研究者らが強調していたのは、「病と共に暮らす人々は、一般化された統計学的データだけでなく、同じ病をもつ人がどのように生きたかに深い関心を寄せる」ということであり、その趣旨に沿って構築されたWebサイトに賛同したからである。 研究方法は、母集団の代表性よりも体験の多様性の確保に主眼を置いた理論的サンプリング(maximum variation sampling)法をとっている。半構成的面接法によって得た多くの体験談を逐語録とし、そのデータをテーマ分析法によって、トピックごとに分類していった結果、5つの大項目と29の項目を抽出することができた。これらを「トッピック別」の目次とし、他に「認知症の種類別」、そして「語り手の立場別」の目次を付すことによって、見たい内容を直ぐに選べるようにした。 今回は「認知症の語りWebサイト」の中から、レビー小体型認知症に焦点を当て、本人と介護家族の語りの映像を通して当事者理解とその対応法について考える。 【グループワーク】 ケアマネ:介護経験者の意見を聴くことが勉強になる。最近聴いた話では認知症が直接的な原因ではなく内臓疾患が主原因となって亡くなることもある。他、嫁が姑の介護を行うケースとして同性同士の方が入浴介助やオムツ交換などがやりやすい。息子に裸を見られたくない。同性同士の方がうまくいく、というケースもあった。 認知症の家族:私たちの周りは認知症だらけ。中には認知症となった息子を介護する高齢の母もいる。それまではシワシワのおばあさんの顔をしていたが、まるでお人形のように息子を猫かわいがりし、介護するようになると、母親は元気になり若返ったケースもある 富山福祉短期大学 ナース:本日、レビー小体型認知症について当事者の話を聴講し、当事者が認知症になっていることを自覚していることの怖さが伝わった。虫がいないのに虫が見えている、と訴えてきたときの対処法として「手を叩いて大きな音を出し、覚醒させる」という対応はためになった。認知症患者に対し尊厳を持った対応・人として対応する。このことの大切さを実感させられた。 訪問看護ステーション:レビー小体型認知症の講義を本日参加した学生も興味を持って聴いていた。今は若くともいずれ認知症となる。この講義が社会へ広まると良い、と思った。 一般参加者:人生50年が100年となり、それまでとは違う未知の世界が始まり手探りで前へ進んで生きているみたいだ。認知症となって忘れることへの恐怖ではなく忘れることを受け入れていく、という内容をグループで討議した。 障害者就労継続支援サービスA型事業所:親と子の関係は近すぎる。つい、相手を否定する発言や行為をしてしまう。私たちの事業所では医師より「否定からではなく肯定から始めよう」と助言を受け関係をスタートし直した家族もいる。医療機関や地域の手助けを借りることも前進の一歩、と私たちは考える。 【感想】多くの参加者があり、グループワークの討論も活発でした。演者から「多職種の人たちが参加する大変すばらしい会だ」とお誉めいただきました。
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Last updated
September 22, 2019 08:44:57 PM
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