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テーマ:世界を動かす国際金融(343)
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どうもチュバイス・統一エネルギーシステム会長の周辺になにやら怪しい動きがあるように見える。 3月17日(モスクワ時間9時30分ころ)、チュバイスの乗った車が首都郊外の別荘から出勤する途中に、モスクワ近郊で何者かに銃撃された。襲撃は地雷を爆破させたり自動小銃を乱射するという激しいもので、まず、道路の脇で強力な爆発が発生、続いて2人組の男が小銃を撃ち始め、車を降りた護衛がこれに応戦し銃撃戦になった。地雷は直撃しておらず、チュバイスの乗っていた「完全防弾のBMW」は、フロントガラス・前輪・ボディなどに自動小銃を被弾したが無事に逃げきった。チュバイスも護衛も無傷。 チュバイスは同日、「誰の仕業かは十分わかっている。国内エネルギー業界の改革と民主勢力の統一をあくまで続けていく」との声明を発表している。捜査当局は暗殺未遂事件として捜査していると、多くが報道した。 モスクワ検察庁は翌18日、事件容疑者の1人を拘束したことを明らかにした。だが、その後、これに関する記事が出てこないので、拘束された容疑者が本当に実行犯だったのかわからない。拘束・逮捕されたのは、ウラジーミル・クワチコフという軍人恩給者だった。18日、ロシア軍総司令部は、クワチコフが軍諜報本部(GRU)の職員であったとの報道を否定。多くのマスコミはチュバイス暗殺未遂容疑で逮捕された軍人恩給者ウラジーミル・クワチコフがGRUの一員であっと報道していた。「コメルサント」紙はクワチコフはGDUの大佐だったと伝えた。 チュバイスにしたら、実行犯などどうでもいいのだろう(そんなことないか)。「誰の仕業かは十分わかっている」のだから。 ![]() 5月25日には、大規模停電で首都モスクワと近郊が大混乱に陥った。不思議なことに、この停電に対し、チェチェンのバサエフ司令官が27日に工作隊が変電所を攻撃したとする「犯行声明」を出した。だがロシア政府はチェチェンの関与とテロ説を否定。真偽は不明である。ロシア連邦保安局(FSB)も6月10日、停電の原因となった変電所の火災が妨害工作の結果だったとする証拠はないとの見解を示した。 ※ バサエフ(Shamil Basayev)は昨年ロシア・北オセチアで起こった「学校人質事件」を指揮したとされている“あやしい”人物である。 ![]() プーチン大統領は、停電は電力独占企業「統一エネルギー」の経営の欠陥が原因であると、名指しで非難した。チュバイス会長を間接的に非難したということだろう。 チュバイスは26日夜に検察の尋問を受けている。尋問の時間は4時間にもおよんだとのこと。28日にチュバイスは「ロシア統一電力システム(EES)社長を辞めるつもりはない」と、テレビ局「ロシア」の番組「ミラ-」で発言。「チュバイス辞任を熱心に期待し要求している、なじみの顔ぶれの“親しい人たち”のリストを見ると心が痛む。これは全てロゴジン一派、同じくジュガノフ一派、それに恥ずかしくも組したヤブリンスキーの仕業だ。慌てないでくれ、期待しないでくれ、そうしたことにはならないだろう」「ロシア統一電力システム社代表の任命と解任の決定は株主がやるのだが、今回は国だ」と発言した。 石油の次は電力に触手 ロ政権、エネルギー支配へ 2005/06/08 18:37 【モスクワ8日共同】ロシア石油大手ユコスを国営企業傘下に収めるなど、エネルギー産業の国家管理強化を進めているプーチン大統領が、今度は電力産業の支配に触手を伸ばしている。 クレムリンの思惑が露見したきっかけは、5月25日にモスクワ市などで起きた大停電。復旧には丸1日を要し、市内の地下鉄車内に約2万人が、約1500人がエレベーターに一時閉じ込められるなど、約500万人が影響を受ける大混乱となった。 責任を問われたのが国営電力会社「統一エネルギー機構」。同社社長を務めるチュバイス元第1副首相は、新興財閥が影響力を振るったエリツィン政権下で、旧ソ連崩壊後の国営企業民営化を主導した。プーチン政権にとって、チュバイス氏は国家の富を新興財閥に渡した張本人だ。 http://www.kobe-np.co.jp/kyodonews/news/00010286kd200507081800.shtml ロシア語で「オリガルヒ」を日本語では「新興財閥」「寡占資本家」などと訳されているが、プーチンが明示した定義では、「略奪したカネを元手に、行政府との特別なパイプを使って、さらに国の富を略奪する人のことを指す」となる。 オリガルヒを誕生させた重要人物が、エゴール・ガイダル副首相兼経済財政相と、“ガイダル内閣”で国家資産管理委員会議長を務めたアナトリー・ボリソビッチ・チュバイスである。 アナトリー・ボリソビッチ・チュバイス 統一エネルギーシステム(UES)会長。 エリツィン時代後期、ベレゾフスキー、アブラモービッチと共にロシアの政界をコントロールしていた新興財閥。 ![]() Profile 1955年6月16日ベラルーシに生まれる。1977年レニングラード技術経済大学を卒業。90年からレニングラード市執行委員会副議長、第一副議長、ペテルブルグ市長主席顧問を歴任。