|
カテゴリ:季節の風景
農機具の中で一番でかいのが、小麦刈り取りのコンバインだ。 つねづね、一度このコンバインに乗ってみたいと思っていたが、 ついに実現した! 小麦の収穫作業は、共同でやっているところが多いが、 3分の1程度の農家では、自前でコンバインや乾燥機を揃えているところがある。 同じ町内の中堅夫婦が自前でやっていて、 丁度、最後の刈取り作業があるから、乗せてくれることになった。 最新型のコンバインではないが、農協からの払い下げ品だろうか、もう30年動いているという。こういう機械は、外国製の方がしっかりしているとか。 このコンバインもアメリカ製だった。 近くによると、とてつもなく大きい。 右側に並んだギヤ、左後方にまたギヤが並ぶ。 運転はマニュアル車と同じということだったが、なにやら難しそう。 幅3メートル弱に広がった先端の針が小麦を手前に寄せ、巨大ノコギリ歯が回転しながら、小麦を刈取る。 送り込まれた小麦は、車体の中で殻を剥かれ、実だけが溜まる。 それをトラックに空けて、乾燥機に運ぶ。 コンバインそのものが小麦工場だ。 所々、小麦が倒れているのを指差して 「あれは、鹿が入ったんだ」 近くの林から来るのだろうか。道路わきの小麦の頭の無いのは鹿の仕業だそうだ。 「あっ、野うさぎだ」 どこどこ、と見渡すが見えない。 周囲から刈り始めるので、茶色した野うさぎが、畑の真ん中に追いやられ、最後にピョーンと飛び出てくることもあるそうだ。 母が聞いたら、見たかったと悔しがりそうな話だ。 「ちょっと運転してみるかい」と言われて、運転席に座ったとたん、 左に寄りはじめた。あわてて、ハンドルを切ると、こんどは右に・・・。 パワステで、異常に軽い。 「真っ直ぐ、前の方を見て」と、教えられるが、 動転してしまって早々に交代してもらった。 前後左右、見てるといとも簡単に、隣のじゃがいもを傷つけることなく運転しているのに。 「いやー、結構難しいもんだねえ」 コンバインを動かす人をオペレーターというらしいが、 昨年、我が家の隣の畑で、跡継ぎの若者が先輩から教えられながら運転しているのを見ていた共同仲間の大人たちが「あのオペレーターは、もう少しで一人前だな」と言い合っているのを、思い出した。 自動車の運転と同じで、動かして慣れるしかない。 私が刈取った後は、見事に左右にぶれていた。 修正したりで、えらい迷惑をかけたことだ。 丁度小麦が一杯になった頃、いつの間にか奥さんがトラックの横に待機。 いいタイミングだねえ。 自宅の乾燥機まで、二人で移動。 「運転させてもらったけど、難しかったわ」 「そうなんだよね。前の方を見ろと言われるけど結構慣れるまで大変だよ」 小麦の乾燥は、トラックの小麦を乾燥機に移し、あとは自動。 二人で作業は大変では?と問うと、 「いやー、自分たちの都合で仕事が出来るし、乾燥は夜動かせばいいので、 共同作業のように、夜中まで刈取り作業しないから楽チンだよ。だいたい3日間でおわるしね」 そういえば、共同の場合、戸数が多いので、10日間ほど昼夜をかけて作業する。 出来のよい畑から順番に、四六時中動かす。 刈ってみたらまだ未熟ということで、途中で後にまわされることもあるとか。 先導まとめ役、品質チェック役、オペレーター2~3人、トラック3台、おやつ・昼食係りなど、一台イベントだ。 今年は低温が続いたため、穂が伸びず、11段くらいつく実が7・8段で、品質改良前の、10年前の収穫程度だという。 更に、石油の大幅高騰で、乾燥に余分な費用がかかり、減収もいいとこだと、皆ぼやいていた。 30度を超える酷暑の中、 『農家の皆さん、ご苦労様です』と、頭を下げつつ、 「ただいまあ、コンバイン乗ってきたよー。すごいねえ、おもしろかった」 と、思わずはしゃいでしまった。 小麦ロールが畑に転がっている。 そろそろ、夏も終盤だ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2006/08/09 12:10:32 PM
[季節の風景] カテゴリの最新記事
|