トンマッコルへ行こう

トンマッコルの空は静かで深くて優しい色をしている。 子供のように純粋な村 トンマッコル。 地図に載ってるのか載ってないのか 空に向かって笑う、守り神の林を過ぎると ほんわかとそこにある ここは素敵 白い雲が浮び、白いちょうちょが舞い、白いポプコーンが降る 時に旅人をおもてなし 言葉が通じなくても平気 村一番のキム先生が辞書を抱えて登場し、大怪我をしてるアメリカ人のスミスさんに 「はーわーゆー？（お元気？）」 スミスさん、包帯ぐるぐる巻きの姿で 「（英語で）見りゃわかるだろーよ！ 怪我してんだよ、オレは！！」 キム先生、首をかしげて 「おかしいな」 と。 村人達 「どーしたんすかー」 「あのねー、この本（英会話本らしき）を見るとねー、ぼくが『はーわーゆー』って言ったら、彼は『あいむふぁいん、あんど、ゆー？（わたしはげんき、あなたは？）』って云うはずなんだ。で、僕が『ふぁいんさんきゅう（げんきだよー）』って言うっていうんだ。ここにちゃあんと書いてあるのになー、へんなの」 おいおい、先生。 怪我人がわたしは元気ーってそらないよー 銃を持った男達に囲まれて 「手をあげろっ！！」 と、脅されてみたりしたっても平気 「えー」 「手をあげろっていわれてもねー」 「右手？　左手？」 「どんくらいあげんの」 「ねーねーねー」 で、途中で、仕事に出ていた村民がジャガイモ畑から呑気にもどってきたりして 「ただいまー、なにしてんのー」 「あ、おかえりー」 「それよかたいへんだよー！　いのししがさー、ジャガイモ狙ってんの！」 「ななな、なんだってー！！！」 「そりゃ大変だ！」 「やばいじゃん」 「どうすんべどうすんべ」 おいおいミナサン。 銃があなたたちを狙ってるんだってばさ。 でも、気にしない。 だって、知らないんだもん。 銃ってなあに？ ヘルメットってなあに？ 争いってなあに？ トンマッコルは素敵 素敵すぎて泣けてくる 汚れきった心を洗濯してくれる。 ただ、 お肉が食べたくなったら自分でね ここんち菜食主義だから 全て自給自足の素敵な村 地図に載ってるか載ってないか トンマッコル 行ってみたいな トンマッコル 見つかれば誰でも過ごせる トンマッコル 誰でも笑顔が取り戻せる 守りたくなる そんな村。 ほらね。