92年6月にロシア連邦政府、民営化担当副首相に就任。ガイダル首相代行と共に市場経済改革を実施した。チュバイスは主に民営化を担当。 しかし、急速な民営化はロシア経済を崩壊に導いた。旧ソ連時代、ロシアには私有財産が存在していなかった。よって民営化された企業などを買い取る資金力のあるロシア人はいない。 そこでチュバイスが考案した民営化の原則とは、「現在手元にある物は、あなたの所有になる」というもの。 これによって国営石油会社の社長は、一夜にして民営化された石油会社の社長となった。 チュバイスの民営化は、得たものがアパート一軒だった人から巨大企業を手に入れた人まで様々で、大変不平等な結果をもたした。 この改革で、後に政界を操るようになる新興財閥が生まれ、貧富の差が増大した。 94年11月より有価証券委員会担当第一副首相。96年1月解任。 96年の大統領選挙ではベレゾフスキーや他の新興財閥と協力し、エリツィンを再選に導く。チュバイスは選挙対策本部の中枢で指揮をとった。 96年7月より大統領府長官。97年3月解任。第一副首相兼蔵相に就任。97年11月解任。その後UES会長に就任。 チュバイスは98年8月、ガイダルと共に、キリエンコ首相(当時)にルーブルの切り下げを迫った。同首相は、その勧告に従ったが、これが引き金となり金融危機が発生。 http://www.russigator.ru/people/cyuba.html 92年1月2日、「ガイダル改革」の価格自由化がロシア全土で始まったが、1ヵ月後には値段が4~5倍というインフレも起こった。インフレを避けるためか、価格自由化とともに、超緊縮財政、通貨供給量の抑制なども導入した。物価が高騰し通貨の価値が暴落するなかでの通貨不足は、「痛み」が激しすぎて、価格自由化の弊害が目立ち、ガイダルは批判にさらされることになる。 これらの混乱を歓迎したのが、銀行・金融業の、「モスト・バンク」を経営するメディア王・グシンスキー、「バンク・メナテップ」の石油王・ホドルコフスキーたち、つまり、将来のオリガルヒたちである。こいつらは、外貨とルーブルの鞘取りを主要業務としていたため、ルーブルが急落・暴落していくことで莫大な利益を生み出し、ハイパーインフレ下でロシア政府が発行する超高利回り国債に投資して、資産を増やしていった。 ガイダルとチュバイスの改革がオリガルヒを誕生させたと言われる理由がこれである。国民が受けた「痛み」とは逆に、「あぶく銭」が雪だるま式に増えていったのである。この「あぶく銭」が民営化された企業を買収することになる。 価格自由化と民営化はセットで行なわれ、結果的に経済混乱もセットだった。民営化の統轄責任者がチュバイス国家資産管理委員会議長である。チュバイスはオリガルヒと同じ、ユダヤ系である。チュバイスがユダヤ系だという事実は重要である。なぜなら、オリガルヒとチュバイスがグルで国家資産を略奪した可能性が高いという仮説が成り立つから。 チュバイスが選んだ方式は、「民営化小切手」だった。国民に民営化小切手を無償で配布し、それを使って企業を民営化するというやり方。この方式を、92年8月にエリツィン大統領に署名(大統領令)させると、10月に小切手の公布がさっそく始まった。公布の対象は全ロシア国民(子供も含む)で、1人当たりに公布する証券の額面が1万ルーブル(約32ドル)。1億4400万人(国民の97%)が民営化小切手を受け取った。換金するのも企業の株券と交換するのも、国民の自由である。 92年は4万6000社を超える企業が民営化された(中小企業が中心)ようだが、大手国有企業は殆ど民営化されず、年末にはガイダルは政府を追い出された。チュバイスは、国有企業の株式を担保にして民間銀行から国が融資を受ける「株式担保融資」と民営化をセットにした手法を実施した。これに「あぶく銭」をたらふく持っている金融家が飛びつくのは当然である。なぜなら、財政危機の政府が、受けた融資を返済する可能性は殆どないからである。つまり、「融資=対象企業取得」となるわけだ。ホドルコフスキーたちがユコスの株を78%取得したのもこれだった。2003年には時価総額が300億ドルを突破したユコスの株を、3億5000万ドルで取得していたらしい。 このようにチュバイスの行なった手法は、特定の勢力の資産を巨大化させたのである。もっと言えば、国家資産を“仲間”に「山分け」したとも言えるのである。民営化責任者のチュバイスと、山分けを受けた勢力がグルだったと解釈するのが自然だろうと思う。 その後、チュバイスはベレゾフスキーたちと組んでエリツィンの再選に協力し、大統領府長官、第一副首相兼蔵相を務め、国営電力会社「統一エネルギー機構」のトップに就任したのである。 そして、現在のチュバイスが、大停電を理由に、プーチンの標的になっている。ここで考えたいのが、先日の大停電は、偶然にそれをプーチンがチュバイス追い出しに利用しているのか、それとも“怪しい人物”バサエフが言うように「テロ」だったのか、或いはチュバイスを追い出す「やらせ」だったのか・・・ということである。 『ソロスの資本主義改革論:オープンソサエティを求めて』 ![]() |
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