へっぽこのととほでくだらなな生活録

向かう先は整形外科。
ワシが過去にあばら骨折が発覚した場所である。
ああ、不安ダ。

なんせ、首から背骨にかけて一本棒をいれたようにピーンとなっていてそれをちょっと動かすだけで「うきーーー」と痛みが走るわけなんで、道路を渡るのもこらまたタイヘンであった。
「右みて～左みて～ハイ渡れるね～ハイハイ。おおっと危険危険感知！すとっぷすとーーぷ！！　全体止まれっ！！いち・に！」
へっぽこたーみねーたーここに参上（役立たず）。
いてていててて。

「ハーイ、これ持ってレントゲン撮ってきて」
と、初老のＤｒは云った。
整形外科外来診察室。
どうしました？
との問診に対し、正直なところ、云いたくなかった。しかし、何かあっては・・・・で仕方なく。
「あー、かくかくしかじかでダイブしちゃいましたらここんとことここんとこが痛うて痛うてたまらんのです」
「ふむ、両手に痺れは・・・ナイ。こうやって響くことも・・・ナイ。背中に外傷は・・・ナイ。こうやったら痛く・・・ナイ」
「いたいですぅ」
「ふむふむ、じゃ、取り敢えず」
レントゲンね。
と初老のＤｒは云った。

レントゲン・・・
ワシは今まで何度レントゲンを撮ったのだろうか。
事故と怪我とムシバラスな過去を持つへっぽこ人生である。同世代の人達と比べたらレントゲン率は上位に食い込んでいるのではないかと思う。
一体、レントゲンの放射線はどれだけ浴びたら体に影響があるのだろうか。
しかし、レントゲンのおかげで今日の検査も進むわけだから・・・。
本末転倒なハナシではないか。
などど、ぼんやりと考えながらレントゲン室へ向かう。

「ハーイ、これ持ってせんせのとこに戻ってねー」
と、眼鏡のレントゲン技師は云った。
ハイ、前向いてーぱしゃりぱしゃり
ハイ、横向いてーぱしゃりぱしゃり
なにやら恐ろしく仰仰しい機械たちに囲まれひとりぽっちにされたなか、写真撮影終了。
部屋から出ると、既にレントゲン写真が出来上がっていたのである。
意外の早さに少々驚きながらもブツを受け取った。
これは、レントゲン好感度ＵＰ！
患者さんは待たせては駄目だからねー。

「ふむふむ。まあ～心配はなかろうて」
と、へっぽこ写真を光にかざして初老のＤｒは云った。
「ホントですか～」
「ほれ、ここんとこのカーブ（首）もキレイだしここんとこのカーブ（背骨）も問題ナシ」
「はあ」
「ま、おそらくじん帯がちこっと伸びたか、筋がちこっと違ったかしたんじゃろうて」
「ってことは、動かしてもダイジョブなんでしょーか」
「痛くない程度なら問題ナシ」
「あのう・・・」
今！イマ、痛いんですけど～
ものすごっく痛いんすけど～
「湿布出しとくから、調剤薬局でもらって頂戴」
「あのう～・・・」
今！イマ、ここで張ってくれないんですかっ
背中に自分で張れとおっしゃるんですかっ
「ま、一週間くらいしても未だ痛いんならまた来んしゃい」
また・・・来たくないです。
せんせ、キャラ替わってるし。
「ありがとーござーましたー」
しかし、何事もなくてヨカッタと胸をなでおろしながら初老整形外科医師に別れを告げた。
病院嫌いなへっぽこが、大量の湿布薬を抱え込んでほすぴたるを後にする姿を見たものはいたのだろうか。
いてていててて。

今回感動したことがあったのでご報告。
実は人生初めて我頭蓋骨とご対面したのである。
あー、ワシの中にもちゃーんと骸骨が入っているんだネ～
肉やら脂肪やら皮やらに覆われて奥の奥に潜んでるんだネ～
今はまだ見れないけど、へっぽこ人生が終わった暁に、キミ達はやっとひのめがみれるんだネ～
へっぽこ骸骨ここにあり。
なんか・・・未来を見てしまったって感じである。
そういえば、金子みすずさんの詩でこんなのあったヨ。
「見えぬけれどもあるんだよ、
　見えぬものでもあるんだよ。」
なるほどなー。
などと、しみじみ思いながら、いそいそと湿布を張るへっぽこの後ろ姿がそこにはあった。
ひんやり～


後日談（といいますか、本日２７日のコトバ）
目薬もろくに注せなかったあの頃・・・
あれから一週間。
今ではペットボトルでお茶が飲めるようになりました。
それもこれもレントゲンと湿布薬のおかげでございます。
せんせーありがとー
やはり病院を莫迦にしてはいけませぬ
嫌いなのは直らないけどね
いてていててて



★金子みすヾさんは、ワシの大好きな詩人（童謡詩人）のひとりです。今回「ほしとたんぽぽ」の一節を引用させていただきました。他の詩も、もー素敵！ちょー素敵！なんで興味があったら是非是非読んでみてくらさい★

☆「ほしとたんぽぽ」☆
青いお空のそこふかく、
海の小石のそのように、
夜がくるまでしずんでる、
昼のお星はめにみえぬ。
　　見えぬけれどもあるんだよ、
　　見えぬものでもあるんだよ。

ちってすがれたたんぽぽの、
かわらのすきに、だァまって、
春のくるまでかくれてる、
つよいその根はめにみえぬ。
　　見えぬけれどもあるんだよ、
　　見えぬものでもあるんだよ。

☆わたしと小鳥とすずと 金子みすヾ童謡集 ( 著者： 金子みすゞ | 出版社： JULA出版局 ☆




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