徳島県東祖谷村徳島県と高知県の県境にある、剣山山系の山懐に抱かれた小さな村です。屋島の合戦で敗れた平国盛が追って逃れこの地に入った事に始まる平家落人伝説が語り継がれているそうです。 【物語】 昔々、桃太郎と言う若者がお爺さん、お婆さんと暮らしていました。 お爺さんとお婆さんは、天気の悪い日は麦焦がしや稗の粉を挽いて団子を作り、天気の良い日は、お爺さんは山に柴刈りに、お婆さんは洗濯に行き、 毎日忙しく働いていました。 桃太郎はと言うと毎日好きな事をやって遊んでばかりいました。 ある日、お爺さんは桃太郎に 「おまえも大きくなったんじゃ。もう小さな子供の様に遊んでばかりいないで、 少しは働いたたらどうなんじゃ。」 と言って柴刈りに出かけました。 夕方になって、お爺さんとお婆さんは仕事を終えて帰ってきました。 二人は囲炉裏にあたりながら、お茶を飲んでいました。 しばらくすると桃太郎も帰ってきました。 お爺さんに働くように言われた桃太郎は、自分も働いてみようと思い、 山に出かけたのでした。 しかし、木を切ったこともなく、柴刈りをしたことないので、何をして良いか わかりませんでした。しかたなく、1本の大木を根元から引っこ抜いて、 そのまま担いできました。 「爺さん、婆さん、帰ったぞ!」 桃太郎は家に戻るとそう叫び、担いできた木を家に立てかけました。 すると、木の重さに耐えられず家はバリバリと音をたてて潰れてしまい。 お爺さんはめぞうけ(※1)に、お婆さんは雑炊鍋に各々首を突っ込んで 死んでしまいました。 (参考文献)新・桃太郎の誕生/野村純一/吉川弘文館 ※1めしぞうけ:ごはんが腐らないように入れてつるしておく籠。 |